第1章 第4話 サイコロを振るのは・・・?
今回はアオイさん視点でお送りいたします。
それと今回は少し短いです・・・。
―くししし。あのサイコロではどうがんばっても5以上の合計値なんて出せないのじゃ。それこそ神様的奇跡でも起きない限りはのう。ふふん、ワタシを愚弄したその罪の重さ、思い知るがいいのじゃ!
そんなかわいい(邪とも言う)考えのもと、ワタシはしょーじがサイコロを振ろうとするのを目を輝かせながら見つめる。そして今まさにサイコロがしょーじの右手から解き放たれんとしたところで、しょーじが腕を止めて私に質問をしてきた。
「なぁ、このサイコロって出目がものすごく偏ってるってのはわかったけど、それってサイコロの重心が偏ってるからってわけじゃあないよね?」
と。
直前になってなにを妙なことを聞いてくるんだか。まあ答える義理もないのじゃが答えてやるか。ほら、ワタシは優しいからのう!
「当然じゃ。これはワタシが神様パワー☆で作成した『イカサマがバレることのない完璧なイカサマ賽』。もし重心が偏っていたりしたら相手に振らせる時に重みの偏りですぐにイカサマ賽だとバレてしまうからのう。そういったイカサマの証拠は出てこないように出来ているのじゃ。ではどういうカラクリで出目が低くなるか知りたいかの?残念ながら内緒じゃ。ワタシにもわからんからな。」
と、若干ふんぞり返りながら答える。そう、このサイコロは、ワタシがある時に『確実に相手にばれないイカサマ賽が欲しい!』と念じたら何もないところからいきなりスパークとともにでてきた不思議サイコロ。見た目、質量、重心、その他全てが普通のサイコロとなんら変わらないのになぜか出目が低くなる素敵サイコロなのじゃ!
「ってことは、このサイコロはあくまで確率をコントロールされているだけの普通のサイコロって考えていいのかい?」
「んー・・・まあ、そう考えていいのではないか?」
たぶんな。
「わかった。ありがとう、アオイ。これでこのサイコロをふる決心がついたよ。」
ワタシの返事に満足したのか、そう返してくるしょーじ。諦めがついたのか、ずいぶんとさわやかな笑顔だ。うむうむ、素直なのはいいことじゃな。
「じゃ、振るよー。」
そう言ってしょーじは、何回かサイコロを手の中でニギニギしたあと、手刀を繰り出すような感じでサイコロを地面に放った。