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第2章 第30話 ついに目覚めたか・・・

またしても更新が遅れてしまいました! ごめんなさい!


「ついたぞ。ここだ。」


 オーディさんに案内されて通された部屋は、下宿生の部屋のような感じになっていた。小さいテーブルに棚、お化粧台なんかの家具があり、家具の中でも大きめの専有面積を誇るそのベッドの上には、一人の女性が今もなお眠りについている。この人がオーディさんの奥さんだろう。オーディさんの許しを得て、僕も部屋の中に入っていく。


「どうだ、なにかわかったか?」


 僕がベッドのそばで片膝をつき、そっと様子を見始めてすぐに訪ねてくるオーディさん。この人をとても大切にしていることがよくわかる。

 僕は、『いかにも現状を理解している』と思わせるようにしずかにうなずくと、ゆっくりと語りだす。


「確かに、奥さんはまだムーマ・エンドの魔力に縛られているようです。」


 本当のところはどうなのか不明だが、ムーマ・エンドの催眠術を食らい、そのまま目を覚ましていないということはおそらくそうだろう。

 僕の言葉を聞いて、ショックからだろう、オーディさんはその場に崩れ落ちてしまった。


「そんな・・・。倒すべき敵はクソガキが倒してくれたんだろ!ムーマ・エンドを倒せば催眠術を受けたやつはすぐに目覚めるはずだ! 奴を葬ったのに魔力に縛られてるってことは、まさか、妻はこのまま・・・。」


 ショックを受けているからだろう、とにかく悪い方向へとオーディさんの思考が流れやすくなってしまっている。僕はその悲しい想像を打ち消すように、オーディさんのセリフをぶったぎる。


「大丈夫です。手はありますよ。」

「本当か!?」


 じゃなきゃ、あんな不安を煽るようなことは言えない。


「魔力に縛られているというのなら、魔力を吹き散らしてやればいいんです。」

「クソガキにそれが出来るのか?」

「・・・僕には出来ません。」

「なら、誰でもいい!それが出来るやつを紹介してくれ!俺にできることなら何でもする! この通りだ!」


 あんまそういうことは気軽に言わない方がいいと思ってしまうのは、僕だけではないはずだ。まぁ、それはさておき・・・。


「『それが出来るやつ』なら、ここにいますよ。」

「どこにいるんだよ!? ここには俺とクソガキしかいねぇじゃねえか!」

「この子が、ムーマ・エンドの魔力をどうにかしてくれます。」


 そういってオーディさんに向かって伸ばした僕の両手の間には、自信満々なお顔を見せるタコ的生物のぬいぐるみがはさまれていた。





 僕が朝食の席でマリーに確認をとったのは、『他のムーマエンドがかけた催眠術を、マリーが解くことができるのか』という点だった。

 僕は、マリーを仲間にした時点で、ムーマ・エンドが葬り去られたことを偽装するための策として、『ムーマ・エンドを倒したために、オーディさんの奥さんにかけられた催眠術が解けて目を覚ます。めでたしめでたし。』という筋書きを用意することを考えていた。マリーが奥さんにかかっている催眠術を解いてくれれば、たったそれだけでこの筋書きは完成する。倒されてから術が解けて目が覚めるまでにタイムラグがあったことについては、適当にそれっぽいことをでっちあげておけばいい。

 ただし、この筋書きどおりに確実に事が運ぶのは、『マリーが催眠術を解除できる場合』のみだ。『術を解くことが出来るのは術をかけた者のみ』なんていう法則があったら、この計画は水泡に帰すことになる。『奥さんにかかっている催眠術』=『マリーがかけた催眠術』であるならば何も問題ないが、他のムーマ・エンドが催眠術をかけていた場合はそうもいかない。術を解除できないからだ。

 そこが不安だったのだが、マリーに確認をとったところ、『他のムーマエンドがかけた催眠術を、マリーが解くことができるのか』という問いに対して帰ってきた答えはYESだったため、幸いだった。これで問題点は消えたことになるので、僕の描いていたとおりのビジョンを現実のものにすることが出来る。

 

 僕は、マリーを奥さんの寝ているベッドの枕元にセットする。奥さんの横顔を見つめるマリーの目が一瞬紅く光ったかと思うと、オーディさんの奥さんは、長らく閉ざしていた目を開けるのだった。


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