第2章 第25話 見られたらまずいもの
導かれるようにして目が覚める。そこは、催眠術を受けて倒れこんだ場所だった。眠ってからそんなに時間が経っていないことは太陽の位置的に明らかなのに、妙に懐かしく感じる。それだけ濃い時間を過ごせたということだろう。いろんな意味で。
横を見てみれば、西村もちょうど起き上がったところだった。無事に目覚められたようで何よりだ。逆側の横を見てみれば、そこにはムーマ・エンドがいて、あいかわらずふわふわ浮いていた。元気そうでなによりだ。
「きゅ~!」
ムーマ・エンドは、体の一部を手の形にしてそれをヒラヒラさせる。バイバイと言いたいのだろう。このままここでムーマ・エンドとさよならしようと思ったが、あることに思い至った僕は、さよならをせずムーマ・エンドにある提案を持ちかけることにした。
「なぁ、ムーマ・エンドさんや。ひとつ、提案したいことがあるんだけど、いいかな?」
「きゅ?」
何を言い出すんだろう? とでも言っていそうな顔をするムーマ・エンド。
「僕たちは、君がいいヤツだってことを知っている。でも、他の人からするとそんなことはわからないんだ。巷で言われているような、ただの凶悪モンスターだって思われて今回みたいにいきなり攻撃されるかもしれない。」
こくりとうなずくムーマ・エンド。
「だから、僕たちと一緒に来ないかい?」
「・・・・・・きゅ。」
しばしの思考の末に、ムーマ・エンドはうなずいてくれた。だが、ここで西村が待ったをかける。
「それはいいんだが、問題がないわけじゃないぜ。
ひとつは、俺はグループの仲間にムーマ・エンドと一緒にいるところを見られると面倒なことになっちまうことだ。まぁこっちは足立と行動を共にすることにすればいいから大した問題じゃあない。
まずいのはこっちだ。どうやってこれから先ムーマ・エンドを他人にばれずに連れていくかだ。一般人にこいつを見られるのはやばいだろ?」
西村の言うことはもっともだ。凶悪なモンスター(と思われている者)を連れ歩くのを見られるのは問題しかない。でも大丈夫だ。ちゃんと策は考えてある。
「そのことなら大丈夫さ。手はあるよ。
今から必要な物を買ってくるから、二人は町の入口の門の近くで待っててくれる?」
太陽が本日のお勤めを終了なされようとしていることから考えて、今から行こうとしている店がまだ営業しているかわからないが問題ない。営業してなかったら、一度戻って西村達とさよならしてから、明日お店に買いに行って、そのあとでまた落ち合えばいい。
「ああ、わかったぜ。なるべく早く頼むよ。」
「うん。」
僕は、目当てのものを手に入れるため、町への道を急いだ。




