表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/110

第2章 第24話 お目覚めですか?


 夢の技術で生み出した夢のようなお薬をムーマ・エンドに飲ませると、すぐに傷は癒えていき、呼吸も穏やかなものに変わっていった。内心不安だっただけに、うまくいったようでほっとする。

 少しすると、ムーマ・エンドは黄色いお目目をパッチリと開けた。そして、体の具合を確かめるように軽く浮き上ると、くるくる回りだす。どうやら、体のどこにも問題はなさそうだった。


「体の具合は大丈夫そうだね。」


 楽しそうに踊る様子を見てそう判断した僕は、ムーマ・エンドにそう声をかけた。


「きゅっ!? きゅう・・・。」


 声をかけられたムーマ・エンドは、驚いたような鳴き声を出した後、おそるおそるといった感じでうなずく。そりゃあそうか。自分を襲った相手にこんなこと言われたら、何かあるんじゃないかって考えるのが自然だ。

 だから僕は、言葉を紡ぐ。


「無理かもしれないけど、そんなに警戒しないでくれないかな。話は全部ここにいる西村から聞いたよ。お前は優しいやつだったんだね。それなのに、いきなり攻撃をしかけてごめん。許してくれとは言わないけど、せめて謝らせてくれないかな?」


 重い体をなんとか直立させ、僕はムーマ・エンドに頭を下げた。すると、ムーマ・エンドは、ゆっくりとこちらに近づいてくると、


「きゅ♪」


 と一声鳴きつつ、僕の頭を、黒い靄を手の形に伸ばしてポンポンと軽く叩いた。顔を上げると、そこには無邪気に笑うムーマ・エンドさんがいらっしゃった。どうやら、あれだけのことをしでかしたのに許してくれるらしい。まったく、小さな見た目とは裏腹にとんでもない大物だ。


「・・・ありがとう。」

「きゅ~~♪」


 僕はお礼を言いながら、そっとムーマ・エンドをなでた。なでる手はムーマ・エンドの体をすり抜けることはなく、表面をきちんとなぞることができた。そのさわり心地はなんとも不思議な感じがした。ガスの塊と、なで心地がとんでもなく素晴らしいクッションを足して2で割ったような、そんな撫で心地だった。


「どうやら、これで一件落着だな。」


 一連のやりとりを横で見ていた西村が、こちらに近づいてきつつ、まとめるようにそう言った。なんだかたかが薬草採取の依頼のはずなのに、ここまで来るのに大変な苦労をした気がする。


「うん、そうだね。これで一件落着だよ。

それじゃ、そろそろ現実世界に帰りましょうか。 ムーマ・エンド、いっちょお願い。僕たちを眠りから覚めさてくれる?」

「きゅ~!」


 打てば響くように、ムーマ・エンドは返事を返す。やがて、僕たちは、そろって夢世界から意識が遠のくのを感じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ