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第2章 第21話 人を驚かせるとはこういうことなのだ

長らくおまたせいたしました! 

  

 気が付くと、辺り一面真っ黒な世界に僕はいた。どの方向を向いても真っ暗なだけで今自分がどちらを向いているのか見当もつかない。しかし、地面の感覚だけはあったのは救いだった。ここがどういう場所で今がどういう状況かはわからないが、落ち着いてまずは現状の確認を試みる。光源となるものはないのにもかかわらず、自分の周りだけはなぜかくっきりと見えた。自分の持ち物を手で触ったり、取り出したりすることで確認する。

 今、所持及び装備しているものは服と杖、そして某神様特製サイフと、それからつい先日作ったばかりの冒険者カード。


「・・・ん?」


 冒険者カードを裏返して確認してみたら、いつのまにか知らない魔法が一つ増えていることに気付いた。スキル取得欄に、


『火属性魔法:Deadly Blaze』 ← New!


 と書いてあったからだ。この魔法だけ、字体が『ホラー映画に出てきそうな、下手な筆記体みたいな崩し字』で書かれているのがまた不気味だ。謎の液体がしみだしてきても納得してしまうだろう。


「・・・まぁ今は置いておこう。他には何かないものか・・・。」


 自分の確認が済んだら次は周囲の状況の確認だ。何が起こるかわからないので杖だけは出したままにする。周りを見ても黒い闇が広がるばかりでなにもないかに見えた。だが、10メートルほど先の方に大きめの何かが置かれているのが視認できた。そのモノだけが暗闇の中に浮かんでいたからだ。とりあえずソレに向かって前進する。


「あ・・・。これは・・・。」


 そこにあったのは、いや、そこに倒れて眠っていたのは人だった。その人物の名前は簡単にわかる。西村 遊稀だ。師匠の顔を忘れるわけがない。


「そうか。僕は・・・。」


 西村の顔を見て思い出す。僕たちは二人ともムーマ・エンドの催眠術をくらっておねんねしてしまったことを。ということは、ここが夢空間ということか。ならばこの場所のどこかにヤツもいるはず。ヤツを倒して、可及的速やかにこんな場所からはおさらばするしかない。ヤツはどこだ・・・。この場所はヤツの術の中。必ず近くに潜んでいるはずだ。

 西村の近くで中腰になり、首だけを動かして辺りを見回す。こちら側にはいないようだと少し警戒を緩めて後ろを振り向いたとき―



 「―きゅ?」


 小首をかしげるムーマ・エンドと超至近距離で見つめあうことになった。


「うわああああああああああああ!!!!」


 悲鳴を上げながら派手にしりもちをつきつつ、手足を何とか動かしてズリズリと後退する。情けないなどと言うなかれ。不意打ちでこんなことをされたら、誰だってこうなるはずだ。

 驚きまくっていた僕とは違い、ムーマ・エンドは落ち着いているようだった。敵ながらさすがだ。本職のお化けは違う。

 だが今はヤツを褒めている場合ではない。ヤツは西村のそばで舞うように浮遊しながらくるくる回って、怪しい歌のようなものを口ずさんでいる。確認をとるまでもない。あれは、絶対に人体に悪影響のある何かだ。

 何とかして強引にでもあの歌を止めなければなるまいが、僕にはヤツに通用しそうな攻撃手段がない。可能性があるとすれば、いつのまにか習得したらしい『Deadly Blaze』なる魔法だけだろう。

 僕は、ヤツの歌をかき消すように―


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! これでも喰らえー!! 『Deadly Blaze』!!」


 と、立ち上がりざまにヤツに杖を向けつつ叫んだ。


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