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第2章 第20話 終わりの始まり


 西村の案内に従って穴場をめぐる事しばし。夕方くらいの時間になってしまったが僕たちは大量のアフギ草の入手に成功していた。人生の先輩の偉大さを知った瞬間だ。


「いやあ、採れた採れた。よくこんなに穴場を知ってたね。」


 本当に予想外なほどに収穫できてしまった。西村のおかげだ。


「いやいや、長生きしてりゃあそういう知識も増えるもんだよ。もう一か所だけ穴場を知ってるから、そこだけ回って帰ろうか。」


 結構いろいろまわったのにまだ穴場があるらしい。反対する理由もないので、僕は肯定の返事を返した。

 西村さんのナビの通りに10分ほど進んでいくと、見慣れた植物がうっそうと茂っているのが確認できる地点に到着した。なかなかいい繁殖具合だ。さっそく採取しようと立ち膝の状態になったところで―


「・・・ふぁっ?」


 いきなり西村さんにタックルをしかけられ2メートルほど吹き飛ばされた。白昼(という時間ではないが)堂々と行われた突然の凶行。準備していないところに仕掛けるという、いともたやすく行われたえげつない行為。『いきなり何するんだよ。』と文句を言おうとしたところで、西村さんが地面に倒れこんだ。


「・・・ファッ?!」


 突然のことにおかしな声を出してしまったがそんなことはどうでもいい。これはどういうことだ。なぜいきなりコードを抜かれたゲーム機のごとく西村さんがシャットダウンする? ナルコレプシー? そんなことはない。なんらかの攻撃を受けたと考えるのが妥当。ならばどこかに下手人がいるはず。警戒を怠るな・・・。

 杖を引き抜き、辺りを観察しながら西村さんの状態を確認しようとする。西村さんの口元に手を当て、呼吸の有無を確かめようとしたところで、僕の視界にある生き物の姿が入ってきた。


「こ、こいつは・・・。」


 黄色いお目目に赤い瞳。黒い靄で2等身の体を構成しているモンスター。この目で見た限り、見た目の特徴が今朝受付で説明を聞いたヤツにそっくりだ。おそらく得意技は催眠術で、『こいつに会ったらとにかく逃げろ』がキャッチコピーになっているにちがいない。

 確認を取るべく、すかさずヤツを左目で注視する。出てくるウィンドウ。そのクリーチャーの名前は、やはりというべきか『ムーマ・エンド』となっていた。LVは94だった。


「やはりムーマ・エンド・・・!」


 なるほど、そうか。今になって西村さんの行動の理由を理解した。おそらく西村はこいつが僕たちに向けて催眠術を仕掛けようとしているのを見たのだ。そして、僕がそれに気づいていないことに気づき、とっさに僕を突き飛ばした・・・。

 ということは、西村さんは眠っているだけだろう。致死性の何かを食らったわけではないのだ。そこは良かっ―


 いやそうじゃない。食らったのはただの催眠術じゃなく、ムーマ・エンドの催眠術! このままでは決して目覚めることはないと考えるべきだ。それどころか、このままでは西村さんが目の前のヤツに何をされるかわかったもんじゃない。


「・・・またか。」


 またなのか。また僕から師匠を奪おうというのか。前世では、あのマジシャンが。今度は、お前が・・・!

 ふざけるな。そんなことがあっていいものか。

・・・憎い。目の前のあいつが憎い。ならばどうする? 簡単だ。目の前のあいつをこの世から排除する。そのためならば、どんな代償を払ってもいい。代わりに、ヤツを確実に葬る手段を! ヤツの高い魔法耐性なんか関係なく、ヤツをこの憎しみの炎で焼き殺す魔法が要る! なんとしてでも!


 自分を険しい顔でにらんでくる僕を見て、ムーマ・エンドはこちらの敵意を察知したのだろう。僕に対して怪しく光る眼を向けて、何事かつぶやいた。

 これが催眠術か。それに気づいたのは抗いがたい睡魔に襲われてからだった。どうしようもできず、眠りに落ちる僕。この時、何かの電子音のような音を聞いた気がした。



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