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第2章 第19話 さあ、戦闘の時間だ・・・

 

 まだ見ぬ異世界産の植物を目指し、二人で横に並んで道を歩く。門を出てからも西村との雑談は続いていた。


「ところでこっちの方に行くってことは、採取するのはアフギ草だろ?」


 さすが異世界の先輩。なんでもお見通しだ。


「なんでわかったの?」

「いや、俺もここに来てすぐのころは一応冒険者やってたって言ってただろ? 初心者が受ける依頼の内容はだいたい覚えてるんだ。で、こっちのほうに行く薬草採取といえばアフギ草しかねぇだろって考えたわけ。」

「なーるほど。ってことは今も冒険者カード持ってるんだよね。見せて見せて。」


 今の西村のステータスが地味に気になってたからね。


「ああ。いいよ。はい。」


 そう言って西村は僕に冒険者カードを渡してくれる。受け取ったカードを見て驚いた。かなりレベルが高い。具体的にはこんな感じだ。


 ユーキ=ニシムラ ランク:C

種族 エルフ  年齢 20歳  男性  LV61

HP:2160

MP:1220

筋力:824

防御力:642

素早さ:972

精神力:1145


 裏面も見てみる。


取得スキル

・スピードアップ(20)

・ブレイズエッジ(40)

・スパークエッジ(40)

・ポイズンエッジ(40)

・フリーズエッジ(40)

・ウィンドエッジ(40)

・見切り(80)

・ブレードダンス(610)


「なにこれ? 西村さんいつから人間やめちゃったの? ステータスが愉快なことになってるよ?」


 そして出てくる感想がこれである。


「失礼な奴だなぁ。裏稼業でいっぱい仕事すりゃあ嫌でもレベルが上がるんだよ。」


 なにやら疲れた顔で言ってくる西村。見えない苦労をいっぱいしてきたのだろう。そんな苦労人な師匠になにか言葉をかけようとしたところで闖入者が現れる。そう、魔物である。そいつは、一見すると丸くてブニブニしてるボールみたいな感じのやつだった。ちなみに色は緑。こいつは絶対にアレだろう。


「おぉ、話には聞いてたけどほんとに魔物出てきたよ! スライムってやつかなあれ!? テンションあがってきたよ師匠!」

「おお、そうだな。」

 

 初めて見る本物の魔物に少なからず興奮している僕と比べ苦労人師匠はそっけない。この世界に来て見慣れてしまっているからだろうか。


「じゃあ先攻は弟子にゆずってやるよ。俺はお手並み拝見としゃれこませてもらおうかな。」


 そう言って、西村は少し後ろにどく。名状しがたいスライムのような者達は、僕だけを敵認定したのかこちらのみを睨みつけている。とりあえず僕は左目でやつらを見つめる。すると・・・


『グリーンスライム   LV10、HP600』

『グリーンスライム   LV10、HP600』


 という表示が出た。相手がLV10なら僕でもやれるはず。とりあえず無言で右手の先に魔法陣を形成し、そこからスタートリックを取り出す。そして同時に、


「『シャインファイア』!!」


 と杖を掲げつつ叫ぶ。すると杖の先にバレーボールくらいの大きさの白く輝く火の玉が出現し、そこから白色の炎が緩やかなカーブの軌道を描くように右と左に2つ伸びていき、それらは途中でそれぞれ軌道を変えて逆サイドに曲がっていき、どちらの炎もスライムを直撃し派手な爆発を起こした。はじめて撃ったがなかなかの火力だ。


「おおう。こいつはすごい・・・。」


 煙が晴れると、そこには焦げ跡以外何も残されてはいなかった。どうやらきちんと殺ったようだ。


「すげえじゃん、足立。じゃあ俺もかっこいいところ見せないといかんなぁ。」


 西村さんも驚きつつ、いつの間にか両手にナイフをスタンバイさせている。どちらも刃渡り20cmくらい。片方は刃にはギザギザがついていて真っ直ぐな刀身のナイフ。もう片方はギザギザが付いていない代わりにやたら湾曲しているナイフだ。すごく物騒な人を見ている気分になる。というか実際物騒だ。


「西村、それ法律的にアウトなんじゃ・・・。」


 とりあえずそこは突っ込まずにはいられない。すると西村は、


「え、それおかしくない? 異世界でも同じこと言えんの?」


 と、笑いながら返してきた。この世界には刃渡りなどについては細かい規定はないのだろう。


「さっきカードで俺のスキルを見たから予想できてるかもしれないけど、俺はこの世界では魔法は使わずこの2つのナイフを武器に戦うんだ。まあ見とけよー。」


 そう言って、僕から離れ、5歩ほど先行する西村。ナイフを取り出したものの、この近くにはそれらの獲物になる生物はもう存在しないはずだが・・・?

 僕はそう思っていたのだが、西村は違った。西村は見逃がさなかった。草むらの隙間に見える黒い縄のような何かを。

 西村は右手に持ったナイフで10メートルほど先にいるソレを指し示しつつ、僕に


「今からあのヘビを始末するからな。まばたき厳禁だぞ。」


 とそっとささやいてきた。僕はしずかにうなずく。それを確認してから、西村さんは動き出す。


「『スピードアップ』。」


 西村さんは、まずささやくように自身にバフをかけた。名称的におそらく自分の素早さが上がるスキルなのだろう。そして自身の洗練されたスニーキングスキルでもって、ターゲットに音もなく接近していく。大抵の生物ならばこの接近にはまったく気付けずに自身の命を刈り取られることになるだろう。

 だが、今回の獲物は相手が悪かった。今回のターゲットは蛇だ。そう、やつはピットという器官を使い、目で見ずとも、聞こえずとも、熱によって生物の存在を察知することが可能なのだ! 西村さんがある程度近づいたところで、黒蛇は不意打ち的に西村に向かって飛びかかり逆襲を仕掛ける。この咬みつき攻撃だが、常人の反射神経では、これをかわすことはかなり難しい。初動をまったく見せずに最短距離を一瞬で詰めてくるからだ。

 西村さんに毒牙が迫る。黒蛇の口が、大きく開く。その恐るべき口が、西村さんの左腕に向かって突き進む。黒蛇が、西村さんに咬みつかんとナイフの攻撃範囲に入ったその瞬間―


「『ブレイズエッジ』。」


 西村さんはスキルを使いつつ、カウンター気味に右手のナイフを振るった。ナイフが当たった蛇の顔部分が、小爆発をおこし、消し飛ぶ。頭は消し飛ばしたが、慣性の法則に従って、残った黒蛇の胴体部分が西村さんに向かって飛んできた。それに当たっても問題はないのだろうが、彼は油断なくそれを左手のナイフの峰の部分で打ちおろし、地面に叩きつけることで飛来してきた胴体の勢いを殺す。

 ここでこの勝負は決着。西村の圧勝だ。


「・・・しばらく見ない間にずいぶんと変わりましたなあ爺さんや・・・。」


 もうほんとにこれしか言えない。


「誰が爺さんだよ誰が。さっ、目的地まで急ごうぜ。」


 こちらのジョークに軽く突っ込みをいれる西村。僕たちは、お互いに笑いながら道を歩いていった。



ここまで来てようやく初戦闘シーンですよ、ハッハッハ・・・。

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