第2章 第10話 さあ、デッキからカードの剣を引け!
前回が短すぎたので怒涛の更新!
マイクマンの人が差し出してきたたらいに参加料を放り込んだあと、僕は差し出された椅子に座る。すると目の前でカードをシャッフルしていたギラヴィなる人物が話しかけてきた。
「おまえ、ポーカーは知っているかにゃ?」
ヤクザの親分みたいな見た目の猫人に語尾をにゃにして話しかけられても、違和感とがっかり感しかわかないということをその瞬間にあらためて認識させられる。味わわされてしまったがっかり感を相手に悟られないように隠しつつ、はい。と答える。
「なら話は早いにゃ。では、ここでのルールを説明するにゃ。」
そう言って、ギラヴィはカードをシャッフルしつつ説明しだす。
「カードを5枚それぞれの手札に配ったあと、お互いに一度ずつまで手札のカードを好きな枚数交換できるにゃ。役の強さは、
ロイヤルストレートフラッシュ
ストレートフラッシュ
フォーカード
フルハウス
フラッシュ
ストレート
スリーカード
ツーペア
ワンペア
ブタ(ノーペア)
の順に強いにゃ。ジョーカーはなし。ここまではいいかにゃ?」
うなずく僕。
「ではカードを配り始めるにゃ。と言いたいところにゃんだけど、このまま配り始めるとにゃあがイカサマをしていると思われてしまうのにゃ。そこで・・・。」
言葉をとめると、ギラヴィはシャッフルの手を止めて、こちらにカードを差し出してきた。
「おみゃーさんにもカードを好きに切ってもらうのにゃ。好きに切ってもらったところで、そこからカードを配り始めるにゃ。では、好きにシャッフルするといいにゃ。」
うなずいて、差し出されたカードを受け取る。見たところ、そこらで普通に売っていそうなごく普通のトランプだ。さわった感じ、サイズも地球産のものと変わらない。素材はプラスチックのようなもので出来ているようだ。これはありがたい。 とりあえずまずはカードを表が見える向きで一列に広げてカードの並びを確認する。そのあと、カードを一つにまとめ、裏返しにしたところでヒンズーシャッフルをする。とどめに、カードの山を半分に分けてベリベリとお互いにカードをかみ合わせた後パラパラするシャッフル(リフルシャッフルというらしい)を一度だけやり、満足したところでカードをギラヴィに返す。
「もういいのかにゃ?」
受け取ったカードの束を手に持ち、確認をとるギラヴィにうなずきを返す僕。
「では、カードを配るにゃ。にゃあが配ってイカサマを働いたと思われると困るから、おみゃーさんにギャラリーの中から一人選んでもらって、その人にカードを配ってもらうにゃ。」
そう言われ、後ろのギャラリーを見渡す。すると、前の方に先ほどの野次馬Aさんがいたので彼女に配ってもらうことにした。
「では、あの人で。」
「わかったにゃ。じゃあ、そこの人、カードを配る仕事をしてくれにゃ。」
ギラヴィが野次馬Aさんを手招きする。その様はまさに招き猫だ。マイクマンの人に引っ張られ、野次馬Aさんがこちらのテーブルまでやって来た。ギラヴィは彼女にカードを渡すとカードを配るように指示した。その際に、『じゃあせっかくだからチャレンジャーの方から配るといいにゃ。』とギラヴィに言われた野次馬Aさんは、僕の方から順番にカードを交互に配り始めた。そして、お互いに手札が5枚配られる。
「では、勝負開始にゃ。手札交換は、おみゃーさんからするといいにゃ。」
言われてからとりあえず配られたカードを見てみる。配られたカードはクラブの3、ハートの6、スペードの6、スペードの7、スペードの9だった。このままではワンペアなので・・・。
「僕は3枚交換するよ。」
そう言って、僕は手札の6以外のカード3枚をテーブルに裏向きに置いた。ブラフをしかけても意味がない以上、この交換で手札がどこまで強くなるかが重要だ。野次馬Aさんが新たなカードを3枚くれる。配られたカードはクラブの10、ダイヤのJ、ハートの5だった。つまり、手札の強さはワンペアのままということになる。
「・・・・・・。」
野次馬Aさんも僕の手札が気になっていたようなので、彼女だけに見えるようにこっそりと手持ちのカードを見せる。彼女は表情だけで「本当にこんなんで勝てんのか?」と聞いてきた。なにも言わず、僕はそっと顔をそむける。
「その様子だと、あまり良いカードが来なかったのかにゃ? では、にゃあは手札を2枚交換するにゃ。」
そう言いながら、ギラヴィもカードを2枚裏向きで捨てた。すかさず、野次馬Aさんはギラヴィに新たなカードを2枚渡す。ギラヴィは受け取った2枚のカードを、手札に残っていた3枚の中に加え、カードの順番を並び替える。並び替えが終わったところで、
「では、カードオープンにゃ!まずはおみゃーさんから手札を公開するにゃ!」
とギラヴィが言ってきた。僕が右手に扇状になるように持っているカードを見つめながら、ギラヴィがにやにや笑う。野次馬Aさんは僕の後ろに立ち、絶望した顔で僕の手持ちのカードを見ている。さあ、ここからが本番だ。
「わかりました・・・。あ、でもカードを見せる前におまじないをさせてください。」
僕は手札を場に出す前に、左手の親指をそっと手札の一枚に当てた。




