第2章 第5話 はじめてのまほう
あのあと、僕は2万Gを払い、スタートリックを受け取って店を出た(店長は、その杖をもっていって討伐に行ってくれてもかまわないと言ってくれた。)。店長さん(やっぱりオーディという名前だった)いわく、ムーマ・エンドをたおした証明になるものを何かこの店に持ってきてくれればそれでいいそうだ。ちなみにスタートリックを持った状態で、冒険者カードに記されていた精神力の値を確認したら300上昇していた。
それと、店内で僕は新たに一つ魔法を習得した。杖を購入した直後に、『その杖を持ち歩いているとチンピラなどから因縁をつけられるかもしれないから普段は隠しておけ。』とオーディさんから助言を受け、『なんか魔法陣を通して物を自由に出し入れできたらいいなあ。』とか思った瞬間、冒険者カードからピキーン!と音がした。何事かと思い見てみたら、冒険者カードの習得スキル欄の部分に、
『無属性魔法:魔法空間』(消費MP:0)←New!
と書かれていた。まさかと思いつつも脳内で『魔法空間』と唱え、右手を伸ばす。すると、予想通りに右手の先に魔法陣が現れた。大きさは半径30cmくらいだ。オーディさんに言って新杖グリーンアイを借り、それを右手に持ったまま魔法陣の中に突っ込んでみる。するとやはりというべきか、魔法陣の先からは僕の右手は出ていなかった。試しに魔法陣の先の空間内で持っていた杖を手放し、右手を引き抜くと、同時に魔法陣が消えた。床に杖が落ちる音はしない。たぶん謎空間に無事に放り込まれたのだろう。
そして、頭の中で先ほど入れた杖をイメージしつつ、『魔法空間』と今度は声に出して唱えてみる。すると、再び右手の先に先ほどのものと同じ魔法陣が出現した。右手を突っ込むと同時に手に杖が握らされる。それを握ったまま引き抜くとやはり握っていたものは新杖グリーンアイであった。どうやら僕が望んだ通りの魔法が出来たらしい。自分がほしいと思った魔法がそのまま即座にできてしまうんだろうか。そのあたりもいろいろ検証しておいた方がよさそうだ。
僕は、店を出る前にオーディさんに教えてもらった宿(ヨミコのシン亭という名前だった。1泊(朝、夜飯あり)4000G。良心的な値段設定で、ご飯はおいしかった。)の二階の一室に泊まり、激動の一日を終えるのだった。ムーマ・エンドのことについて動くのは明日からだ。
これから先、なにかとお金は要り様になってくるだろう。そうなると何か依頼もこなさなくてはならないな。依頼を受けるなら、おそらく外回りもすることになるだろうからなにか攻撃魔法のようなものも修得しておく必要があるな。どんなのがいいだろう・・・?
いろいろと考えることは多いが、楽しい日々になりそうな予感がした異世界初日の夜だった。
キリュウインさんの初めての無属性魔法の目撃者は、店長さんということになりましたね。




