三話 ワープゲート進化論
ところで………自分ただ構想だが、歴史の時間の話だ。
黒板の前に立つ50代半ばに見える先公は黒板を指差し授業をしている。
なんとも変わらない。
あぁ、変わらないハズだ。
隣の席の奴が机の上でワープゲートを作ってなけりゃあな!!!
歴史の授業開始直前にトイレへ行ったかと思うと隣では何か作業をしていた。
もちろん何時もの事だから気には止めなかった。
異臭がするまでは。
「お、おい! 授業中だぞ………先生に見つかる前にやめろ……!!」
と小声で言うが「大丈夫」の一点張り。
「おい、その材料は何だ! 何処から取ってきたんだよ………」
「え? 雑草と土と上履き」
「上履きが存在感在りすぎなんですけど! つかそんな材料で作れるのか!?」
衝撃的だった。
軽くNASAが動くぞ。
「うーんとね、こーやってコネコネするの」
「こねこねなの!? 絶対違うよねその手の動き!!」
隣から見ても、その…………言葉に出来ない手の動きで素材をこねくり回す様は至って異常だった。
「よし、完成………よっと」
田中が上履き手を突っ込むと、どんどん奥へ手が入っていく。
遂に肩まで腕が入る、ちなみにこれは上履きに手を突っ込んでいる。
「おい!? 肩まで腕入っちゃってるけど!! 何やってんだよ………」
授業中なので大声は出せない。
かといって先生にバレたらそれはそれで御仕舞い。
「あ、これだ………ゴソゴソ」
「な、何かあったのか? なんだそれは!?」
「わ、分からない………うんしょ」
田中が上履きから手を引っこ抜く、彼女の手に捕まれていたのは………
「体操着!!」
「よし、今日忘れちゃったんだよね………これで午後も出られる!!」
「革命だよ!! 最早人間の領域じゃねぇよ!!」
あ…………
クラス全員の目線がこっちに向かってくる。
もう、結果は読めているよね。
空が茜色に染まる。
二人揃って試験の追試を受けていた、試験が二人ともギリギリ赤点と言う悲惨な結果終わってしまった為だ。
「ふぇぇ~………やっと終わったぁぁあああ」
「ふぅ………」
空が自棄に暗く感じた。
雲の隙間から顔を出す様に見える太陽は一方的に此方を照らす。
「ところでさ、君の名前聞いてなかったよね……?」
「あ、あぁ…………俺は根炉 暗明。アンタは、田中………なんだっけ?」
田中しか知らなかった、たしか………彼方?
「私は田中 彼方、下から読んでもたなかかなた! どう、カッコいいでしょ?」
あ、合ってた。
たなかかなたってのはスゴいな、家族はスゲーセンスしてる。
「よし、先生に報告して帰ろ!」
「何で一緒に帰る前提なのかは知らんが………行くか」