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田中さんと根暗くん  作者: 杠 音韻
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二話 一度クソが付いたら結構取れないアポカリプス

午後12時を回った。

空は赤紫に染まり、夏の臭いが鼻を擽る。

俺の漆黒に染まった右腕は、同じ様に染まった太陽と共鳴し、嘲笑う。


うん、完璧だ。


絶賛厨二病と化した俺は、ポエムを書いている。

痛い。


ネット界隈では僕ら厨二病の事を「(σ・∀・)σイタイヤツ、ハッケ―――ン!!!!」とか叫ばれて居るだろう。

そんなもの僕は知らない。

そろそろ学校に行かないと行けない時間だ、仕度を済ませ玄関に赴く。

暗明(あきひさ)ー、ご飯食べないのー?」

「遅刻しちゃうから食べれないなママ。行ってきます」

愛するマミーにサヨナラをし、学校に登校する。

住宅街の一等地に立った我が家は庶民的な僕が通う学校には程遠い。

遠すぎる。


近くにもうひとつ進学校がある。

僕はそれに落ちた。

愚者の快楽さ。

小学生の頃も中学生の頃も同じ。

同じ。

我ながら情けない事に、僕は非常に頭が優れない。

ゲームやシュミレーションでは機転が効くのに、何故この世界は思うように動いてくれない?

万を越える予兆パターン、モニタに映る美少女の行動、それら全てをマスターしても、この世界に生きる女子はそれを凌駕した完成度で僕を迎え撃つ。


それはプログラムのモブ敵よりも強かった。

それはネットの名だたるプロゲーマーよりも高度だった。


僕は敗北を喫した。

そして弱者の目を孕んだ。


それが醜くて醜くて。

僕は変わろうとした。

そしたら―――――――


「ありゃ? 隣の席の…………」

曲がり角から出てきたその屈託のないキラキラとした瞳は僕を捉える。

めんどくさい奴。

「…………じゃあな」

「まてまてまて、一緒に学校行こうよー」

「それは僕に言ってるのか。お前と学校に行く筋合いは無い雑草でも食ってろ」

彼女が顔を近付けて言い迫る。

………それが、その…………彼女の髪の匂いが………良い匂いで…………

ハッ!!!

いかんいかん、僕は彼女をひっぺがし、構わず歩き出す。

「ま、待ってよ―、私は馬じゃないから草も食べないのっ!!!」

「そりゃ知ってるっての!! 付いてきたきゃ付いてこいよ………めんどうだな……」

「う、うん……」

な、何だコイツ。

最初っから自分で言ってるのにいざとなったら弱いのか……?


面白い。


「おい、何だ? 自分から言っておいて不満なのか?」

「い、いや……不満じゃ無いんだけど……」

そう言って彼女は僕から目を逸らす。

ほほう、彼女は嘘を吐くのが下手らしい、僕は追撃をする。

「それでは何故目を逸らす? やはり僕と歩くのが嫌なのだろう? なぁ?」

「えーっと……そうじゃなくて………」

僕は彼女に近付く。

「う………臭いから近付かないでぇ!!!」


ピキーン。


何か割れる音がした。

何か割れた、絶対割れた。

あれ、可笑しいな。前が曇ってくる。

彼女は汚物を見る様な目でこちらに「来るな」と訴えかけている様にも見えた。


行き過ぎた。

何を僕は華奢になっている、僕はネクラでオタク。

こんな勝ち組女子に釣り合う程の度量は持ち合わせて居ない。

ただ単純に答えは出た。


「ご、ごめん…………もう近付かねぇ」

「うん、ちゃんと学校に行く前に靴洗ってね…………」

靴? 今の会話で靴の関連が合ったか?

会話を辿るが、そんな共通点は無い。

僕は謎の解明を求めて、靴を見る。


答えは、そこに合った。


「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアうんこ付いてるゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!」

離れろ離れろ離れろ靴を地面に擦り付けるがその黄色い汚物は離れない。

そう、宿敵うんこ。

その黄色い動かない物体は無尽蔵に地面に現れ、敵の存在を確認すると足元まで移動して自殺行為を繰り返す。


そう、まさに[初代ポケット○ンスター]ジムリーダーのキョウのマタドガス行為をして来るのだ。


「うぇ…………取れそうに無いね………公園行く……?」

「うん………公園行く………」

僕は黄色く染まった革靴を引き摺りながら、学校ではなく公園へと赴いたのであった…………


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