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赤髪との決闘

よろしくお願いします。

 何で赤髪が居るんだ?あぁ、冒険者なら居るのは当たり前か。

 まさか私目的じゃないよ……。って真っ直ぐこっち来てるな。


「来やがったな!昨日は言いたい放題言いやがって。単なるハーレム要員が俺に逆らって……」


 何かウダウダ言ってるけど取り敢えず無視して掲示板に行く。


「おい!無視するなよ!聞いてんのか?!」

「聞いてねーよ。ボケ」


 さすがにイライラしてきたので、振り返り様に女の子にあるまじき言葉を呟く。


「あんた何がしたいの?パーティー入りの話は昨日断ったよね?」

「あれだけバカにされて引っ込めるかよ!俺と決闘しろ!」


 青髪の少女はおろおろしてるだけで止めようとしない。ってか誰?このバカに決闘とか教えたの?

 周りの冒険者を見たら一人顔を逸らした。

 お前だな?顔は覚えたからな!


「嫌よ。私にメリット何もないじゃない」

「はぁ?!断んのかよ!こういうのは受けるのが常識だろうが!」


 あんたの常識なんて知らないし。

 さらに無視して掲示板に顔を向ける。


「無視すんなって言ってんだろうが!」

「シュラ君、もう村に帰ろうなのです!」


 バシィ!


「キャ!」

「うるさい!俺に指図するな!」


 赤髪に頬を叩かれ床に倒れる青髪の少女。


「ちょっとあなた大丈夫?!」

「は、はいなのです」

「あんた……。最低な男ね……」


 赤髪を心底軽蔑した目で睨み付ける。


「う、うるさい!お前が決闘を受けないからだろうが!」


 私はゆっくり立ち上り赤髪に向き直る。

 もう勘弁ならない!

 女の子に手をあげた挙げ句に人の所為とは。


「何を言われても決闘は受けないわよ。あんたみたいなバカで最低な男の希望をなんで叶えないといけないのよ。保護者のこの子と一緒に村に帰って、ママのミルクでも飲んだらいいんじゃない?」

「てんめ~」


 とうとう赤髪が剣の柄に手をかけた。


「冒険者のルールを聞いてないのかしら?ここで剣を抜いたらあなたは犯罪者よ。聞いて無いなら情状酌量はあったかもしれないけど、今聞いちゃったね。証人いっぱい居るけど、どうする?そんな度胸どうせ無いんでしょ?」


 赤髪が剣を抜こうとしたが、


「ダメなのです~!!」


 青髪の少女が私と赤髪の間に割って入って、赤髪の剣の柄を押さえる。

 ちっ、もうちょっとだったのに!


「イチ、やり過ぎです」

「リューナ……」


 リューナに怒られた。ちょっと頭に血が上りすぎたかな。


「いいじゃねーかイチ。決闘受けてやれよ。俺がやってもいいがイチが蒔いた種だしな。腕の一本でも落としたら大人しくなるだろ」

「シャル!」

「リューナ。こういう問題児はダメだぞ。いくら言っても聞きゃしねー。体に教えないとダメなんだ。そもそも決闘を申し込んだのはその小僧だぞ?」


 さすがに冒険者の先輩であるシャルの言葉は重い。リューナも黙って肯定の意を示す。


「はぁ~わかったわよ。赤髪裏庭に行くわよ」

「望むところだ!」


 何でこいつはこの状況で反省しないんだ?

 あっ、裏庭さん暫くぶりです。

 続々と野次馬らしき冒険者も裏庭に集まる。その中には昨日見た黒いローブの男も居る。


「じゃ俺が勝ったらお前らのパーティーに入れてもらうからな!」

「そういえばそんなこと言ってたわね。イ・ヤ・よ」

「何でだよ!そういう約束だろ?!」

「そんな約束してないって。それより、決闘を申し込んだ意味わかってる?殺されても文句言わないってことよ?」


 青髪の顔が真っ青になった。あれ?もしかして意味わかってなかったの?

 そんなことより私も油断は出来ない。Cランクの魔物単独撃破なら、下手したら魔力量はリューナに匹敵するかもしれない。装備からして戦士だが……。


「あっ、そうそう。こんな場所だから魔法は無しね。私も使わないから」

「使うまでもねーよ!」


 魔法あったか……。


「じゃ、ルールの確認ね。魔法は無しでその他は何でも有り。他人の手出しは無用。ルールを破った場合は奴隷になる。以上よ。これでいい?」

「ああ」


 両手で刀を構えながらルールの確認を大声でする。そして、この時点でねねに目配せをしておく。頷くねね。


「では決闘開始!」


 シャルの開始の合図と共に赤髪は魔力を纏う。ありゃ、想像以上。シャルまで届くか?しかし……。


「はぁ!」


 赤髪は上段に構えた大剣を無造作に降り下ろす。早いけどバレバレ。難なく躱し、足払いを掛ける。

 見事にスッ転んでいく赤髪。足元まるで無警戒だったな。

 こいつ対人経験ほとんどないんじゃないの?魔物の相手ばっかりしてたんじゃないの?


「くそ!避けんじゃねーよ!」


 意味がわからないことを言う。

 無言で倒れている赤髪に、右手に掴んだ刀で追撃を仕掛ける。急いで起き上がった赤髪は避け切れないが、何とか大剣で捌く。

 お~すごい反応速度だ。

 右手に掴んだ刀で、単調な打ち合いをしておく。

 普通に当てるのはちょっとめんどくさい。楽しよう。


 ──バッ!


 左手に掴んでいた砂を赤髪の顔にぶつける。


「うわ?!」


 無様に慌てる赤髪。腕一本もらった!


 ──斬!


 くるくると宙を舞う赤髪の右腕。ピューピューと真っ赤な鮮血が腕の付け根から溢れ出る。


「えっ?あれ?うえ?あっ、おっ、俺の腕が……」


 思わず左腕で血を塞ぐ赤髪。勿論そんなことで止血は出来ず、垂れ流される赤髪の血。


「もういい?早く止血しないと死ぬわよ?」

「ふざけるなよ!卑怯な手使いやがって!」

「可笑しなこと言うわね?一切ルールには反してないわよ?」


 ふざけるなとかぶつぶつ言いながら、赤髪が左手をこちらに向ける。やっぱり……。


「死ね!『火炎球(ファイアボール)』!」


 燃え盛る火炎球(ファイアボール)が迫ってくる。避けようともしない私に、嫌らしい笑みを浮かべる赤髪。


「『魔法障壁(マジックシールド)』」


 ねねの防御魔法が私を包む。


 パン!


 乾いた音を立てて火炎球(ファイアボール)は掻き消える。

 普通に避けたら周りに被害出るからね。


「さすがねね!わかってるわね!」

「当然」


 ドヤ顔のねね。可愛い。略してドヤねね。


「それまで!ルール違反によりイチの勝利!」

「あ、あぁ~」


 青髪の顔が真っ青になる。さて……。


「あんたの負けよ。ルール違反の場合覚えてる?」

「奴隷か?」

「そうよ。でも誰のとは決めてないからね」

「???」


 意味がわかってない赤髪。


「ちょっとこっち来て!」


 青髪を招き寄せる。こっちもわかってないようだ。


「あんたはこれからこの子の奴隷になるの」

「はぁ~?!」

「ここまで連れ添ってくれたこの子に恩返しなさい。シャル!問題無いよね?」

「あぁ、何も問題は無い」


 呆気に取られる二人。


「さて、じゃあなたに聞きます。あなたの奴隷が死にかけてます。ここに治せる光魔法使いがいます。どうしますか?」

「な、治して下さいなのです!」

「だってさリューナ!お代は全財産でいいよ!」


 にっこり笑う私に引き攣った顔を向ける少女。まぁ全財産は冗談だけど。

 リューナの治癒魔法が赤髪の腕を繋げる。


「イチも何だかんだ言って甘いですね」


 そうかな?リューナの言葉に小首を傾げる。


「あんた……。何処から計算通りだったんだ」

「青髪ちゃんが止めるまではあんたを犯罪者にするつもりだったけど、それからは楽して決闘勝つことが第一で、奴隷云々は出来たらいいな?って程度。計算って言う程でもないよ」


 そんなにあんたのこと気にして行動するわけないじゃん。無理なら殺そうと思ってたし。


「じゃ奴隷契約を済ましに行きましょうか」

「顔見知りの商人がしてる奴隷商店があるからそこに行こう」


 シャルの知り合いなら大丈夫だね。治癒を終えた赤髪を連れ組合を後にした。


 この世界には奴隷がいる。当たり前だが元日本人の私には馴染みが無いものだ。だけど、奴隷解放とかを叫びはしない。

 奴隷は死罪の代わりや、労働力の確保に無くてはならないものだから。その商売で飯を食ってる人もいる。いきなり奴隷廃止などしたら、いろんな所で歪みが出る。

 こういうのは口を出さない方がいい。

 ……決してめんどくさいからじゃないよ?!


「そういえば名前聞いてなかったわね」

「あ、私はフランと言いますなのです」

「シュラ……」


 赤髪スッゴい凹んでる。そりゃそうか今から奴隷に成りに行くんだから。でもフランは変な扱いしないと思うよ。たぶん。


「私は市、でかいのがシャル、シュラの腕を繋げたのがリューナ、魔道士がねね」

「腕を繋げる光魔法なんて初めて見たなのです!すごいなのです!」

「でさ、フランとシュラはどういった関係なの?王都まで付いて来るなんてさ」

「シュラ君は私の幼馴染なのです。小さい村でずっと一緒に育ちましたなのです」


 幼馴染!萌えるねぇ。


「シュラ君はずっと私を守ってくれたなのです。魔法も教えてくれたなのです」

「そっかぁ。でもあんな態度じゃいつかもっと酷い目にあったかもよ。これからはフランがしっかり手綱を握らないとね」

「はいなのです!」


 奴隷商店に着いた。大通りに面したなかなかに大きな商店だ。

 武器や防具等の冒険者相手の商品から、市民相手の消耗品、奥の方には富裕層相手らしきの商品。

 かなり幅広くやっているようだ。


「ブラームは居るか?シャルが来たと言えばわかる」


 おお、顔パスなんだ。

 店員が奥に行き、しばらく待つとデップリと肥えたおっさんがやって来た。

 貫禄あるなぁ。


「お久しぶりです。シャローン殿」

「シャルでいいといつも言ってるだろ?それよりまた太ったんじゃないのか?」

「ははっ、お陰様でいい商売をさせていただいていますので。それで、本日はどういったご用件で?」


 なかなか抜け目ない感じだ。こういう奴は付かず離れずがいいんだよね。


「今日は奴隷紋をしてもらおうと思ってな」

「ほう、シャローン殿も奴隷を持つように?」

「いや、俺じゃない。おい」


 フランとシュラを呼び前に出す。


「こっちの少女が主人でこっちの少年に奴隷紋を頼む」

「なるほどわかりました。では取り敢えず中に行きましょう。おい。奴隷紋のインク壺を持って、いつもの部屋に来てくれ」

「畏まりました」

「では付いてきて下さい」


 商店の奥に案内され、応接室らしき部屋に通される。高そうな調度品が置いてあり、いかにもな部屋だ。

 このソファーふかふかだな。なんの皮だろ?


「それは灰色兎(グレーラビット)の皮ですよ」


 知らん。後私の心を読むな。


「高そうですね」

「まぁそれなりに。商人はこういう所で見栄を張らないといけませんので」


 上辺の会話を続けているとドアがノックされ、先程の店員が入って来た。手にはインク壺を持っている。


「ではさっそく始めましょうか。最初に契約書を。どのような条件になさいますか?」

「えっ、あ、あの……」

「奴隷は初めてですか?」

「はいなのです!」

「では簡単な説明をいたしましょう」


 奴隷紋に出来ることは、奴隷の魔力を縛り、主人の意図したこと以外の行動を起こすと、魔力のバランスを崩れさせ全身に激痛を起こさせる。

 聞いてる限りかなり自由度があるな。


「でもそれって何で判断しているのですか?」

「奴隷自身ですよ。命令されたことに背いたり、主人の意図に反していると自身が思ったら激痛が起きます。後、任意で主人が罰することも出来ます」


 本人次第?!でもちゃんと成り立ってるっぽいし……。わからん。不思議要素(ファンタジー)ってことにしとこ。


「まず『主人に逆らってはいけない』『主人の命令以外で他人を傷つけてはいけない』『主人の意図に反しない限り自身の生命は守る』この三つが基本命令ですね」


 なんちゃらの三原則じゃん。考えることはどの世界でも一緒か。


「じゃあその三つと後一つお願いしたいなのです」


 えっ!意外!最低限の命令だけにすると思ってたのに。私を愛せ!とかか?!


「『他人に出来る限り優しくする』と、これを追加してほしいなのです!」

「フラン……」


 フランちゃんごめん!私って穢れてるなぁ。


「はい。畏まりました。以上でよろしいですか?因みに、奴隷が犯した罪は主人が責任を負いますので」

「はい!大丈夫なのです!」


 一枚の羊皮紙に契約内容と奴隷に対する条件が書かれ契約完了になる。


「ではお代は銀貨一枚になります」

「は、はいなのです!」

「確かに」


 シュラの心臓付近にインクで何やら紋様が書かれる。


「では血を少々戴けますか?」


 フランにナイフが手渡され紋様に血を垂らす。

 うお。悪魔の契約みたいだ。

 垂らされた血はインクと混ざり、紋様に溶けて見えなくなる。


「これで奴隷契約完了です。何か不備がありましたら商店までおいで下さい」


 あのインクは魔道具なのかな?


「シ、シュラ君、体は何ともないなのです?」

「ああ、特に変化は感じられないな。これで俺は奴隷かぁ。フラン、俺の面倒一生見てくれよな!」

「いっ、一生……。はいなのです!」


 あ~あ。顔真っ赤にしちゃって。まぁこれからは二人の問題だよね。頑張って奴隷するんだぞ!シュラ君!


「私達は組合戻るけどあなた達はどうする?」


 ……。


「フランお前が決めないと」

「あっ!そうなのです!お金を稼がないといけないので私達も組合に行きますなのです!」


 治療費のこと忘れてたな。


「リューナ治療費どうする?」

「これから大変なのですから、二人の再出発のお祝いにしておきます」

「そう言うと思った」

「ありがとうございますなのです。ほらシュラ君もお礼を言うなのです」

「ありがとうございます。その、なんだ。迷惑掛けて悪かったよ」


 頭を下げるシュラとフラン。大丈夫そうだね。

 ちゃんとシュラをコントロールするんだよ。


 シュラとフランをからかいながら組合に戻り、スイングドアを開けて中に入った。

 その私達を見た受付の娘が、小走りにこちらに駆けてくる。

 どした?


「魔女の尻尾の皆様。指名依頼が来ています。二階の組合長の部屋までお願いします」


 ほんとに魔女の尻尾って呼ばれてるんだ。それより、指名依頼?一体誰が?

お読みいただきありがとうございます。

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