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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

JUN:2017

作者: 来栖

俺の人生は順風満帆といえただろう、高校生だったあの時までは。


×××


 俺は故人・栗原謙と同じクラスだった。いつも成績を競い合う友達、周りからはそう見えていたことだろう。結果はいつも俺の圧勝。あいつはいつも悔しがっていたな。


 あいつはお世辞にも頭がいいとはいえなかった。学年での成績は真ん中ぐらい。対して俺は、学年上位だった。毎回勉強せずともいい成績を取れた。毎日あいつが勉強している間、俺はずっと遊んでいたわけだ。


 成績が悪かったあいつをいつも俺は心の中で見下していた。なのにあいつは……。


 俺の人生が狂いだしてきたのは大学生になってからだ。


×××


 俺は、当然 あいつよりも上の大学に行った。そこで俺はトップの成績をとり、大企業へ就職し結婚をする計画だった。しかし、そこで 問題が発生したのだ。大学の勉強に、ついていけなくなったのだ。


 俺は、生まれてこの方 勉強というものをちゃんとしたことがなかった。トップの成績をとってきた自分のことを天才だ思っていたし、それで周りを見下してきた。その考え方は変わることが無かったこともあり、周りに質問することは無かった。そんな屈辱的な行為は、できない。


 だからといって、勉強もしたくなかった。そこで、俺は、きっと大丈夫だろうと現実逃避をすることに努めた。結局、俺はギリギリの成績で大学を卒業した。これも、もとが良かったからに違いない。


 しかし、俺は 見事に就職活動に失敗していた。


 最初に受けたのは、誰でも知っている一流企業だった。しかし、俺はその就職面接に落ちた。俺は、この事実を認められなかった。天才である俺が、この程度の試験で落とされるなど ありえない。面接官は見る目が無い。そう思って、心を落ち着けた。


 その後も、俺は 続けて何十社も落ちることになった。おかしい……。なんだこれは。こいつら、揃いも揃ってなんて見る目が無いんだ。


 俺は就職活動をやめた。見る目のない奴らの下で働くなど、天才の俺のすることではないからだ。


×××


 就職を諦めた俺の生活は、親からの仕送りによって支えられていた。やりたいことなど、何もない。家でずっとダラけるだけの生活だった。


 三食コンビニ弁当を食べるだけの生活。味覚もいつの間にか麻痺していた。こんな生活に、嫌気がさしていた。うんざりだ。しかし、それでも俺は 何もしなかった。


×××


 ある日、親から仕送りを止められた。バイトも何もしていなかった俺は、困り果てた。このままでは、とても生きていけない。俺は初めて焦りというものを経験したのだ。


 その後の俺は、コンビニのバイトを何年も続けることになる。あれだけ見下していた底辺の生活。気づけば俺もそいつらの仲間になっていた。全てを恨んだ。俺に分かるように教えない大学教授。俺を採用しないクズ企業。仕送りをしない親。この世の全てを恨み、妬んだ。


×××


 そんな生活が続いていたある日、俺はあいつと再会した。そう、栗原とだ。


 あいつは嫁と子供の三人で出かけていた。俺には気づいた様子はない。まあ、あの頃の面影はほとんどなかったからな。


 あいつは幸せそうだった。人生の絶頂期、まさしくそれだった。なんであいつが……。俺はこんな生活をしているのに、あのゴミは幸せそうに笑っている。俺は、屈辱感で死にそうだった。


×××


 気づけばあいつを殺していた。誰もいない道端で、殺したんだ。ざまあない。お前みたいなゴミが幸せであっていいわけないだろ。俺のような天才こそが、お前のような生活を送るべきなんだ。


 栗原を殺すことには成功した。邪魔者は完全に消えた。そのはずなのに、それだけでは 俺の気は晴れなかった。


 俺は、血で濡れた手を見つめながら あることを閃いた。


「そうだ、こいつの嫁を殺そう。ついでに子供も殺しておこうか。」


 俺はあいつの嫁の行動を調べ上げた。仕事の帰り道。俺は、そこで栗原の家族を殺すことに決めた。


×××


 電車の中。栗原の嫁が 老人と高校生と話しているのを、俺はじっと見つめていた。..

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