新しい居場所
「はい、ご主人さま」
ユウキは出口に向かって歩いて行く途中で
後ろを振り向くと遅れていたので声をかける。
「申し訳ありません。ご主人様」
「いや、誤ることはないが迷子になるなよ
あと名前はなんていうんだ?」
「はい、リリアといいます」
名前を聞いて夕飯を食べるために小道を歩く
ここらへんでおいしい店をさっき
商人に聞いておいた。
「(どうしてこの人は何のとりえもないこの私を
買ったのだろう?
拷問したりするのかなぁ?
どうせろくでもない使われ方をするはず
もうこんな人生いやだ楽になりたい・・・)」
その時リリアは思い出す。
「主人を攻撃すれば首が閉まる」
確かに商人は言っていたこのまま苦しい人生なら
死んでしまったほうがましだ。
小道の隅に落ちていたとがった鉄の棒を拾い上げる
「(沢山お金を払ってもらってごめんなさい)」
ユウキに向かって鉄を突き刺そうとする
途中で手が止まり首が閉まる
声を上げるとばれてしまうので
苦しいが我慢するだんだんと意識が
なくなっていく。
カランカラン鉄の棒を落とすと気が付いた
ユウキは振り向く
「どうしたんだ!解除!」
とっさの判断で苦しんでいるという状況から
自分に攻撃してきたと考えた。
コホコホと席をするリリアに尋ねる
「どうしてこんなことをしたんだ?」
「私はあの場所でずっと厄介者扱いでした。
夜の仕事もできずかといって戦えるわけでもない
役立たずです。拷問とかして反応を楽しむことぐらいしか
できません、苦しむぐらいなら死のうと思って・・・」
そんなことを聞いてびっくりする
「そうか、心配させたね。
リリアを買ったのは事情があって僕が回復魔法を
使えないからだ、だから拷問なんかしないよ?」
それを聞いたリリアは泣き始めた。
「ありがとうございます、これから役に立てるように
頑張ります。」
「じゃあ夕飯食べるからついてきて」
「わかりました!」
ひと騒動あった後すすめられた店につき
入って見るとガヤガヤとにぎわっていた。
「1名様ですか?」
「は?」
店員にそう尋ねられふと振り返ると
そこにリリアの姿が見えなかった
「ちょちょっと待ってくれ」
「はい」
店から出て見渡すとリリアが立っていた
「なんで突っ立ってるんだ?」
「ご主人様と一緒に食事なんてとんでもない
安いパンとかで大丈夫です。」
「これから一緒に探索とかするんだから
一緒に食べなさい」
「わかりました。ありがとうございます!」
「じゃあ店に入ろうか」
さっきの店員に2人だとつげ席につく
周りがこちらを見てざわついているが
気にしなくていいだろう。
「皆さんがこちらを見てざわついている様です。
私のせいでご主人様に不快な思いをさせて
申し訳ありません」
シュンとした様子でリリアが言う。
「いいんだ、気にしなくて慣れてるから
ところで何頼む?」
メニューを見せてリリアに聞くと
「ご主人様が食べるのを私が選ぶのですか?」
とんでもない答えが返ってきた。
「いやいや、リリアが食べるものだよ。
何を食べようとしてたんだ?」
「ご主人様が食べきれなかったおこぼれを貰うものだと
思っていました。」
「そんな鬼畜なことしないから
どんなものでも頼みなさい。」
笑顔で答えると真剣な表情でメニューを見る
「うぅーん、こんな豪華なものをいただけるのは
初めてなのでどれがいいかわからないので
ご主人様と同じものでもいいですか?」
リリアがそういったのでハンバーグみたいなものと
リリアのためにジュースとデザートを頼んだ
甘いものが嫌いなので自分のものはない。
注文したものがテーブルに運ばれる。
「じゃあさっそく食べるか!」
「はい、ありがとうございます」
ハンバーグもデザートも結構な量だったが
残すことなリリアは食べきった。
昨日の宿に帰る途中リリアは申し訳なさそうに
つぶやいた。
「先ほどは申し訳ありませんでした。勝手な思いこみをして
ご主人様のお金を無駄にするところでした。なのにおいしい
ご飯やデザートまでいただいて・・・」
「いや、誤解するのも無理はないよ
明日からは回復魔法で活躍してもらうから
よろしく頼むよ~」
「回復ならお任せください、
私は回復しかできないので頑張って練習してましたので!」
「あぁ期待してるよ」
そのあと宿に戻りベットをダブルの大きさに変えてもらったのに
リリアが床で寝ようとしたのはまた別のお話し。