日本語再入門講座【音声・音韻】 ~一音一拍~
私が子どものとき、次の様な遊びをしたのを覚えている。
まずゲームに参加しているもの全員でじゃんけんをする。
「グー」 で勝てば「グ・○・コ」
「チョキ」 で勝てば「チ・ョ・コ・レ・ー・ト」
「パー」 で勝てば「パ・イ・ナ・ッ・プ・ル」
と、音の数と同じ歩数だけ先へ進める。
そして、最も早くゴールにたどり着いた子が勝ちである。
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さて、この「ひとつの音」 のことを「拍」 という。
日本語の場合、例外を除いて「平仮名」「片仮名」 1文字=1音、つまり「1拍」 である。
例えば「あめ」 は「2拍」
「びよういん」 は「5拍」 となる。
そして「拍」 の長さは全て同じである。
例えば「おじさん」 の「じ」 だけ長く言ったら「おじーさん」、つまり「おじいさん」 になって意味が変わってしまう。
拍の練習法としては、手拍子を叩きながら「あめ」 等という。
「(叩く)あ (叩く)め」
と練習すれば、「あめ」 は2拍であり、「あ」 と「め」 は同じ長さであることが分かるだろう。
さて、先程「拍」 について例外があると述べた。
実は先程のゲームでひとつだけ「拍」 のルールに反するものがある。
本当は「5音」=「5拍」 なのに、6歩進むものだ。
答えは「チョコレート」 だ。
「チョコレート」 の「チョ」 は、これで1拍である。
小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」 は、「拗音」 と呼ばれ、「きゃ」「きゅ」「きょ」「しゃ」「しゅ」「しょ」「ちゃ」「ちゅ」「ちょ」 のように、括弧内で1音、つまり「1拍」 となる。
ちなみに日本語学校で、「拗音」 をどのように教えるかだが、以下の手順で行う。
まず「き」「や」 を学生に見せ、単独で発音してもらう。
次に「きゃ」 と板書し、「や」 が小さいことを示したら、教師が「きやきやきや……」 と、徐々に「き」 と「や」 を言うペースを速めていく。
「きや」 を速く言うことで「きゃ」 になる。
つまり、「1拍」 で「き」「や」 を言えば「きゃ」 になるのだ。
あとは同じように「きゃきゅきょ」「ぎゃぎゅぎょ」「しゃしゅしょ」 等も練習していけばいい。
さて、ここでひとつ読者の皆さんが疑問に思っていることがあるだろう。
先程のゲームで「パイナップル」 の小さい「ッ」 は1拍なのかどうかだ。
これについては次回に「特殊拍」 の中で触れるとしよう。