日本語再入門講座【文法】 ~い・な形容詞の否定形~
本日2回目の更新です。
最新話から来た方はご注意ください。
5月17日
前回は「い形容詞」 と「な形容詞」 が何か? を説明した。
今回は、「い・な形容詞」 の否定形を考えてみよう。
早速だが問題だ。
◆◆◆
【問】
学生が「い・な形容詞」 の否定形の練習で次の誤用=間違いをした。
――私はパンが好きくないです――
あなたはこの文を「パンが好きじゃありません」 に訂正したら、学生から次の質問があった。
「アルバイトの日本人が『好きくないです』 と言っていました。どうして駄目ですか?」
あなたはこれに対してどう答えるか?
なぜこのような誤用が発生したのか文法的に説明せよ。
◆◆◆
さて、読者の皆さんは正しい「否定形」 を使えているだろうか?
今までにテレビなどでもこの類の間違いをしている日本人を何度か見たことがある。
そして、日本語を学んでいる初級レベルの学生は同じような誤用をする。
では、今の誤用を分析してみよう。
前回、「い形容詞」 と「な形容詞」 の違いを解説したが、「好き」 は、どちらに分類されるだろうか?
「好き な もの」
なので、「な形容詞」 である。
分からなかった方は、ひとつ前の説明を読んで頂きたい。
さて、「な形容詞」 の否定形の作り方だが、
すき + じゃありません。
上記のように、「な形容詞」 のうしろに「じゃありません」 をつければ否定形になる。
「好き じゃありません」「きれい じゃありません」「きらい じゃありません」「ハンサム じゃありません」「元気 じゃありません」 等だ。
日本語学校では、「な形容詞」 だけ入れ替えて次々に否定形を練習させる。
【ポイント】
「な形容詞」 の否定形は、
「な形容詞」+じゃありません。
では、なぜ「好きくないです」 という誤用が発生するのか?
理由は簡単である。
「い形容詞」 の否定形が「~くないです」 だからである。
「い形容詞」 の例として「大きい」 を挙げよう。
――この部屋は大きいです。――
「大きい」 を否定形にするとこうなる。
――この部屋は大きくないです。――
ご覧の通り、「~くない」 になるのだ。
ちなみに、「い形容詞」の否定形の作り方は次の手順で行う。
「おおきい」 の「い」 を「くない」 に変換する。
他の「い形容詞」 の否定形も同じルールで、最後の「い」 を「くない」 に変換することで否定文となる。
大きいです→大きくないです・小さいです→小さくないです
高いです→高くないです・低いです→低くないです
ただし、「い形容詞」 には、ひとつだけ例外がある。
「いい」 の否定形は「いくない」 ではなく、「よくない」 である。
いいです→よくないです
【ポイント】
「い形容詞」 の否定形は、「い」 を「くない」 に変換する。
「いい」 の否定形は例外で、「よくない」 になる。
さて、冒頭の【問】 に対する回答が出た。
「好き」 は「な形容詞」 なので、「好きくないです」 は誤り。
この誤用が発生した背景には、「い形容詞」 の否定形と混同したから。