日本語再入門講座【文法】 ~学校文法と日本語文法~
読者の皆さんは中学や高校の国語で習った文法にどのようなイメージを持っているだろうか。
私が特に印象的だったのは、「かろかっく……」 や「だろだっでに……」 のような、まるで呪文か暗号文かのようなものを暗唱させられたことだ。
あとは「私は毎日パンを食べます」 といった文で、「食べます」 は「動詞の連用形」 云々言われて、何が何だかわけワカメだった。
むしろ、日本で暮らしている日本人にこの文法の知識が必要になるときが来るのだろうかとさえ、思ったほどだ。
さて、このような日本の学校の国語の時間に習う文法を「国文法」、もしくは「学校文法」 という。
一方で日本語学習者も日本語を習得するために文法を勉強している。
読者の皆さんは、外国人があの難解な学校文法を勉強しているのかと思うかもしれないが、彼らが日本語学習で学ぶ文法は、まるで別物である。
少なくとも前述のような呪文や暗号文などは覚えないし、「未然形」「連用形」 等と言った用語も出てこない。
外国人が「日本語を勉強するために覚える文法」 を「文型文法」 もしくは「日本語文法」 と呼ぶ。
例えば「私は毎日パンを食べます」 という文で、「食べます」 は語尾が「~ます」 なので「ます形」 と呼ぶ。「食べて」 は「て形」、「食べた」 は「た形」 だ。
「食べる」 は辞書に載っている形なので「辞書形」 と呼ぶ。
詳しくは次回以降、「日本語文法」 の解説をしていくが、日本語の初級教科書では、「~ます」 の「ます形」 が基本の形となり、どのように「て形」 や「辞書形」 に変換していくのかを勉強していく。
今後、このエッセイの中で「文法」 と言った場合、読者の皆さんが国語で勉強した「学校文法」 ではなく、日本語を勉強するための「日本語文法」 のことである。
是非、中学や高校で勉強した文法との違いを体感してもらいたい。