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エルフに数学を装備するだけ  作者: めいぜんおーえす
三章:一階述語論理
40/51

一階述語論理のメモ2

〇エルフの村-エーリルの家



エーリル

「じゃあ、⊥からやっつける」


ディアナ

「やっつける?」


エーリル

「そう、やっつける」




■一階述語論理での⊥の定義


c:定数記号

⊥:⇔(¬(c = c))



エーリル

「OK、定義した」


ディアナ

「次は矛盾ですかね」


エーリル

「任せて」



■meta thm1.4

T:公理系

φ,ψ:論理式

とする。次の(1),(2),(3)は同値。


(1) すべての論理式ψでT |- ψ

(2) T |- φ かつ T |- (¬φ)

(3) T |- ⊥



proof

・(1)ならば(2),(2)ならば(1)の証明

命題論理と同様



・(1)ならば(3)の証明

すべての論理式ψでT |- ψだから、ψに⊥を代入すればT |- ⊥。



・(3)ならば(1)の証明

c:定数記号

とする。


1 ⊥ [Tの定理]

2 (¬(c = c)) [def⊥ el 1]

3 (∀x (x = x)) [Ax6]

4 (c = c) [∀el 3]

5 ψ [explosion 4,2]

よって、すべての論理式ψでT |- ψ。



エーリル

「一階述語論理がわかったら凄い理解ができた。

 メタな論理でも同じようなことしてるのわかりすぎる。

 しかも爆発して素晴らしい」


ディアナ

「explosionは⊥なしで定義できるのですか?」


エーリル

「できる」


ディアナ

「では問題ないと思います」


エーリル

「よし次!」



■meta thm1.6(代入の性質)

φ,ψ:論理式

x:変数記号

t:項

とする。


(11) ((φ∧ψ)[t/x]) = ((φ[t/x])∧(ψ[t/x]))

(12) ((φ∨ψ)[t/x]) = ((φ[t/x])∨(ψ[t/x]))

(13) ((φ⇔ψ)[t/x]) = ((φ[t/x])⇔(ψ[t/x]))

(14) (⊥[t/x]) = ⊥

(15) 変数記号yがx = yでない かつ tv(t)に含まれない ならば


((∃y φ)[t/x]) = (∃y (φ[t/x]))


(16) 変数記号yがx = yならば


((∃y φ)[t/x]) = (∃y φ)


(17) 変数記号yがx = yでない かつ tv(t)に含まれ、変数記号wがx = wでない かつ tv(t)に含まれない ならば


((∃y φ)[t/x]) = ((∃w (φ[w/y]))[t/x])


ただし、wは使用する変数の列の中で、x = yでない かつ tv(t)に含まれない最初の変数記号とする。

もし使用する変数の列の中で、x = yでない かつ tv(t)に含まれない変数記号がない場合は、新しい変数記号wを追加する。




proof

・(11)の証明

((φ∧ψ)[t/x])

= ((¬(φ⇒(¬ψ)))[t/x]) [∧の定義]

= (¬((φ⇒(¬ψ))[t/x])) [代入の定義(7)]

= (¬((φ[t/x])⇒((¬ψ)[t/x]))) [代入の定義(6)]

= (¬((φ[t/x])⇒(¬(ψ[t/x])))) [代入の定義(7)]

= ((φ[t/x])∧(ψ[t/x])) [∧の定義]



・(12)の証明

((φ∨ψ)[t/x])

= (((¬φ)⇒ψ)[t/x]) [∨の定義]

= (((¬φ)[t/x])⇒(ψ[t/x])) [代入の定義(6)]

= ((¬(φ[t/x]))⇒(ψ[t/x])) [代入の定義(7)]

= ((φ[t/x])∨(ψ[t/x])) [∨の定義]



・(13)の証明

((φ⇔ψ)[t/x])

= (((φ⇒ψ)∧(ψ⇒φ))[t/x]) [⇔の定義]

= (((φ⇒ψ)[t/x])∧((ψ⇒φ)[t/x])) [代入の性質(11)]

= (((φ[t/x])⇒(ψ[t/x]))∧((ψ[t/x])⇒(φ[t/x]))) [代入の定義(6)]

= ((φ[t/x])⇔(ψ[t/x])) [⇔の定義]



・(14)の証明

(⊥[t/x])

= ((¬(c = c))[t/x]) [⊥の定義]

= (¬((c = c)[t/x])) [代入の定義(7)]

= (¬((c[t/x]) = (c[t/x]))) [代入の定義(5)]

= (¬(c = c)) [代入の定義]

= ⊥ [⊥の定義]



・(15),(16),(17)

前回証明した。



エーリル

「代入をやっつけた」


ディアナ

「番号の(11)とかはどういう意図ですか?」


エーリル

「代入の定義の続き」


ディアナ

「なるほど」




■meta thm1.7(自由変数の性質)

φ,ψ:論理式

x:変数記号

とする。


(5) fv((φ∧ψ)) = fv(φ)∪fv(ψ)

(6) fv((φ∨ψ)) = fv(φ)∪fv(ψ)

(7) fv((φ⇔ψ)) = fv(φ)∪fv(ψ)

(8) fv(⊥) ={}

(9) fv((∃x φ)) = fv(φ)\{x}




proof

・(5)の証明

fv((φ∧ψ))

= fv((¬(φ⇒(¬ψ)))) [∧の定義]

= fv((φ⇒(¬ψ))) [fvの定義(3)]

= fv(φ)∪fv((¬ψ))) [fvの定義(2)]

= fv(φ)∪fv(ψ) [fvの定義(3)]



・(6)の証明

fv((φ∨ψ))

= fv(((¬φ)⇒ψ)) [∨の定義]

= fv((¬φ))∪fv(ψ) [fvの定義(2)]

= fv(φ)∪fv(ψ) [fvの定義(3)]



・(7)の証明

fv((φ⇔ψ))

= fv(((φ⇒ψ)∧(ψ⇒φ))) [⇔の定義]

= fv((φ⇒ψ))∪fv((ψ⇒φ)) [fv∧]

= (fv(φ)∪fv(ψ))∪(fv(ψ)∪fv(φ)) [fvの定義(2),(2)]


-------------------

エーリル

「んー、fv(φ)∪fv(ψ)までいけると思ったんだけど詰まった」


ディアナ

「……(fv(φ)∪fv(ψ))と(fv(ψ)∪fv(φ))って違うんですか?」


エーリル

「あ、一緒か。どんな集まりを合わせる順番は関係ないはず。

 しかも、同じ集まりを合わせても変わらないからこうか」

-------------------

= (fv(φ)∪fv(ψ))∪(fv(φ)∪fv(ψ)) [∪の順番を変えた]

= fv(φ)∪fv(ψ) [∪で同じ集まりを合わせた]




・(8)の証明

c:変数記号

とする。


fv(⊥)

= fv((¬(c = c))) [⊥の定義]

= fv((c = c)) [fvの定義(3)]

= tv(c)∪tv(c) [fvの定義(3)]

= tv(c) [∪の計算]

= {} [tvの定義(1)]


・(9)の証明

前回証明した。




エーリル

「よし、完璧」


ディアナ

「エーリルも証明ができるようになったんですね」


エーリル

「さトぅーさんから伝授してもらったから完璧」


ディアナ

「天々城さんからも教えてもらったのではないですか?」


エーリル

「今回はどこかに出かけて戻ってこなかった」


ディアナ

「……なにかあったんですかね」

■ここまでの参考文献と読書案内


[1]菊池誠, 不完全性定理, 共立出版, 2014.

作者が主に参考にしている本です。

Hibert流の命題論理から議論をしています。

タイトルは不完全性定理ですが、論理学の入門書としてもオススメです。



[2]鹿島亮, 数理論理学, 朝倉書店, 2010.

こちらは自然演繹で議論を進めています。

数学の証明をキチンと書けるようになりたいならオススメです。



[3]前原昭二,記号論理入門[新装版],日本評論社,2014

命題論理や一階述語論理について参考にさせていただきました。

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