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エルフに数学を装備するだけ  作者: めいぜんおーえす
三章:一階述語論理
39/51

一階述語論理のメモ1

2017/1/27

⊥の定義を変更しました

〇エルフの村-エーリルの家



 エーリルが帰宅したのでディアナと合流。

 さっきまでの話をディアナに伝えた。




ディアナ

「一階述語論理ですか。

 命題論理と比べても記号が増えてますね」


エーリル

「表現力も強力に強くなってて凄い」


ディアナ

「記号が増えれば表現力も上がって当然でしょう」


エーリル

「強力な兵器感が半端ない」




■thm1.8(∀の変数記号の交換)

x,y:変数記号

φ:論理式

{(∀x (∀y φ))} |- (∀y (∀x φ))


proof

1 (∀x (∀y φ)) [ax]

2 (∀y φ) [∀el 1]

3 φ [∀el 2]

4 (∀y φ) [∀in 3]

5 (∀y (∀x φ)) [∀in 4]




ディアナ

「これは感覚とも一致してますね。

 考えているときにもそれほど違いを気にしないですし」


エーリル

「あれ、さトぅーさんの書き込みがある」


ディアナ

「あちらの文字が読めないので、読み上げてください」




************

fv((∃x φ))と((∃y φ)[t/x])の話が間に合わなかった!

∀と同じような結果になるから、もし証明できたら今度来たときに教えて!

************




エーリル

「らしい」


ディアナ

「できるんですか?」


エーリル

「んー、とりあえずやってみる」



■(∃x φ)の自由変数


fv((∃x φ))

= fv((¬(∀x (¬φ)))) [∃の定義]

= fv((∀x (¬φ))) [fvの定義(3)]

= fv((¬φ))\{x} [fvの定義(4)]

= fv(φ)\{x} [fvの定義(3)]



エーリル

「お、できたできた」


ディアナ

「¬は無視なんですね」


エーリル

「fv((∃x φ))とfv((∀x φ))は同じなのか。

 言われてみれば確かに」


ディアナ

「次は((∃y φ)[t/x])ですね」


エーリル

「∀と同じようなって、まさか……」




(8') 変数記号yがx = yでない かつ tv(t)に含まれない ならば


((∃y φ)[t/x])

= ((¬(∀y (¬φ)))[t/x]) [∃の定義]

= (¬((∀y (¬φ))[t/x])) [代入の定義(7)]

= (¬(∀y ((¬φ)[t/x]))) [代入の定義(8)]

= (¬(∀y (¬(φ[t/x])))) [代入の定義(7)]

= (∃y (φ[t/x])) [∃の定義]




(9') 変数記号yがx = yならば


((∃y φ)[t/x])

= ((¬(∀y (¬φ)))[t/x]) [∃の定義]

= (¬((∀y (¬φ))[t/x])) [代入の定義(7)]

= (¬(∀y (¬φ))) [代入の定義(9)]

= (∃y φ) [∃の定義]




(10') 変数記号yがx = yでない かつ tv(t)に含まれ、変数記号wがx = wでない かつ tv(t)に含まれない ならば


((∃y φ)[t/x])

= ((¬(∀y (¬φ)))[t/x]) [∃の定義]

= (¬((∀y (¬φ))[t/x])) [代入の定義(7)]

= (¬((∀w ((¬φ)[w/y]))[t/x])) [代入の定義(10)]

= (¬((∀w (¬(φ[w/y])))[t/x])) [代入の定義(7)]

= ((¬(∀w (¬(φ[w/y]))))[t/x]) [代入の定義(7)]

= ((∃w (φ[w/y]))[t/x]) [∃の定義]


ただし、wは使用する変数の列の中で、x = yでない かつ tv(t)に含まれない最初の変数記号とする。

もし使用する変数の列の中で、x = yでない かつ tv(t)に含まれない変数記号がない場合は、新しい変数記号wを追加する。




エーリル

「デスヨネー」


ディアナ

「∀の代入の定義が込み入ってますね」


エーリル

「いやでも、これも∀と∃を入れ替えるだけか。

 そう考えたら概念が頭に流れ込んでくる感じがしてきた」


ディアナ

「その感覚はよくわからないですね」




■thm1.9(∃の変数記号の交換)

x,y:変数記号

φ:論理式

{(∃x (∃y φ))} |- (∃y (∃x φ))


proof

1 (∃x (∃y φ)) [ax]

2 (∃y φ) [ax]

3 φ [ax]

4 (∃x φ) [∃in 3]

5 (∃y (∃x φ)) [∃in 4]

6 (φ⇒(∃y (∃x φ))) [⇒in 5 el 3]

7 (∀y (φ⇒(∃y (∃x φ)))) [∀in 6]

8 (∃y (∃x φ)) [∃el 2,7]

9 ((∃y φ)⇒(∃y (∃x φ))) [⇒in 8 el 2]

10 (∀x ((∃y φ)⇒(∃y (∃x φ)))) [∀in 9]

11 (∃y (∃x φ)) [∃el 1,10]




エーリル

「そうか。∃inは代入を使うし、∃elは論理式の自由変数を気にしないといけない。それに気づいたさトぅーさんがメモに書いたのか」


ディアナ

「錬度の違いですかね。

 たぶん私たちがこれを見ても気づかなかったと思います」


エーリル

「ぐぬぬ……」




■thm1.10

x,y:変数記号

φ:論理式


{(∃x (∀y φ))} |- (∀y (∃x φ))


proof

1 (∃x (∀y φ)) [ax]

2 (∀y φ) [ax]

3 φ [∀el 2]

4 (∃x φ) [∃in 3]

5 ((∀y φ)⇒(∃x φ)) [⇒in 4 el 2]

6 (∀x ((∀y φ)⇒(∃x φ))) [∀in 5]

7 (∃x φ) [∃el 1,6]

8 (∀y (∃x φ)) [∀in 7]




エーリル

「こっちは天々城さんの書き込みがある」


ディアナ

「なんとおっしゃっていますか?」



**********

逆の{(∀y (∃x φ))}|- (∃x (∀y φ))は証明できない。

証明できないことの証明はできないだろうから、試しに道なりに計算して詰まってみるのがいいだろう。

**********



エーリル

「詰まってみるのがいいだろう、だって」


ディアナ

「つまり問題点を探せということでしょうね」


エーリル

「じゃあやってみる」



proof

1 (∀y (∃x φ)) [ax]

2 (∃x φ) [∀el 1]

3 φ [ax]

4 (∀y φ) [?



エーリル

「あ、ダメだ」


ディアナ

「どうダメだったんですか?」


エーリル

「3行目に∀inを使って(∀y φ)をひねり出したかったんだけど、fv(φ)にyが含まれているときにダメになる。

 (¬φ)を公理にして背理法を使うにしても、どうやって背理法に持ち込んでいいかわからない」


ディアナ

「なるほど。背理法なら(¬φ)から始めて、矛盾したときに(¬φ)が公理から消えるので変数を気にしなくていいということですか。

 それも無理となると厳しいですね」


エーリル

「うーん、どうすればいいんだ……」


ディアナ

「例文を思いついたので、それで構いませんか?」


エーリル

「OK」




(∃x (∀y 村人yの王はx))

(∀y (∃x 村人yの王はx))



ディアナ

「これなら、全然違いますね。

 (∃x (∀y 村人yの王はx))は、すべての村人を統治する王がいる。

 (∀y (∃x 村人yの王はx))は、すべての村人に対して王がそれぞれいる。

 前者は全世界を統一した王がいると言っていますが、後者はそれぞれの村の村長のような人が必ずいるというだけで、その者が全世界を統治しているとは限らない」


エーリル

「流石はドワーフの姫。格が違った」


ディアナ

「証明にはならないでしょうけど、理解の助けにはなるかと」


エーリル

「確かに」




■thm1.(¬∀∃のド・モルガンの法則1)

x:変数記号

φ:論理式


{} |- ((¬(∃x φ))⇔(∀x (¬φ)))


proof

1 (¬(∃x φ)) [ax]

2 φ [ax]

3 (∃x φ) [∃in 2]

4 (¬φ) [¬in 3,1 el 2]

5 (∀x (¬φ)) [∀in 4]

6 ((¬(∃x φ))⇒(∀x (¬φ))) [⇒in 5 el 1]


7 (∃x φ) [ax]

8 φ [ax]

9 (∀x (¬φ)) [ax]

10 (¬φ) [∀el 9]

11 ⊥ [⊥in 8,10]

12 (φ⇒⊥) [⇒in 11 el 8]

13 (∀x (φ⇒⊥)) [∀in 12]

14 ⊥ [∃el 7,13]

15 (¬(∃x φ)) [raa 14 el 7]

16 ((∀x (¬φ))⇒(¬(∃x φ))) [⇒in 15 el 9]

17 ((¬(∃x φ))⇔(∀x (¬φ))) [⇔in 6,16]




■thm1.(¬∀∃のド・モルガンの法則2)

x:変数記号

φ:論理式


{} |- ((¬(∀x φ))⇔(∃x (¬φ)))


proof

1 (¬(∃x (¬φ))) [ax]

2 (¬φ) [ax]

3 (∃x (¬φ)) [∃in 2]

4 φ [¬el 3,1 el 2]

5 (∀x φ) [∀in 3]

6 (¬(∀x φ)) [ax]

7 (∃x (¬φ)) [¬el 5,6 el 1]

8 ((¬(∀x φ))⇒(∃x (¬φ))) [⇒in 7 el 6]


9 (∃x (¬φ)) [ax]

10 (∀x φ) [ax]

11 φ [∀el 10]

12 (¬φ) [ax]

13 ⊥ [⊥in 11,12]

14 ((¬φ)⇒⊥) [⇒in 13 el 12]

15 (∀x ((¬φ)⇒⊥)) [∀in 14]

16 ⊥ [∃el 9,15]

17 (¬(∀x φ)) [raa 16 el 10]

18 ((∃x (¬φ))⇒(¬(∀x φ))) [⇒in 17 el 9]

19 ((¬(∀x φ))⇔(∃x (¬φ))) [⇔in 8,18]




エーリル

「これもド・モルガンの法則なのか」


ディアナ

「雰囲気は¬∧∨のときと似てますね」


エーリル

「あ、さトぅーさんの書き込みがある」



**********

このド・モルガンの法則の証明は⊥の自由変数、つまりfv(⊥)に変数xが含まれないようにしないと∃elが使えないわね。だから、


c:定数記号

⊥ :⇔ (¬(c = c))


と定義すれば自由変数が何もないから使いやすくなる。

ただ、命題論理のときと違うから、矛盾になってることを証明しないといけない)

それと∧∨⇔⊥の自由変数、代入を確かめた方がいいわね。

**********




ディアナ

「メモが終わりってことは、エーリルが自分で埋めるしかないですね」


エーリル

「賢者に不可能はない」

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