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エルフに数学を装備するだけ  作者: めいぜんおーえす
三章:一階述語論理
30/51

それが矛盾したらヤバイ

〇健全な研究室


研究室にやってきた賢者エルフの疑問に、天々城は堂々と答えた。



天々城

「ド・モルガンは黒魔法だ」


エーリル

「やっぱり!? そうだと思ったのよね!」


さトぅー

「嘘はダメ」


エーリル

「嘘!? そんなぁ……」


さトぅー

「定理に発見者や貢献した人の名前がつくことがあるの。

 ド・モルガンの法則は、200年くらい前の数学者オーガスタス(Augustus)(de)モルガン(Morgan)にちなんだものらしい」


天々城

「へー、数学史はよく知らないからフルネームははじめて聞いたナ」


エーリル

「なら、私が定理を見つけたら『エーリルの法則』とか名前つくのよね?」


天々城

「その理論だと、賢者エルフの地元の言葉は『エーリル語』になるぞ」


エーリル

「言われてみるとなんかこう、恥ずかしい」


天々城

「だろ? 俺はこういうの苦手なんだよナ」


さトぅー

「意外ね。結構好きそうなイメージなんだけど」


天々城

「太極()とかパンルヴェ方程()式なら許す」


さトぅー

「私は許さない」




*******************





さトぅー

「それで、質問って?」


エーリル

「∧、∨、⇔って可換性があるから、⇒はどうなんだろうって思ったの」


さトぅー

「⇒に可換性はないわね、結合性もない」


エーリル

「なんで?」


さトぅー

「意味を考えたら当たり前……ってダメか」


天々城

「意味論はやってないからナ。

 ただこんなことはできる」



■meta thm1.0

すべての論理式φ,ψについて{(φ⇒ψ)} |- (ψ⇒φ)


ならば


{}|-⊥


proof

1 (ρ⇒ρ) [⇒の反射性]

2 (⊥⇒(ρ⇒ρ)) [⇒in 1]

3 ((ρ⇒ρ)⇒⊥) [すべての論理式φ,ψについて{(φ⇒ψ)} |- (ψ⇒φ)]

4 ⊥ [⇒el 1,3]



さトぅー

「なるほど、確かにそこまでなら意味論を使わないで証明できるわね」


エーリル

「え、公理なしで矛盾したらどんな論理式も証明できてマズイんじゃ……」


天々城

「その『マズイ』の部分が証明できれば決着だ。

 ヒントを言っておこう」




■meta thm1.1

{} |- ⊥ではない。




天々城

「つまり公理系{}は矛盾しないが、すべての論理式φ,ψについて{(φ⇒ψ)} |- (ψ⇒φ)ならば{}|-⊥だからメタな矛盾をしてしまう。

 だから、メタな¬inを使えば、{(φ⇒ψ)} |- (ψ⇒φ)ではない論理式φ,ψが存在するとわかるわけだ」


エーリル

「待って待って。メタな矛盾とメタな¬inはなんとなくわかるけど、なんで{(φ⇒ψ)} |- (ψ⇒φ)ではない論理式φ,ψが存在するってわかったの?」


天々城

「──なあ、さトぅーさん」


さトぅー

「言いたいことはわかるわよ、論理学の初歩は最低限やってるつもりだから。

 で、私がやるの?」


天々城

「そうだよ」


さトぅー

「はいはいわかった。

 代わりになにか甘いもの買ってきて。それで許してあげる」


天々城

「任せろ。トーラスを1ダース買ってきてやる」


エーリル

「あの、なにがはじまるんです?」


天々城

「一階述語論理だ」

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