⇔
2017/1/15
この話は少しあとの展開にしていましたが、議論の流れが不便になったので、繰り上げました
○健全な研究室
さトぅー
「アレって? ……ああ、アレがないのはだいぶ不便ね」
エーリル
「アレ? アレってなに?」
さトぅー
「同値って記号。
ある意味で"同じ"ってことなんだけど、自然言語で表現するのは難しいわね。
定義を見ればわかるかしら」
■⇔の定義
(φ⇔ψ):⇔((φ⇒ψ)∧(ψ⇒φ))
エーリル
「なるほど、⇒が左右両方ともいえるのが同値の定義なのか」
さトぅー
「そういうこと。推論規則⇔inもそういう風にして追加できる」
■thm0.8
{(φ⇒ψ),(ψ⇒φ)} |- (φ⇔ψ)
proof
1 (φ⇒ψ) [ax]
2 (ψ⇒φ) [ax]
3 ((φ⇒ψ)∧(ψ⇒φ)) [∧in 1,2]
4 (φ⇔ψ) [def⇔ in 3]
■
■⇔in
(φ⇒ψ) (ψ⇒φ)
-----------------[⇔in]
(φ⇔ψ)
天々城
「『エーリルが賢者エルフならば賢者エルフはエーリルで、賢者エルフがエーリルならばエーリルは賢者エルフといえた。
だからエーリルは賢者エルフと賢者エルフはエーリルは同値だ』」
エーリル
「とても直感的だった。
⇔elもありそう」
さトぅー
「⇔elは右と左がある。
まずは左」
■thm0.9
{φ,(φ⇔ψ)} |- ψ
proof
1 (φ⇔ψ) [ax]
2 ((φ⇒ψ)∧(ψ⇒φ)) [def⇔ el 1]
3 (φ⇒ψ) [∧elR 2]
4 φ [ax]
5 ψ [⇒el 4,3]
■
さトぅー
「推論規則を追加しよう」
■⇔elL
φ (φ⇔ψ)
------------[⇔elL]
ψ
さトぅー
「次は右」
■thm0.10
{(φ⇔ψ),ψ} |- φ
proof
1 (φ⇔ψ) [ax]
2 ((φ⇒ψ)∧(ψ⇒φ)) [def⇔ el 1]
3 (ψ⇒φ) [∧elL 2]
4 ψ [ax]
5 φ [⇒el 4,3]
■
さトぅー
「推論規則を追加しよう」
■⇔elR
(φ⇔ψ) ψ
-----------[⇔elR]
φ
天々城
「『エーリルは賢者エルフと賢者エルフはエーリルは同値といえて、エーリルが賢者エルフといえた。
だから賢者エルフはエーリルといえる』」
エーリル
「わかるけど、確かに自然言語だと表現しにくい」
さトぅー
「同値は数学特有の表現よね。
天々城は日常生活で同値って言ったりする?」
天々城
「俺は数学徒だから日常で同値使いまくるんですが」
さトぅー
「質問した相手が悪かった」




