背理法、否定導入
前回分と分割しました
ここでは公理の除去に関する推論規則を定義していきます。
〇健全な研究室
さトぅー
「次は背理法をしよう」
天々城
「脱背理法なんていう人もいるが、背理法だって脱ぐと凄いんだぞ」
さトぅー
「ちょっと関心したけどそうじゃない」
エーリル
「そうじゃないんだ……」
■meta thm0.6
T∪{(¬φ)} |- ⊥
ならば
T |- φ
----------------------
さトぅー
「φと(¬φ)が一組でも公理Tに入ってたらなんでも言えるから、(¬φ)を取っちゃえばいいって感じかな」
エーリル
「マジで?」
----------------------
proof
1 (¬φ) [ax]
2 ⊥ [T∪{¬(φ)}の定理]
3 (¬(ψ⇒ψ)) [⊥el 2]
4 ((¬φ)⇒(¬(ψ⇒ψ))) [⇒in 3 el 1]
5 (((¬φ)⇒(¬(ψ⇒ψ)))⇒((ψ⇒ψ)⇒φ)) [Ax3]
6 ((ψ⇒ψ)⇒φ) [⇒el 4,5]
7 (ψ⇒ψ) [thm0.0]
8 φ [⇒el 7,6]
■
さトぅー
「T |- φ になったでしょ」
エーリル
「G0つよい」
さトぅー
「これも推論規則に追加する」
■RAA
(¬φ)
:
----
⊥
-----[RAA el (¬φ)]
φ
さトぅー
「これが背理法って呼ばれてるテクニック。
ただ実際は次のバージョンを使う方が便利」
■meta thm0.7
T∪{(¬φ)} |- ψ かつ T∪{(¬φ)} |- (¬ψ)
ならば
T |- φ
proof
1 (¬φ) [ax]
2 ψ [T∪{¬(φ)}の定理]
3 (¬ψ) [T∪{¬(φ)}の定理]
4 ⊥ [⊥in 2,3]
5 φ [RAA 4 el 1]
■
さトぅー
「推論規則を追加」
■¬el
(¬φ)
:
----
ψ (¬ψ)
---------[¬el el (¬φ)]
φ
天々城
「背理法使わないけどAx3使いますマンは矛盾の末に頭が爆発する」
さトぅー
「そういうのはいいから」
エーリル
「背理法の逆パターンみたいなのはないの?」
さトぅー
「あるよ」
■meta thm0.8
T∪{φ} |- ⊥
なら
T |- (¬φ)
proof
1 φ [ax]
2 ⊥ [T∪{φ}の定理]
3 (¬φ) [⊥el 2]
4 (φ⇒(¬φ)) [⇒in 3 el 1]
--------------
さトぅー
「今はT|- (φ⇒(¬φ))になった。
ここでTに(¬(¬φ))と(¬φ)を追加すると、矛盾して、さらに矛盾する」
--------------
5 (¬φ) [ax]
6 (¬(¬φ)) [ax]
7 φ [¬el 5,6 el 5]
8 (¬φ) [⇒el 7,4]
9 (¬φ) [¬el 7,8 el 6]
■
エーリル
「背理法の二連撃……だと!?」
さトぅー
「推論規則を追加しよう」
■raa
φ [ax]
---
:
:
---
⊥
------[raa el φ]
(¬φ)
さトぅー
「さっき¬elを何回か使ったでしょ。
これがRAAだったらどうなると思う?」
エーリル
「あーしてこうしてφと(¬φ)から⊥だから……。
そうか、⊥inからRAAの2回推論規則を使う流れになるのか。
¬elなら推論規則1回で進める」
天々城
「もう暗算できるのかよ。もしかして賢者なのでは?」
さトぅー
「RAAの方が都合がいい局面はあるけど、¬elはその1行分早い。
これはraaでも同じようなことが起こる」
■meta thm0.9
T∪{φ} |- ψ かつ T∪{φ} |- (¬ψ)
なら
T |- (¬φ)
proof
1 φ [ax]
2 ψ [T∪{φ}の定理]
3 (¬ψ) [T∪{φ}の定理]
4 ⊥ [⊥in 2,3]
5 (¬φ) [raa 4 el 1]
■
さトぅー
「推論規則を追加しよう」
■¬in
φ [ax]
---
:
:
---
ψ (¬ψ)
----------[¬in el φ]
(¬φ)
天々城
「¬inはあんまり話題にならないよなあ。背理法と混乱してませんかねえ」
さトぅー
「なんで私を見るのよ」