¬、爆発則、矛盾
さトぅー
「そろそろAx3の話をしよう。
もしもある公理からどんな論理式でも証明できてしまうなら、φと(¬φ)がproofできる。
記号ならこうかな」
■meta thm0.2
Tを公理の集合とする。
すべての論理式ψでT |- ψ
ならば
T |- φ かつ T |- (¬φ)
proof
ψにφと(¬φ)を代入すれば、T |- φ かつ T |- (¬φ)
■
天々城
「『俺がやった』と『俺はやってない』っていってるから、ヤバイ人になってるよナ」
さトぅー
「今から、ヤバイことが一個でもいえると大変なことになるって話をする」
エーリル
「大変なことになる」
■meta thm0.3
Tを公理の集合とする。
T |- φ かつ T |- (¬φ)
ならば
すべての論理式ψでT |- ψ
proof
1 (¬φ) [Tの定理]
2 ((¬ψ)⇒(¬φ)) [⇒in 1]
3 (((¬ψ)⇒(¬φ))⇒(φ⇒ψ)) [Ax3]
4 (φ⇒ψ) [⇒el 2,3]
5 φ [Tの定理]
6 ψ [⇒el 5,4]
さトぅー
「ψはなんでもいいからmeta thm0.3がわかった」
■
さトぅー
「これでmeta thm0.2の逆も証明できた。
そしてmeta thm0.3から推論規則を作れる」
■explosion
φ (¬φ)
-------------[explosion]
ψ
さトぅー
「天々城、爆発って書き込むのやめて」
天々城
「だってこれ爆発則だろ?
これがリア充大爆発と一緒なのは確定的に明らか」
エーリル
「流石は高度な文明が生み出した兵器ね。かっこいい」
さトぅー
「あーあー、わかった。もう喋らなくて結構。
これで話進めるから、矛盾したら爆発してください」
天々城
「やったぜ」
エーリル
「φと(¬φ)が一組でも証明できたらなんでも言えるとかヤバイ。
言いたい放題の言語になっちゃう」
天々城
「だからφと(¬φ)が一組も入ってない公理に興味がある。
言いたい放題するヤツをズタズタにできるからナ」
さトぅー
「ここで記号⊥を(¬(φ⇒φ))で定義する。
記号で書くとこんな感じ」
■⊥の定義
⊥:⇔ (¬(φ⇒φ))
さトぅー
「定義した記号を呼び出したり、元の記号に戻したいときに推論規則のようなものを追加する。
正確には推論規則と呼べそうにないけど」
■def(定義した記号) in
φ(定義前の式)
----[def(定義した記号) in]
φ(定義後の式)
■def(定義した記号) el
φ(定義後の式)
----[def(定義した記号) el]
φ(定義前の式)
天々城
「やりたいことはわかるんだが、表現が難しいナ」
エーリル
「例をください」
さトぅー
「じゃあこれでどう?」
■meta thm0.4
Tを公理の集合とする。
T |- φ かつ T |- (¬φ)
ならば
T |- ⊥
proof
1 φ [Tの定理]
2 (¬φ) [Tの定理]
3 (¬(φ⇒φ)) [explosion 1,2]
4 ⊥ [def⊥ in 3]
■
■meta thm0.5
Tを公理の集合とする。
T |- ⊥
ならば
すべての論理式ψでT |- ψ
proof
1 ⊥ [Tの定理]
2 (¬(φ⇒φ)) [def⊥ el 1]
3 (φ⇒φ) [thm0.0]
4 ψ [explosion 3,2]
■
天々城
「さらっと今までやったことを駆使した結果、爆発した」
エーリル
「待って、一気に色々入ってきたから整理させて。
まず⊥って記号を定義したからそれを呼び出したりした。
それからexplosionで爆発した」
さトぅー
「大体合ってしまってるわね。爆発則だから、うーん……」
天々城
「ロジックは爆発だ」
さトぅー
「はいはい。meta thm0.4とmeta thm0.5から推論規則を追加」
■⊥in
φ (¬φ)
---------[⊥in]
⊥
■⊥el
⊥
----[⊥el]
ψ
さトぅー
「ここまでの話をまとめよう。
自然言語でいうと、G0では次の3つは同じことを言っている」
『あるルールTで⊥が言える』
『あるルールTがどんな文でも言える』
『あるルールTで一組みでも肯定と否定が言える』
さトぅー
「同じことだから、この3つどれでもいいんだけど、一番シンプルなT |- ⊥がいいかな。
T |- ⊥のとき、Tは矛盾すると定義する」
天々城
「その昔、最強の矛で最強の盾を突いたらどうなるかという話があってナ、そのとき膨大なエネルギーが生じて起きた大爆発が爆発則の起源になったんだ」
エーリル
「爆発則すげぇ!」
さトぅー
「嘘はダメ」