命題論理の文法編
2016/9/22:G0の文法を修正
○健全な研究室
エーリルとさトぅーはミカンを食べていた。天々城はミカンの皮を潰している。なんか手が汁まみれだった。
エーリル
「うまー! これはミカン事件!」
さトぅー
「そっちにミカンないの?」
エーリル
「ないない。もっと酸っぱいのがいっぱいある」
さトぅー
「今の果物って甘くしてあるから、言われてみれば当然よね」
エーリル
「帰ったらこの味を再現したいの。きっと険しい道になると思う」
天々城
「いや、魔法使えばいいんじゃね?」
エーリル
「……ハッ!?」
さトぅー
「なんで気づいてなかったのよ」
天々城
「そのためには論理を会得しなければならない」
さトぅー
「その流れは謎」
天々城
「遊びは終わりだ。これより命題論理を展開する」
エーリル
(ゴクリ)
――――
天々城
「俺たちの目的は、数の世界を文字で再現することだ。これが上手くできなくて、世界は千年単位で暗黒が深まっていた」
エーリル
「暗黒が深まる……」
天々城
「ああいう暗黒が上手く扱えるようになったのはここ百年くらいだナ。プログラミング言語なんかは毎年のように新しい言語が出てくる」
エーリル
「歴史が長すぎる」
天々城
「今からやる命題 論理 。面倒だからG0とって呼ぼう。表現力が低めで、代わりに単純な言語だから論理のコツはつかめる。話の流れは前回と大体一緒だ」
■やさしい言語の作り方
・使う文字を決める
・文法を決める:論理式,証明,定理
・文の繋がりを決める:推論規則
・話のスタートを決める:公理
天々城
「エルフ賢者に質問」
エーリル
「んん?」
天々城
「『エーリル』とはなんだ?」
エーリル
「私? んー、『エルフ』かな」
天々城
「『エルフ』とはなんだ?」
エーリル
「『生き物』かな」
天々城
「『生き物』とはなんだ?」
エーリル
「『生き物』? まって、なんて言えばいいのかな」
さトぅー
「いつまで続けるつもり?」
天々城
「『~』ってなに? っていうのを続けたら今みたいにキリがなくなる。
だから論理学では『~』ってなに? に答えない『ただの無意味な記号』っていうのがある。
前者を定義、後者を無定義と呼ぶことにするぞ」
■
・定義:すでにある記号を組み合わせて新しい記号を決める。
・無定義:ただの記号。もう定義を遡れない。
■
エーリル
「そっか、今のは定義を聞いてたのね。
定義を遡っていって、私が答えられなくなっちゃったと」
天々城
「賢者エルフ的には『生き物』が無定義だったんだろうナ」
エーリル
「すでにある記号っていうのが大事ね。盲点だった」
天々城
「ということで、命題論理の解説をさトぅーさんがしてくれるそうです」
さトぅー
「わ、私!? さんざん前フリして私!?」
天々城
「論理学徒だからナ」
さトぅー
「あーはいはい、わかった。やればいいんでしょ?」
■使える記号
・¬,⇒:繋げる記号(無定義)
・(,):かっこ(無定義)
・φ,ψ,ρ:命題 変数 (論理式を入れる変数)、足りなくなったら変数を追加
さトぅー
「命題変数をPV、論理式をFmlに省略していい? 書くの面倒だし」
天々城
「省エネだナ。むしろそうして欲しい」
エーリル
「使える記号を分けただけか。
PVって無定義?」
さトぅー
「無定義っぽいけど、難しいところね。
変数の集まりを自分で決めた以上のことは言えないし、うーん」
天々城
「保留で」
エーリル
「保留で」
■G0の文法(Fmlの定義)
(1) φがPV ならば φはFml
(2) φとψがFml ならば (φ⇒ψ)はFml
(3) φがFml ならば (¬φ)はFml
(4) (1),(2),(3)以外はFmlではない
天々城
「例えば、大納言さトぅー,真転生ダイナゴン,をFmlとする」
さトぅー
「ちょっ」
天々城
「(2),(3)から、(¬大納言さトぅー),((¬大納言さトぅー)⇒真転生ダイナゴン)はFml」
エーリル
「つよそう」
天々城
「(大納言さトぅー)(真転生ダイナゴン))は(4)からFmlではない。文法は守ろう」
エーリル
「文法は守ろう」
天々城
「あとは自分で作って慣れろ」
さトぅー
「どうしてこうなった」
適当に作って慣れてください