パワー装備
○近くの森
パワー主義に目覚めた巨木の森。やたら地上から高いところに木の実がなっていることがあるので、エルフは垂直に飛ぶ。
男エルフ
「取れましたかー?」
エーリル
「取れたー」
エーリルが着地。膝の高さほどの小さなゴーレムたちがエーリルの後ろに並んでいた。
男エルフ
「これで村人全員分ですね」
エーリル
「仕事は早い方がいいって、誰かが言ってた」
男エルフ
「イチジクの実はどうしますか? ここからすぐですけど」
エーリル
「あの木は喧嘩になるから行かない」
男エルフ
「それもそうですね……」
エーリル
「それもそうなんだけど、何か近づいてない?」
重たい足音が聞こえてきた。
一歩一歩進む度に地面が揺れている。
男エルフ
「デカそうですね」
エーリル
「デカいドワーフじゃないかな」
男エルフ
「少なくともドワーフではないと思います」
エーリル
「そうよね。アレってサイクロプスだし」
遠目に見てもハッキリ分かる巨大な人型。
単眼の怪物が二人のエルフに向かって突進していた。
男エルフ
「エーリル様!」
エーリル
「私にはゴーレムがいるッ!」
サイクロプスの間合いに入るまで時間があった。
エーリルは正面に小さなゴーレムたちを配置させる。
ゴーレムたちの胸には光る魔石が埋め込まれていた。
エーリル
「substitutionにヒントを得て考えた新システム!
胸に魔石を埋め込むことで行動パターンが代わるようにゴーレムを調整したッ!
そして今は攻撃モードォッ!」
エーリルが構えると、ゴーレムの胸から魔石がぽろっと落ちた。
エーリル
「ごめん、ちょっと待って」
サイクロプス
「ヴォオオオオオオオオオオオオオッ!」
巨体から繰り出される蹴り。
空気を切る音がしているので、直撃すると体が潰れて痛いことになる。
エーリル
「接着おかしかったのかな……」
エーリル的には大きな足が近づいていたので、とりあえず殴った。
そしたらサイクロプスが非常に超回転しながら無情に吹き飛んだ。
サイクロプス
「ヴォオオオオオオオオオォォォォォ…………」
男エルフ
「……」
エーリル
「なんか魔石とゴーレム本体をいい感じにくっつける方法ないかな?」
男エルフ
「えっ? あっ、はい」
エーリル
「まあいっか。自分で考える」
男エルフ
「それがいいと思います」
エーリル
「ゴーレムの性能を確かめる良い機会だと思ったんだけどなぁ」
男エルフ
「あのサイクロプス、何し来たんでしょうね」
エーリル
「聞いてみたら?」
男エルフ
「さっきエーリル様が殴り飛ばしたじゃないですか。
どう見ても気絶してますよ」
エーリル
「なんか適当な魔法で起こせばいいじゃない」
男エルフ
「お断りします」