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同時刻ーー
「もうなんなのよ、この数!少なすぎでしょ!百鬼夜行だから今日は、お祓いに参加したのに!!」
同じ公園で木々がない広い平地でブーブーわめきながらいる少女。
童顔だか身長は165cmだからか、可愛らしい
女性が泣いているのかと勘違いしてもおかしくない。
げんに魔払い部隊に所属する新人男子隊員は、全員勘違いしていた。
といっても少女は、2年目のペーペーだが。
「うるさいぞ、二葉。今回がハズレだっただけだろ。」
「うるさい!三谷君は黙ってて!」
三谷にと呼ばれる男は、二葉という少女を落ち着かせようとしたが、逆に火に油を注ぐはめになってしまった。
三谷 昭平
二葉 明美
二人の胸にある名前だ。
二人とも藍色のブレザーにチェックのズボンとスカート、そして呪具を持っている。
杖と扇子。
どれも血がつくことはない。
鬼は、血を出さない。
何故なら鬼は、元人間の死骸。
霊魂が悪をおびたものなのだ。
人間を棺に入れて土にうえる風習があるが、日本にはそんな風習はない。
火葬して墓にいれるからだ。
ただ、全部の死体がそうとは限らない。
殺人によって死ぬこともあれば、監禁され死ぬこともある。
また、孤独死をする老人が増えているが強い念が残ると鬼と化す。
これを陰陽師は、鬼化という。
「どうせ、他も一緒でしょ。一条君の所に集まってるに違いない。」
「それは言えてるな。やつの体質は、鬼を呼びやすいみたいだしな。」
「あぁ腹立つ!なんで祓えないのに来なきゃいけないの!月9観たかった!!」
「怒りながら扇子を振り回すな。」
昭平は、ひとつため息を吐いてから、呪符を取り出した。
「式神よ、一条のところに行き、現状を教えてくれたまえ。」
ふーと息を吹きかけて、自然に手から落ちていくと、そのまま雀のような形に変わり飛んで行った。
「場所を探ってもらってるから、少し我慢してろ。」
「早くしなさい、三谷くん。狩りの時間よ。」
「・・・魔が払いな。」
今度は大きくため息を吐く昭平だった。