騎士は奴隷の幸せを護る
注意:今話とこれからの話内容上、新たにボーイズラブとガールズラブの警告を追加いたしました。従いまして、お読みいただきます前にこちらの点について再確認いただきました後、了承いただけました場合のみ、今話をお読みください。
ミリアとエリス姉さんがメイド達に部屋に連れ戻され、食堂には今、兄さんとリーナ姉さんが残った。リーナ姉さんとボクが兄さんに続いて食事を取る事にした。
「それじゃあ、今はレオが王家との連絡役をしてるんだね」
兄さんがボクに話しかけてくれる。兄さんと話を出来る事がボクにはとても嬉しい。兄さんがボク達の元を去ってから六年、今まで求めてきたモノが今、ここにある事に改めて感動と感謝を覚える。隣にいるリーナ姉さんも同じように思っているのだろう、笑顔のまま兄さんをずっと見つめている。
兄さんにも言ったが、ボクは今、王家との連絡役として、数日に一度は城に赴き、雑事や大進行の後始末を行っている。そのため、王家から何らかの連絡や登城命令などがあった際は、まずボクにその連絡が来る。今回、その命令がやってきていた。内容は、先日リーナ姉さんが殺した豚野郎についての事情説明とのことだった。貴族階級になった僕らは無礼を働いた者を殺害する許可を持っているが、今回は相手が大きな商家の当主だった事と、殺したのがリーナ姉さんだったため、詳しく事情を聴く必要があるとの事だった。その旨を姉さんに伝えると、姉さんは笑顔を少しだけゆがめた。
「随分と無駄な事で呼び出したものね」
姉さんはそっけなくそう呟いた。ボクもそう思っている。兄さんを辱めた奴を殺したのは当然の事だ。ボクだってその場にいたら問答無用で斬り捨てている。エリス姉さん辺りは捕まえて拷問にかけながらいたぶろうとするだろう。
「リーナ、ありがとう」
兄さんのその一言に姉さんが小さく声を漏らし、小刻みに震え始めた。兄さんは首をかしげているが、どう見ても兄さんが原因である。改めて兄さんの偉大さを思い知らされる。絶対的な威厳を周囲に与え、王族にさえ対等の立場で話すことのできるリーナ姉さんが、兄さんの一言で顔を紅潮させ、怜悧な顔を幸福と快楽に染め上げ、その股を濡らす事の出来る兄さんは、恐らく既にこの国で一番の権力を持っているだろう。エリス姉さん、シア姉さん、そしてミリアの三人も兄さんに絶対的な服従を誓っている。どうこうできる者などいない。
姉さん達の幸せそうな顔を見ていると大きな嫉妬心に駆られる。とても羨ましく感じる。兄さんに可愛がってもらえるメスである姉さん達が、とても、とても、羨ましい。ボクだって男じゃなく女として兄さんに可愛がってもらいたかった。兄さんの赴くままに揉みしだかれ、体の全てを隅々まで見られ、その頃には姉さん達のように水浸しになっているだろう股間を乱暴に指でなぶられたい。兄さんを受け止めたかった。でも、ボクは男として生まれてしまった。顔だけは女の様であるけれども、体は兄さんを満足させることなど到底不可能。それでも兄さんの一言一言をいただくだけで僕の体も震えてしまう。姉さん達は兄さんに慰めてもらう事が出来るが、ボクはしてもらうことは出来ない。それがとても、とても辛かった。
でも、ボクはもうその事に結論をつけていた。ボクは兄さんの護衛としてしかご奉仕が出来ない。だから、姉さん達よりもより多く兄さんのお傍で兄さんを護り、姉さん達の雑多な面倒事を片づけるようにしていた。そしていただく兄さんからのご褒美。
兄さんに、僕を、メスにしてもらえばいい。
兄さん達の手で僕にメスの服を着させてもらい、メスとして扱ってもらい、偽物でもいい、姉さん達がもらっているメスとしての幸福をもらいたい。その時だけ、兄さんに可愛がってもらえれば、ボクは幸せになれる。
下準備はもう終わっている。姉さん達にはもう既に了承を得ている。その時になったら姉さん達も手伝ってくれる。問題は兄さんが嫌悪感を持ってしまうかどうかだった。兄さんの嫌がる事は絶対に出来ない。それも、昨日、シア姉さんが解決してくれた。その時のシア姉さんはとても幸せそうな顔をして準備をしてくれた。何を感じていたのかはよく分からなかったけれども、とてもありがたかった。これで兄さんに嫌な思いをさせずにご褒美をいただく事が出来る。今夜、ボクは兄さんの手で幸せの階段を上る事が出来るのだと思うと、今から気持ちが逸ってしまう。必死に衝動を抑え、まずボクがやるべき事をしなければならない。
まずは、午後からの予定で入っている謁見の為に、シア姉さんを起こさなければならない。姉さんは朝がとても弱いから、朝早く起こすととても機嫌が悪くなる。それでボクは何度痛い目にあったことか。 だから少しおいてから起こさなければならない。今はまだ時間ではない。その頃までには先程兄さんに幸せの絶頂へとイかされたエリス姉さんとミリアが起きてくるだろう。それから城へ行くために兄さんの服を用意する。そこまでいけば大丈夫だろう。
その事を兄さんと姉さんに説明すると、姉さんは「わかったわ」と一言で了承した。兄さんもわかっていただけたようだ。
「わかった。……レオは大きくなったし、しっかり者になったんだね」
そう言って兄さんは僕の頭を撫でてくれた。一瞬、ボクは何をされたかわからなかったが、その事に気づいてから、涙を抑える事が出来なくなった。あふれ出る涙を指で掬いながら、慌てる兄さんに説明をするが、涙声の為にうまく伝わらない。
「お兄様、大丈夫ですわ。レオは嬉しかったのです」
リーナ姉さんが僕の代わりに説明してくれ、兄さんは落ち着きを取り戻してくれた。心の中で姉さんに感謝した。こういう所で姉さんはきちんとフォローをしてくれる。そんな姉さんも兄さん同様に尊敬している。だからこそ、ボクは兄さんと姉さんの幸せな生活を守りぬいてみせる。例えこの先国と敵対しようとも、必ず、この幸せはもう逃さない。
ボクの家族は、必ずボクが幸せにするんだ。新たに決意を固め、ボクは涙の止まった目を拭った。