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女中は奴隷の一部になりたい

注意:ちょっと変態分強めです、ご注意ください。

 もう一度にぃにを見ることができたこの日、にぃにはぐっすりと眠っていた。夜ももう真ん中あたりまで過ぎていて、リー姉もにぃにの足を長く長く舐め舐めして出て行ったあと、ミィはにぃにに会いにお部屋までやってきたのです。さっきまでべとべとにされていた足は拭かれてはいたけどすこししわしわになっていて、リー姉の匂いとにぃにの匂いが沢山する。にぃにの匂いはとてもいい匂い。ずっと嗅いでいても飽きない、ずっと包まれていたい。安心するお日様の匂いと同じだ。


 ミィはお兄様の布団に我慢せずに飛び込みました。我慢はキライです。

 まずはにぃにの顔をじっと見る事にしました。ずっと見たかった顔。あの時から変わってない、あの時のにぃにのままの顔。でもにぃにからは少し違う感じがする。悲しい? つらい? いたい? そんな感じがする何かが少しだけにぃにの匂いと一緒に流れてくる。にぃにの匂いだけれど、にぃにじゃない、外にいる女が付けている臭いにおいみたいな、後から付けたような、そんな匂い。ミィはこんな匂いは好きじゃない。けど、それ以上ににぃにの匂いは大好きだから大丈夫。全然イヤじゃない。

 ちょっとじっと見てから、にぃにのほっぺたを舐める。少し石鹸の匂いがしてからにぃにの味がしてくる。さっきリー姉と一緒ににぃにの体を洗ってあげた時、にぃにからはすごくいろいろな匂いが出てイヤだったけど、洗った後の匂いはとても落ち着く。長くなっちゃったにぃにの髪もくんくんと嗅いでみる。さらさらで真っ黒な髪からもいい匂いがする。それもほっぺたとちょっと違った匂いがする。にぃにの髪の匂いだ。だんだんと安心してきたミィはお布団の中に一緒に潜ってにぃにの腕を少しだけ上げてにぃにの脇の匂いを嗅ぐ。ここはにぃにの中でも匂いが強い場所だから、入念に嗅ぐの。独特のにおい。イヤじゃなくて、体の中からぽかぽかしてくるようなそんな匂い。体全体がとってもあったかくなる。いつもあったかくしてくれるにぃににありがとうを込めて脇をぺろぺろと舐めてあげる。匂いとはちょっと違う、癖のあるにぃにの味。にぃにはどんな時でもミィをあったかくしてくれる。

 次は足にしようかと思ったけど、足はさっきリー姉がいっぱい舐めていたからちょっと残念だけどあきらめる。だからミィはにぃに匂いが一番するところに向かうことにする。場所は、にぃにの足と足の間。そこの付け根のあたりからする匂いが私は一番好き。真っ暗なお布団の中、その場所を匂いだけで見つける。ちょっと宝探しみたいで楽しい。たどり着いたら思う存分匂いを嗅ぐ。すごく強い匂いがする、頭が熱くなりすぎてぼーっとする感じ。にぃにはあったかくしすぎてミィをよくこんな感じに熱くさせすぎちゃう。でもミィもこれがとても気に入ってるからにぃにがいつもやりすぎてもミィはなにも言わない。しばらく匂いを嗅いでいると、久しぶりにいつもの終わりがやってきた。



――にぃにが欲しい。にぃにが食べたい。にぃにの子供が欲しい。



 いつもこうなった時に匂いを嗅ぐのはやめちゃう。これ以上嗅いでいるとミィは自分が自分じゃなくなる気がしたから。そうなったら、絶対ににぃににイヤな事がいっぱいやってくる。にぃには今までいっぱいミィ達のためにイヤな事を何とかしてくれた。ミィはもうこれ以上にぃににイヤな事はさせたくないし、ミィがイヤな事になるのは死んでもイヤ。だから名残惜しいけど、にぃにを起こさないように、そして素早く布団から出て、静かに部屋を出る。

 そろそろミィも寝ないと明日にぃにが食べる朝御飯を作れない。あれを他の人が作るのは絶対に許さない。にぃにはこれからもずっとミィの御飯だけで十分なんだ。そう考えると、ミィの体はまたちょっとあったかくなった。にぃには離れていてもあったかくできるからすごい。ミィの部屋のお布団に入って目を閉じる。布団はにぃにのと違って冷たい。とても物足りない。だからミィは意識が閉じる前にちょっとだけ変な事を考えちゃった。



――アレを止めなかったから、どうなっていたのかなぁ?



 最後に自分は笑みを浮かべていたのだけは覚えていた。






 次の日の朝、予定通りにミィは起きました。大事で大切なにぃにの御飯を作るためだから、ミィはすごく頑張ります。一階の厨房まで足を運び、誰もいない中、にぃにのお食事だけを作り始めます。今日の御飯は煮込み料理。朝には少し重いかもしれないけど、あっさりした味付けにして食べやすいものにする。にぃには昨日まで奴隷さんをしていて御飯をちゃんと食べてないから、そこもちゃんと考える。

 考えていると昨日リー姉から聞いた豚の事を思い出して、手が思わず震えたけど、リー姉がもう殺しちゃったからしょうがないし、リー姉の判断は間違っていないと思うから、それはもう納得した。でもその事が折に触れて脳裏に浮かぶのはしばらく続くだろうと思ってる。だって、にぃにが穢されたんだから。

 考えをやめて辺りを見回すと、メイド達が厨房の中に入ってきた。彼女らにはにぃにに深く関する事以外を任せている。廊下などの掃除、私達の御飯の支度とか、そういったもの。この暮らしを始めてから或る程度の日にちはたったから、指示も少しづつ簡潔に済ませても良くなってきている。彼女たちに今にぃにのために作っているものと同じ料理を作るよう指示し、再び鍋に向かう。

 調味料を加え、味を調え、しっかりと煮込まれた材料に仕上げをする。最後ににぃにのためのとっておきを入れる。エプロンのポケットから小瓶を取り出して、にぃにの御飯の中に入れる。これはミィのおまじない。これを食べたにぃにはミィともっと近くなるし、ミィはにぃににより近付ける。


 ミィを食べてにぃにの体の一部にミィがなる事を想像するだけでミィは昨日と同じくらいあったかくなる。


 自然と顔がにこにこ笑みを浮かべる。にぃにはおいしいって言ってくれるかなぁ? ミィを食べておいしいって言ってくれるかなぁ? 頑張ってミィは料理いっぱい作るから、にぃににはいっぱい食べてもらって、ミィになってもらいたいなぁ。にこにこが溢れて鼻歌が漏れてきている。やっぱりにぃにはミィの神様なんだ。だってこんなにミィは幸せなんだもん。そんなミィは幸せにしてくれるにぃにのためにいっぱい頑張る。お掃除もするし、匂いは嗅いじゃうかもしれないけど、洗濯もする。トイレに行きたくなったらいつでもお世話するし、お風呂だって体をいっぱい洗ってあげる。



 そのかわり、いっぱいミィを可愛がってね?



 ミィはそんな期待を込めて入口の前で厨房を見渡しているにぃにを見つめました。

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