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序章
ーいたい
そこには闇だけが鎮座する。
ーやめてよ
闇以外に何も存在しなかった。
ーなんでボクなの?
闇は異物を排除しようとする。
ーほかのやつじゃだめ?
闇は手段を選ばない。
ーボクはやめてよ
いずれ時が来る。
ーねぇ…あれはなに?
全てを無へと返す力
ーがっ…
ただ苦しみのみを平等に与える力
ーこれはなんなの?
苦しみと引き換えの力それが欲しいか?
「そんなのいらない!!」
飛び起きるとベッドから落ちるのは当たり前だろう。
しかしこう考えてはどうだろう、落ちることは嘘であり本来なら落ちない。
今まで信じていたものが崩壊するときに人はどんな顔をするのだろうか…。
それでもそれは希望にしか過ぎない。
今彼の身に起こっていることは嘘でも、偽りでもないただの真実だ。
「ってぇぇぇ!!」
頭に走る痛みは無情にも彼の身にまどろんだ意識を覚醒させる
「ん、今なん…あー!」。
それよりも大変なことが今の彼には迫っていることをまだ誰も知らない。