xxx おまけ
本日もどうぞ宜しくお願い致します。
「もふもふだーっ、幸せだーっ、私、幸せだーっ」
「……クゥ」
キリュウに話した後、私はデッカイもふもふ____キマイラへ体当たりをかますように突っ込んで行った。……ヤバイ。やはり彼の極上毛皮は生唾モノだ。だらしない顔を晒しながらグリグリと頭を擦り寄せる。はぁ…………至福の時。
支配から解放されたキマイラはもう私に攻撃する事はない。彼は支配されていた時の記憶があるのか心なしか少し申し訳なさそうにしているように見える。違う、お前のせいではない。全く以て気にしなくていい。する必要もない。
そんな思いを込めつつ遠慮なくぎゅうぎゅうと抱きしめる私に彼はされるがままだ。時より漏らす鳴き声が恐ろしくかぁいい。見た目はカッコイイのに……ヤバイ、これがギャップ萌えというやつなのだろうか。……堪らない。
「……そろそろ帰るぞ」
いつからこうしていただろう。今までずっと黙って傍観していたキリュウが声を掛けてきた。
この至福の時の邪魔をするな。足りない。もっともっと、もふもふするのだ。
私はキリュウを無視して頭を極上毛皮に擦り寄せる。
「……あと10分で時間だ。戻らなければ面倒臭い事になるぞ」
……時間?
……。
…………。
………………ハッ!
そういえば今は実習の最中であった。極上毛皮に夢中になり過ぎて忘れていた。
「……クゥ」
「……」
どうするー?と脳内に流れるキャッチフレーズ。その某CMのわんこのようなキラキラとした瞳を私に向けないで。確実に負けちゃうから。喜んで負けちゃうから。
うー、と唸りつつ私はなんとか心を鬼にして極上毛皮を手放した。……後ろ髪を引かれまくって禿げそうだ。
だがここで帰らなければ確かに説明やら何やら面倒臭そうなのも事実。私は渋々「また来るからね」と約束をし、今日は一旦戻ることにした。
……。
…………待てよ?
戻るって、どうやって?
「……早くこっちへ来い。空間魔法を使う」
――――ッ!!
目を見開いてキリュウを指差し、パクパクと口を開閉する。
おま、気づかない私も私だが今まで何故それを言わなかった……ッ!
キリュウはどうやら以前来た事があるのか、この場所をしっかり特定できていたらしい。
「……すまない」
そんな私を見て何が言いたいのかバッチリ分かったのだろう。「正体が掴めるまで使うのを躊躇った」と付け足す彼。
開いた口が塞がらない。これは文句の一つも言わなければ気が済まないと彼をギロッと睨みつけるように見た。
「……」
ここは一発ガツンと……。
…………一発……。
……。
………………無理だ。
はぁ、とガックリ項垂れる私。駄目だ、またもや私には幻覚が見えた。垂れた耳と尻尾……どうやら彼にそれを出されると私は何も言えなくなるようだ。
毒気が抜かれた私は力無く一言だけ言う。
「…………帰ろうか」
……え?手綱捌きはどうしたって?
…………その前に彼の何処にそんなものが付けられるのか教えて欲しい。
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