第5章 「 」
前作も読んでいただきありがとうございます。
今作で最終話になります。
タイトル期限まで残り3日
何度も何度も鈴花の小説を読んでもタイトルが思いつかない
「締め切りまであと3日か」
カレンダーを見るだけで嫌になる
昨日、会社の方に休みを申請したら、ちょっと不安な顔をされた
「松井くん、どうかしたの?しっかりと休んできな」と上司に言われた
すいませんとペコペコしていたら、後ろから筒井先輩が現れて
「今日は飲みは無理か」とがっかりしていた
「筒井先輩休みが終わったら、昼飯おごるんで」と申し訳なく言ったら、
「本当に!しっかり休んできな!」と一気にテンションが上がっていた
時計を見ると、13時になっていた
昼飯を作る気はなかったので、筒井先輩に教えてもらった定食屋さんに行くことにした
「会社の人がいませんように」と祈りを込めて中に入った
そこには柴三さんしかいなかった
「いらっしゃいって、筒井の後輩じゃないか」
「お久しぶりです。柴三さん」
柴三さんは店内掃除をしていた
「こんな時間に、来るなんて珍しいね」
「会社を休んだので」
「おや、まさかサボりじゃないでしょうね?」
「いえ!サボりじゃないです!」
「そうかい、カウンター席でいいかい?」
「はい」
俺はカウンター席に座りメニュー表を見た
「どれにしようかな、前はエビフライ定食頼んだから今回は別のにしようかな」
「なら、サバみそ定食を食べるかい?」
「はい、お願いします」
「はいよ」
俺はサバみそ定食が来るまで静かに待っていた
「静かでしょ、多くの社会人たちがいるのと違って」
柴三さんが料理をしながら喋っていた
すかさず俺は返事をした
「そうですね、なんだか落ち着きますね」
「ちょうど、一時間前に筒井が来てな、凄く嬉しそうだったよ」
「なんでですか?」
俺は疑問に思い質問をした
「次松井と来たら、たくさん注文できるって」
「そうなんですね」
俺は冷や汗が止まらなかった
あんなことを言うんじゃなかったって後悔した
「あたしは言ったよ、後輩からの驕りだからと言って、たくさん食うのは先輩としてどうなんかねと」
「そしたら筒井は、そんなこと言われたらたくさん頼めないじゃないですかって」
「ありがとうございます。柴三さん」
俺の財布は柴三さんに守られた
「お待たせ、サバみそ定食」
「ありがとうございます」
アツアツの定食が目の前に来た
「いただきます」
アツアツのご飯の上に、サバみそをおき、一緒に食べた
「柴三さん、このサバみそ美味しいです」
「よかったよかった うちの定食の人気1番の料理だからね しっかり食べな」
「はい」
あっという間に完食をしてしまった
「ごちそうさまでした」
「はい、少しここでゆっくりしていくかい?」
「いえ、お気遣いありがとうございます 家に帰ってやることがあるので」
「そうかい、ならお代は750円だね」
「はい、ごちそうさまでした」
「松井君だっけな?」
「はい」
「頑張りな 何かあったらここに来な うまい飯を用意して待ってるからね」
「ありがとうございます。柴三さん」
昼ご飯を食べ終え、自宅に戻った
再び鈴花の小説を読む前に鈴花にメールを送った
「タイトル5つ考えてきたよ、来週の土曜日に来てもいいか? それとあの日はごめんな」
メールを送信し、小説を読み始めた
すると5分後、鈴花からメールが来た
「本当に!絶対来週の土曜日来てね待ってるよ! それと私もごめんなさい(*- -)(*_ _)ペコリ」
「元気だな、あいつは」
「さて、締め切りまでにはなんとか終わらせないとな」
鈴花がいる病室
「鈴花さん、お昼ご飯ですよ」
看護師さんが来た
私の体は衰弱して、起き上がるにも精一杯になってしまった
あと2週間弱で私はあの世に行ってしまうのかと思うと虚しくなる
お昼ご飯を食べ終え、ゆっくりと体を倒した
毎日天井を見つめるだけの生活、動くとしてもご飯を食べたり、トイレに行ったりするぐらいしかない
両親は仕事の関係で夕方ごろに来る
生きる心地がしない
早くこんな生活を終わらせたい
そう毎日思う
ピコピコ
携帯からの通知音が鳴った
「お父さんからかな」
力を振り絞りながらも携帯をとった
スマホを開くと風太からだった
「タイトル5つ考えてきたよ、来週の土曜日に来てもいいか? それとあの日はごめんな」
それを見て私は嬉しくなった
急いで返信をしようと頑張った
「本当に!絶対来週の土曜日来てね待ってるよ! それと私もごめんなさい(*- -)(*_ _)ペコリ」
「やっと、風太に会える 待ってるよ風太......」
ナースコールが響き渡り、急いでお医者さんたちが駆けつけてくれた
目が覚めると、いつもいる部屋とは違う部屋に移っていた
「ここ...はどこ?」
「目が覚めましたか、鈴花さん」
「先生」
「鈴花さん、あなたは丸一日寝込んでいました。こうして目が覚めてるのも奇跡です」
状況がよくわからなかった
「 はい....」
「ここにいれば、すぐに私たちが駆けつけますので、安心してください」
私は約束を思い出した
「先生、お願いがあるんです」
「なんでしょうか」
「明日、風太っていう私の友達が来るはずです、もし来たら私のところに案内してくれませんか?」
「わかりました」
「ありがとうございます」
タイトル締め切り当日
俺は鈴花が作った小説と俺が考えたタイトルメモをカバンに入れ、家を出た
早く鈴花がいる病院に着くように走った
病院に付き、受付のところに行った
「すみません、藤井 鈴花の面会をお願いしたいんですが」
受付の人は申し訳なく
「すみません、鈴花さんですが、親族の方しか面会ができません」
「え」
俺はカバンを落としてしまった
「そんな」
「何か伝言があれば、こちらから伝えますので」
「嘘だろ」
その場で俺は膝から崩れ落ちてしまった
周りが騒めいた
すると横から、お医者さんが現れた
「もしかして、風太さんでしょうか?」
声がした方に顔を向いた
「はい」
「とりあえず、ここにいると周りの人に迷惑がかかるので、別室に行きましょう」
言われるがままにお医者さんについていった
案内された部屋は小さな椅子が二つあった
「どうぞこちらにお座りください」
椅子に座ると真剣な顔してお医者さんが言った
「風太さん、鈴花さんのことですが、昨日からずっと眠っています もしかするとこのままいけば、帰らぬ人になるかもしれません」
「嘘だ」
「そのことを覚悟したうえで面会をされますか?」
「そんなわけない!鈴花は!」
「落ち着いてください!風太さん!そうならないために確認をしているのです!あなただけではないんです。鈴花さんのご両親も悲しみで溢れているんです。そんな中あなたが入ると鈴花さんの両親はもっと悲しむことになるんですよ!」
お医者さんの言葉に俺は正気を取り戻した
「ごめんなさい、ついカッとなってしまいました」
「いいです。それでどうされますか」
俺は拳を握りながらも
「お願いします。鈴花に会わせてください」
「わかりました。では行きましょう。部屋には鈴花さんのご両親もいらっしゃるので、お静かにお願いします」
静かに歩きながら、鈴花の病室についた
「では、お静かに」
「はい」
ドアを開くとそこには、眠っている鈴花がいた
鈴花の左手には鈴花の母親が握っていた
その後ろに鈴花のお父さんがいた
俺は軽く会釈をし、鈴花のベッドに近づいた
「鈴花、約束通りタイトル考えてきたよ」
声をかけても鈴花の目は開かない
タイトルメモを鈴花の目の前で開いた
「鈴花見ろよ、頑張って徹夜で考えたタイトル こんなに真剣に考えたの初めてだよ」
何度も鈴花に声をかけた
しかし、何も起きない
「鈴花、覚えてるかあの日を、俺が自分で前髪を切って登校したことを。あれな、前髪が鬱陶しくて自分で鏡を見ずに切ったんだよ。そしたら、母に大激怒くらってよ。みんなにバレないように朝早く登校したんだ。まさか鈴花が最初に見られるなんて思いもしなかったよ。その時の鈴花大爆笑してよ。涙が出るほどに笑ってよ。けど、笑いながらも鈴花は俺を助けてくれたもんな。」
急に自分から黒歴史を言ってしまった
言ったところで何もかわらないと思ったからだ
「ありがとな、鈴花。」
すると、鈴花の左手がお母さんの手を握り返し、ゆっくりと目を開けた
鈴花の両親と俺は驚いた
「風太...自分から黒歴史言うなんてずるいよ」
かすかな声だが、はっきり聞こえる
鈴花のお母さんは涙を流しながらも手を強く握った
「お母さん、強く握りすぎだよ」
鈴花は笑った
「それより、風太遅いよ」
俺は止まってしまった。今鈴花が目を開け、喋っていることに
「早く、タイトル見せて」
俺はジタバタしながら、タイトルメモを鈴花の目の前で見せた
「風太、ちゃんと考えてきてる?やり直し」
「え」
「こんなタイトルひどいよ」
「風太、私はもう自分では出せないんだよ。かといって、お父さんお母さんに出してもらうのも恥ずかしいし」
「だから、私の代わりに出してくれない?世に広まった時は私はもういないけど」
「だからって、お前...」
「お願い風太」
「わかったよ、鈴花」
「ありがとう」
「鈴花、ごめんね こんな母親でごめんね」
「お母さん、謝らないで私すごく嬉しいんだからお母さんと一緒にいて お父さんも私のわがままに付き合ってくれてありがとう」
「最後に風太」
鈴花の右手が俺の頬を当て
「大好きだよ風太」
その言葉を最後に鈴花は帰らぬ人となった
一週間後、鈴花の葬式が終わった
葬式が終わり、自宅に戻るとベットに倒れこんだ
「なんで俺はもっと早く、鈴花に渡せなかったんだ!早く渡せば、あんな鈴花を見ることなんてなかった!」
俺は怒りに身を任せた
部屋はぐちゃぐちゃになり、物は何個か壊れてしまった
それからの俺は、部屋にこもってしまった
親や会社からの電話を無視し、筒井先輩が家に来ても無視をしてしまった
「もう誰ともかかわりたくない」
そんな絶望の中、毎回夢を見る
その夢では、鈴花がいる
そして、毎回鈴花に大きな声で謝る「ごめんなさい、ごめんなさい」と
鈴花は何も言わず、優しく俺を抱きしめる
夢が終わると、鈴花はいない現実に叩きつけられ、また絶望に落ちる
何もしないまま一日が終わる
「会いに行くよ、鈴花」
風太の夢の中
「なんだここは」
見渡す限り真っ白な世界
目の前には鈴花いたが、後ろを向いていた
「おい鈴花!こっち向けよ!」
手に触れようとしたが、鈴花の手には届かなかった
「どういうことだ?」
だんだんと鈴花との距離も伸びてい行く
それに気づき、俺は走った
「鈴花、どうしたんだよ?」
やっと鈴花が振り向いた
その時、大声で叫んだ
「こっちに来ないで!」
俺は立ち止まった
「風太、最後の約束守ってよ!」
現実に戻った
首には汗がたくさんついてた
「約束」
鈴花の小説を手に取り、読み始めた。
しかし、読み終わってもタイトルが思いつかなかった
「どうすればいいんだよ!くそが!」
頭を抱え込むもどうしようもできなかった
ふと思いついた。自分が鈴花の小説を書き加えることを
だが、そんなことをすれば、鈴花はもっと怒るだろう
けど、それしか方法はなかった
「ごめんな、鈴花」
そう言い続け、俺は鈴花の小説に手を加えた
数日後
俺は鈴花の作った小説に時間をかけるために会社を辞めた
筒井先輩には申し訳ないことをした
会社中いたるところに謝罪をして回った
最後に筒井先輩から「俺はあの定食屋で、お前の驕りを待ってるからな」と泣きながら言った
数年後
鈴花のお墓の前
「やっと小説が完成したよ鈴花。さっそく複数の小説募集サイトに応募してみたけど、ほとんど落選したよ。そもそも締め切り守ってない奴が上手くいくことなんて早々にないんだから それとも俺が付け加えたがダメなのかもしくは、ペンネームが風鈴ってのがありきたりすぎるんかな」
頭を抱えながらもスマホのカレンダーを見た
そこには募集締め切りの予定がたくさんあった
ピコ
携帯から通知音が鳴った
「今日は選考結果だもんな、さて結果はいかに」
「風鈴様 この度は当社の小説募集に応募していただき、誠にありがとうございます。一次選考通過のお知らせします。二次選考につきましては..」
「やったぞ鈴花!これで一歩前進だな!」
これまで読んでいただきありがとうございます
更新が遅くなってしまい申し訳ございません
最終話になっても文章下手が直ってなかったらすみません
また別の作品でお会いしましょう。




