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デカ男界隈が盛り上がってきたのでwktkしてたら、まさかのこのタイミングで異世界転移しやがった!

作者: たかさば
掲載日:2026/01/10

 俺の名は、大熊悠斗(おおくまゆうと)


 身長185センチ、体重130キロ。

 昔から「でかい」「怖い」「熊みたい」と言われ、恋愛とは縁遠い人生を歩んできた。


 だが…、時代は、変わった。


 SNSで「デカ男かわいい」「大きい人が安心する」といった投稿がバズり、世間は空前の“デカ男ブーム”に突入したのである!!!


 気づけば()のフォロワーが増え、街を歩くだけで「写真撮ってください♡」と声をかけられることも珍しくない。

 人生で初めて味わうモテ期に、俺は心底浮かれていた。


「ついに……俺の時代が、キタ――(゜∀゜)――!!」



 そんなある日。


 仕事帰りにコンビニで唐揚げ棒を買い、もしゃもしゃと頬張りながら上機嫌で歩いていた俺の足元に、妙な魔法陣が光り出した。


「え、ちょ?! 待っ――――――!!!」


 視界が白く弾けた次の瞬間、俺は…見知らぬ草原に立っていた。


「……は?! なんで、なんで…このタイミングで異世界転生なんだよ!!」


 俺のモテ期、終了のお知らせである。




 転移先は、剣と魔法のファンタジー世界だった。


 異世界転移もののラノベなんかじゃチート能力だのなんだのと付与されるのがデフォだが…、あいにくと俺には適用されなかったらしい。

 言葉が通じて文字が読める程度で、多少力持ちではあるもののプロの剣士や冒険者には見劣りし、魔法に至っては広場で小石を投げて遊ぶちびっ子にすら負けるレベルだった……。


 こんなしょっぱい異世界転移が、まさか自分の身に降りかかろうとは。


 俺の巨体は…、ここではまったく評価されなかった。


「なんだその図体は。魔物かと思ったぞ」

「食費がかかりそうだな……村には余裕がないのに」

「なんか邪魔」

「どこにいても目立つねえ、顔は平凡なのに!」

「そんなに大きな体なのに剣も使えないのか?」

「ちょっと!もっと端っこ歩きなさいよ!」


 そんな言葉ばかり浴びせられるようになってしまった。


 俺は再び“モテない側”に逆戻りしてしまったのである



「せっかく現世で人気出てきたのに……なんで俺だけこんな目に……(。>д<)」


 ある日、村外れの井戸のそばで孤独に愚痴っていると…、ひょこっと影が差した。


「ねえ、大丈夫?」


 振り返ると、素朴なワンピースを着た少女が立っていた。

 栗色の髪を三つ編みにした、優しげな瞳の村娘――ミーナ。


 彼女には、この世界に転移してきた時、世話になった。

 呆然としている俺の手を取って…ギルドに連れて行ってくれたことには、今でも深く感謝している。


「その……落ち込んでるみたいだったから、なんかあったのかなって!」

「いや、まあ……うん、ちょっとな」


 俺がみっともなく口ごもると、ミーナはくすっと笑った。


「ふふっ。あなた…、かわいいのね!」

「……え?」


 かわいい? 

 俺が?


「大きいけどぜんぜん怖くないし…むしろ安心しちゃう! なんていうか…残念なお兄ちゃんみたいよ!」


 その言葉を聞いた、俺の胸は…じんわりと、温かくなった。



 それから、ミーナはよく俺のところに来てくれるようになった。


 一緒に村の仕事を手伝ったり。

 森に行って薬草を採ったり。

 時にはパンを焼いてジャリジャリと食べたり。


 村人たちも、俺がミーナと仲良くしているのを見て、少しずつ態度を軟化させていった。


「ミーナが認めてるなら、悪い奴じゃないんだろう」

「力仕事は助かるしな」

「でかいわりにはシャキシャキ動くじゃないか」

「気軽に頼みごとができるのがうれしいよ」

「この前は引っ越しを手伝ってくれてありがとう!」

「この前もらったパン美味かった、また作っておくれよ!」


 いつしか俺は……、村の一員として受け入れられ、居場所を得ていた!



 ある日、一緒に夕暮れを眺めていたミーナが、ぽつりと呟いた。


「ねえ、ユウト。あなたは……元の世界に帰りたい?」


 俺はしばらく黙り、空を見上げた。


 あの世界では、確かにモテ期だった。

 多くの人にちやほやされ、注目されていた。

 その事を女々しく愚痴り、早く元の世界に帰りたいと…口にした事を覚えている。


 でも――。


「……今は、帰りたいとは思わないかな」

「どうして?」


「ここに……ミーナがいるからさ!」


 ミーナの頬が、夕日の色よりも赤く染まる。


「……私も!! あなたがずーっとそばにいてくれたら、嬉しいよ!」


 思わず、そっと…小さな手を握ってしまった、その瞬間。


「も~!そこはこう、もっと…こうやってギュッて抱きしめてくれなきゃ!!」


 遠慮なくフルパワーで俺を抱きしめてきたミーナ。

 おれは、その背を…、そっと撫でた。




 あれから……、もう一年も経つのか。



 俺は今、村の鍛冶屋で働きながら、ミーナと一緒に暮らしている。


 村の人たちは相変わらず俺を「でかい」と言うけれど、もう悪意はない。



 ミーナは毎朝「行ってらっしゃい」と笑ってくれるし、帰れば「おかえり」と迎えてくれる。

 そっと抱きしめれば、その三倍の力で羽交い絞めにされる。その威力たるや、気を抜くと意識が飛びそうなレベルで……、多分、俺よりもミーナの方が戦闘能力は高いと思われる。

 しょっちゅうコテンパンにされている俺を見て、まわりの人たちは残念そうな目を向けるわけだが…それもまた、心地のいいものだ。


 かつての俺は、多くの人に注目されることを喜んでいた。

 だが今は――。


「ミーナ、一緒にパンケーキ焼いて食べよーぜ!」

「うん!! ユウトと食べると、なんでもおいしい! たとえそれが…外側がジャリジャリで、中がベタベタしててもね(≧▽≦) 今日はキレイに焼けると良いな~!!」


 たった一人の愛する人に、十二分に愛され返される……、なんと満ち足りた毎日だろう。


 異世界に飛ばされた時は絶望したけれど、今なら胸を張って言える。


 ――俺は、今が一番…幸せだ!!!


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