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第二十四話 交流戦に向けて

 俺はシャワーを浴びたあと、グラウンドに向かった。四人がそろうのはおよそ一ヶ月ぶりだ。


「コウくん、久しぶり! なんか……痩せた?」


「少し雰囲気も変わったか?」


 早苗とカオルの言葉に、俺は微笑んで答える。


「そんなことないよ。……あれ? ユーカは?」


「寮の部屋をノックして電話もしたんだけど……。なんだかいつも寝てるんだよね」


「そのうち来るだろ」


 三十分ほどして、ユーカがあくびをしながらやってきた。


「ふあぁ……再会のあいさつは済んだか?」


 頷くと、ユーカが状況を説明する。


「言ってなかったが、夏休みはもう終わってる。交流会は三日後だ」


「あ、そうなの?」


「やっぱり気づいてなかったか……スマホはどうした?」


「充電するの忘れてた」


 スマホがない生活に慣れてしまい、帰ってきてから部屋のどこに置いたかすらも覚えていない。


「あ、だからLIMEの既読もつかなかったんだね。先生には風邪で休むって伝えておいたから大丈夫だよ」


「……まぁいい。コウ、お前にはまだ話してなかったが、未来予知とは別に、オレの固有魔法がある」


「うん」


『これさ……。聞こえるか?』


 頭の中に直接ユーカの声が聞こえる。


『ああ、聞こえるよ。念話、とでも言えばいいのかな?』


「受信感度は良好だ。初めてにしてはな」


 エーテルに思考を乗せてユーカに伝達するよう意識をしたら、ちゃんと届いたようだ。


「あたしとカオルはかなり苦労したのに、コウ君もうできちゃったの!?」


「ま、探知魔法が得意というならこのくらいできて当然だがな」


 そう言うユーカの顔は少しうれしそうだ。


「上手くできてよかったよ」


 すると、今度は少し不満そうに俺を見る。


「……それだけか?」


「何が?」


「もっとこう、驚きとかねーのか? 原理とか聞かねーのか? テレパシーだぞ? 『旋律センリツ』って名前なんだが……」


「いや、驚いているよ。あぁ、そういうこともできるんだなって」


「……。かわいくねーやつ。前のお前だったらもっとこう……まぁいい」


 一度つまらなさそうに言うが、ユーカは説明を再開する。


「ともかく、さっきのようにオレは念話ができる。しかし他者同士を繋ぐことはできない。離れたやつに何か伝えたいときはオレをCALLしろ。内容を中継する」


 それを聞いて、俺は少し考える。


「どうした?」


「念話か……。妄想も入るけど、ユーカの未来予知って、未来のユーカ自身と無意識に念話のようなもので繋がってるとか、そういったことは考えられないかな」


「え? そうなの? ユーカ」


 それを聞いたユーカが額をおさえる。


「どうしたの?」


「……浮岳の野郎のばかな妄想だと思っていたが、お前まで同じことを言うとは……」


「そうなんだ。でも、念話したときなんだか引き合うような力を感じた。魔力というか、意識に作用する引力みたいな。うまく言えないけど」


「あーもうよせよせ。その話は嫌いだ。過去のオレに頭ん中を覗かれてるとか気持ち悪い。変な想像さすな」


 俺はそれ以上は何も言わないことにした。


「ところで、浮岳や吉岡さんのことは何かわかった?」


「それについてはまだわからん……。浮岳のやつは色々な研究をしていたが、オレには内容をほとんど話さなかった」


 ……俺が都合よくその夢を見ることができればヒントがあるかもしれないが、あまり期待しないほうがよさそうだ。


「吉岡はあのとき操られていた可能性もある。だから他のやつには気を許すな」


 一同は頷く。


「カオル、交流会の概要を説明してやれ」


 何か言いたそうにしたが、カオルは結局従う。


「西校とのVR交流戦は四対四で行うそうだ。レクリエーション目的だから、チームは自由。この四人で提出しておいた」


「というわけだ。浮岳自身が出てくるのか、こないだのように別の奴を送り込んでくるかはわからん。西校生徒の中に紛れてる可能性もある」


 俺は少し気になったことを口にする。


「VR使用中に狙われる可能性は?」


「転移魔法で転移できるのは使用者本人だけだ。オレをVRから引き剥がして、誰にも見つからずに学園から出るのは無理だろう。殺すのが目的なら別だがな」


「それはないと思う。岬の襲撃者は、ユーカに死なれては困るようだった」


 早苗とカオルが続けて言う。


「VRの筺体はオペレーター以外、外から開けられないし、無理に切断するのも、何があるかわからないって言われてるしね……」


「オペレーターも監視している。それに、VRルームに無理に立ち入るとアラームが鳴るはずだ」


「そういうことだ。オレの予感も変わっていない。交流戦には予定通り臨む。それじゃ、お前らの夏の成果と連携の確認をするぞ」


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