表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生きるとは何か  作者: ルーツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/161

告白

朝の会が終わると、

タカシは一時的とはいえ時の人になっていた。


この日を境に、

クラスの女子とも普通に話すようになっていた。


そんなこんなで四時間目も終わり、給食の時間。

並んでいると、高木が俺の後ろに来て小さな声で言った。


「今日の朝、改めてタマキンに呼ばれて話してきたの。誤解が解けたみたいで……本当によかった」


そう言って向けてきた笑顔が、

やけに可愛く見えた。


……いや、前から可愛いんだけど。


「……ていうかさ」

俺は少しニヤけながら言う。


「普通に田中のこと“タマキン”って呼んでるけど、

 それ大丈夫なの?」


高木は顔を少し赤くして、

「もう!」と言いながら俺の背中を軽く叩いた。


やっぱ可愛いなー。


席に戻ると、

その様子を見ていたユージがニヤニヤして聞いてきた。


「高木さんって、直樹のこと気にしてるよね?」


「はぁ!?

 んなわけねーだろ!」


意味わかんねえ。

そう言い返すと、今度はタカシが調子に乗る。


「ワタシ、ミウラきゅんニ、タスケテモライマシタ」

「“ミウラきゅん”に!」


「なんでそこ強調すんだよ!てかカタコトやめろ!」


くだらないやり取りで誤魔化したけど──


正直、

気になってるのは向こうじゃなくて、こっちだった。


────────


それからしばらく、

平和な日が続いた。


そして迎えた。

4月13日。バレンタインデー。


嫌な予感はしていた。

というか、過去の記憶が蘇っていた。


(……絶対、何か起こる)


授業の合間、知らない女子からチョコを渡される。

気づけば机の上にもいくつか置かれていた。


ため息しか出ない。


その横で、一人だけテンションが爆発している奴がいた。


──タカシだ。


「うおおお!!きたーー!!」


うるせえなと思いながらも、「良かったじゃん」と言ってやる。


するとタカシが箱を見て固まった。


「おい……これ……まさかの手作りじゃね?」


燃え上がるタカシ。

そのまま勢いで箱を開けた。


中にはハート型のチョコ。

白い文字で──


LOVE リョウ


……俺はすぐ気づいた。


「タカシ……それ、うちの兄貴宛てだわ」


──入れる場所を間違えたらしい。


笑いたい。

でも笑えない。


タカシは無言で窓に向かい、チョコを投げようとした。


慌てて止めて奪い取る。


「くそぉぉ!!なんで直樹の兄貴なんだよ!!」


タカシは燃え尽きていた……


放課後。

ユージと帰ろうとしたとき、声がした。


「あ、三浦くん!」


振り向くと、高木さんと友達が立っていた。

少し距離を取られ、高木さんが小声で言う。


「……あの子、長谷くんのこと好きみたいなの。

 今日、一緒に帰らせてあげられないかな?」


──正直、少し期待していた。

だから、ちょっとだけショックだった。


でも俺は笑って言った。


「分かりました。

 ユージのために、この三浦直樹、一肌脱ぎます」


一悶着あったが俺はユージの背中を押す。


「女子に恥かかせんなよ。……ほら、行け」


二人が並んで帰っていく背中を、しばらく見ていた。


──さて、帰るか。


そう思った瞬間、横にぴょんと高木が来た。


「……一緒に帰ろ?」


帰り道は逆方向。

迷っていると──


「女子に恥かかせちゃダメでしょ?」


「……はは、そうっすね」

「はいはい、帰りますよ」


夕焼けの中、少し前を歩く高木が立ち止まる。

振り返った顔が、やけに綺麗に見えた。


「……はい、これ」


差し出されたのはチョコ。


「朝に渡そうと思ったんだけど……

 三浦くん、女子に人気あるもんね」


「いやいや、ないから…」


そう返すと、少し安心したように笑った。


「……チョコ、ありがとう。嬉しいよ」


そのまま家まで送り、俺も帰った。


夜。


晩飯も終わり、風呂にも入り、冷蔵庫に閉まって置いたもらった箱を開けると──


手作りチョコと、小さな手紙。

手紙に取り開いた。


読んだ瞬間、

頭が真っ白になった。


─────


高木香織は

三浦直樹くんのことが好きです。


─────


言葉が出なかった。


「……マジか。

 俺か。マジか……」


それしか考えられない。


その日は眠れるわけもなく、布団の中で天井を見ていた。


豆電球の光の向こう、仏壇の仏様が微かに笑っている気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
バレンタインってこうゆうノリだったなぁと懐かしくなりました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ