表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラ  作者: めりー
1/2

身バレには気をつけよう

これは何も無い僕が…こんな根暗で絵を描くことしか能がない僕に大切な人ができてそれから色々ありながらも幸せになっていく物語だ…

─────────────────────

「ねー、めぐみー帰ろー」


「うん。ちょっとまってねー」


私を呼ぶ声。友達の梨乃ちゃんの声が聞こえる。立ち上がってカバンを持って教室を出ようとした時に下に落ちている消しゴムに気づく。


「はい。これ君のでしょ。」


渡す。彼はたしか━━━━━


「佐藤くん?」


そう。佐藤くん。影は薄いしあまり喋らない。メガネをかけている。ありたいていに言うとあれだ。昔のオタクみたいだ。


「めぐみー?まだぁ?」


私の友達は限界のようだ。


「それじゃ!またっ!」


私は相手の返事を聞かずに外へ出た。思えばこれが私と彼との始まりだったのかもしれない…

─────────────────────

「ただいま…」


「おかえり!!お姉ちゃん!!」


「ただいま雪菜…!元気にしてた?」


私の可愛い妹雪菜。母と父は仕事で忙しいので基本家には深夜に帰ってくる。なので基本家の事は私がやっている。


「ねぇお姉ちゃんお願いがあって…」


「ん?なぁに?」


雪菜の願いはできるだけ叶えてあげたい。


「お姉ちゃんに着いてきて欲しいところがあるの!」

─────────────────────

「サイン、会ね…」


そう。サイン会。私はそいうのに興味がなかったから知らなかったのだが、世間的には超有名なイラストレーター「サクラ」先生のサイン会なのだそうだ。時間的にもギリギリではあるが間に合ったらしい。だから妹が


『走って!お姉ちゃん!!』


と急かしていたのである。並んでいる間に少しだけではあるがサクラについて調べた。どうやら20年以上前から活動していたそうで、有名になりだしたのは最近らしい。そこまでは調べなかったが美人イラストレーターとしても有名らしい。ただ一時期活動が停止していた時期があったそうで、それがなぜかは本人の口から今も語られていないらしい。ちなみに妹が知ったきっかけはある青春漫画らしい。最近の小学生はませている。


「次の方どうぞ!この方で最後にしますね!」


「やったねお姉ちゃん!ラストだって!」


妹はルンルンである。


「本をこちらに…」


妹は本を渡す。確かに美人だ…黒い髪は後ろでひとつにまとめられており、目はルビーのように赤くて、白いワンピースから出ている腕は透き通る程白い…というかコイツどこかで見た事あるような…


「お名前お聞きしても?」


「早瀬雪菜です!」


その名前を聞いた瞬間に先生は少し固まる。


「は、早瀬雪菜さんですね…ゆ、雪菜さんで書いておきますね…はいどうぞ」


んーやっぱりどこかで…その時帰る時に居た少年の顔を思い出す…メガネはかけていないがコイツまさか…


「佐藤、くん?」


その時先生が手に持っていた本を机の上に落とした。それを先生は少し置いてから黙って拾って


「は、はい。ど、ど、どうそ」


「いやわかりやすいわ!!」

─────────────────────

今日は面倒くさいけどサイン会だ。なので女装をしないといけない。仕方がないが。母さんが若い頃来ていた白いワンピースを着て、その当時母さんがつけていてトレードマークみたいにしていた羽根がついたゴムで髪を縛り、


「よし!私は今は女の子!」


とモードチェンジをし会場に向かう前に


「母さん…行ってくるね…」


「…」


返事はない。いつも通りだ。家を出て30分ぐらい歩けば会場だ。


「よし…準備をして、と。」


会場に着いたら飲み物とかを机の上に置き、スタッフさんに合図を出す。ファンの方が入ってくる。最初の方は若い女性の方でモジモジしてらっしゃる。


「本をこちらに…」


そしてもうあと一人で終わりという所で事件は起きた。


「早瀬雪菜です!!」


は?ということはこんな小さい子が1人で来るわけもないので動揺しつつも顔を上げるとそこには


「は、早瀬雪菜さんですね!ゆ、雪菜さんで名前を入れますね!」


居た。同級生の早瀬恵さんがそこには居た…落ち着け…こいう時は何も無い振りをして平静を…


「佐藤くん…?」


トンッと僕の持っていた本と取り繕うとしていた平静は僕の手から落ちていったのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ