あいつ
いたいひとです。
「」が行方不明だ!!
大変だ!もう三日も連絡がついてない!!
なんて、もうあいつは高3だ。
だけど髪が赤くて坊主でピアスがバチバチに開いてて、いかつくて。
バスケも絵もうまくて、あーあどっかで野垂れ死んだかな。ヤクザの息子がいるとかいう通信高で、
薬浸けにでもなったか。
それともなんだ、あの小説の男みたいにペニスにムスクでもぶっこまれたか、
あー死んでなきゃいいなぁ。
四肢を切断されててもなんでもいいからいきててくれたらいい。
自分の腐った内臓がぐちゃぐちゃになる。
どろどろに溶けてなくなりそうな脳みそをまだ働かせようとする。
目の前で通り過ぎる車を血眼で見つめて、あいつの赤い髪がないかただ探してる。
あいつはいったいどこに行った?
たった三日、されど三日。
あいつのバキバキになったピアスが脳みそを混ぜる。
あいつの山積みになったスケッチブックが脳汁を吸う。
あいつの飲み残した缶ビール、ために貯めたレシート、使い古したバッシュ、濃い鉛筆。
ぜんぶぜーんぶ集めて混ぜる。まるで魔女の大鍋、そんな大層なもんじゃないけど。
それから一週間、あいつは死んでた。四肢も切断されずただ死んだ。
ほんとさいあく、そうしきなんてくるつもりなかったんだ。
じつはいきてるてんかいをきたいしてた。
もういっそのことしねばいいのに、しんでるけどさ。
ムスクじゃないけどハナのかおりがした、にあわねー。
だれもこんなチンピラのソウシキなんてきたがらないよ、ばか。
さいあくだよ、ほんとごみ。
ただでさえ使い物にならない脳にあいつをたくさん詰め込んだから、脳汁一滴も残ってない。
もうあいつしか残ってないのにかすみたいな言葉がたくさんでてくる。
それならいっそしたいなんてなくてよかった。
[ほんとは生きてた。]
温かい目で見守っていただけると幸いです