89.仲間ゲット
アスベルから色々聞いた。
私が気絶した後、アスベルは仲間を率いて私を探しに来てくれたとのこと。
よく見つけられたな? と思った。だって雪山の中だぜ?
と聞いたら、どうやら吹雪はやんでいたので探索は容易だったそうだ。
まあ、だとしても私を見つけるのって至難の業だと思うんだが。
するとアスベルは、なんとなく私の場所がわかったと答えた。
アトーフェ曰く、どうやら、聖女と契約してるから、なんとなく契約主の場所はわかるんだそうだ。
んで、アスベルとアトーフェたち捜索隊が私を見つけ、山を下り、港町へと戻ってきたとのこと。
「無事で何よりでした、本当に……」
ここは港町にある小さな治療院。
アスベルは私をずっとぎゅーっとしてる。そこへ、ガンメイジたちドワーフもやってきている状況だ。
……うん。がっつり私たちがくっついてるところを目撃されていた。なんだったらキスシーンも見られていたようだ! くそが! 恥ずかしいわ!
「とりあえず離れろ」
「普通に嫌ですね!」
私はアホ旦那にもの凄い力で組み付かれてる状態だ。
くっそ、無駄にパワーありやがる……。はあぁもういいや。
「聖母よ、本当にありがとうなのじゃ。我らがドワーフの国を救ってくださり」
セルシウスを治療したことで吹雪はやみ、国は元の状態に戻ったそうだ……って、そうだ!
「セルシウスはどこいった?」
「るしうすくん?」
ルシウス……?
「アンチよ。誰だ?」
「こーりのせーれーさん。ルシウスくん!」
なるほど、名前を付けてあげたのか。
しかしアンチは何やら仲よさげ?
「るしうすくーん!」
すると私の体が淡く光り、目の前に青髪の少年が現れる。
「るしうすくん!」
ルシウスが……え?
「今どっからあらわれた!?」
「……あなたの中からです。母様」
「か、は? か、え? 母様……?」
何言ってるの!?
「……あなたはぼくに名前をくれた。進化させてくれた。新しいこの肉体を生み出したのはあなただ。だから……母様」
「は、はあ……いや、え、名前? 私がつけたのかい?」
「……ええ」
まじかよ……。覚えてないだが。
気絶してるときにでもつけたのかな……? まあいいが。
「ルシウス。もう平気なのかい? 体のほうは」
「……おかげさまで。元気です」
「そらよかった」
ま、これで全部解決したわけ……いや、待て。
ここに来た目的をまだなんも果たしてなかったぞ!
「ガンメイジよ。私はドワーフをスカウトしにきたんだ。腕のいい職人を紹介してもらえないかい?」
するとガンメイジたちは不思議そうな顔をし、首をかしげる。え、なに?
「わしらはとっくに、あなたの配下だと思っていたのじゃが?」
え、え?
い、いつの間に!?
「聖母の姐さんはおれたちのリーダーだよ!」
とジョッパリー。いやいつの間に……まあいいけどさ。
「んじゃ、おまえたち、私に付いてきてくれるかい?」
こくん、とドワーフたち、そしてなぜかルシウスもうなずいた。
「え、ルシウスもくる……ああ、そんな顔するな!」
なんかめっちゃ悲しそうな顔してた!
ほっとけるかっつの。
「よしじゃあ、ま、よろしくなおまえら!」
こうして私は、ドワーフたち、そして大精霊(今は精霊族)のルシウスを仲間にしたのだった。




