46.キス
病で苦しんでいるセルシウスを助ける決意をした、私。
「結界の中に入っておいで!」
こくこく、とセルシウスがうなずいて、結界に手を伸ばす。
ばちん! と結界がセルシウスを弾いた。
「これは……結界が精霊を異物と判断したのか……」
くそ。結界内部に入ってこれないと、治療ができない。
……いや、別の方法がなくはないね。
「待ってな」
私は、結界の外に足を出す。
結界から出て、セルシウスの元へ向かう。
魔物は今、セルシウスの力で全部氷づけになってるのだ。
今なら魔物に襲われない。
だが、餌が外に出たのだ。早晩魔物たちは襲ってくるだろう。
もたついてる暇はない。
私はアイテムボックスからSSポーションを取り出す。
ちぎれた腕すら元通りにする、最強の治療薬だ。
「ほら、これを飲むんだ!」
私はSSポーションをセルシウスに渡す。
だが……
パリィイン!
「瓶が壊れた!?」
考えろ。ポーション瓶が割れた時のことを思い出せ。
確か、瓶の表面が一瞬で凍結していた。そうか、セルシウスの表面温度が冷たすぎて、瓶が壊れちまったんだ。
どうする……静脈に直接注射でもするか?
……いや、注射以外でも流し込む方法はある。
「セルシウス。動くんじゃあないよ」
「……?」
私は彼の頬を手で包む。
あっつ……。じゅううと手が焼ける。低温やけどってやつだ。でも、大丈夫。耐えられない痛みじゃない。
「ガウギャウ!」「ガガウ!」「アオオォン!」
新手の魔物がやってきやがった。
私はポーションを取り出して口に含む。そして、チュッ……とセルシウスに、口付けをした。
瞬間。
ゴォオオオオオオオオオ!
突如としてセルシウスの体が光り輝きだしたのだった。




