44.セルシウス
アスベルに救難信号を出した。
あとは……ここであいつを待つだけだ。
「…………」
魔物達が私を取り囲んでいる。大丈夫……アスベルは必ずやってくる。
結界もあるし、大丈夫。
【みつ……けた……】
瞬間、どこからか聞いたことない声が聞こえてきた。
【みつけた……】
なんだ……? この声。脳内に直接響いてくるだと……?
ぱき……ぱきき……。
森の奥から何かが歩いてくる。
そいつは……【人】、だった。
青い、小さな男の子。
年齢は10いくかいかないか。サファイアのような髪の毛に、真っ白な肌。こんな極寒の中だというのに、その子は裸身をさらしている。
青い男の子が一歩歩くたび周囲にあるものが凍結していく。
かれた木々も、魔物すらも、彼が近づいた瞬間に凍ってしまうのだ。
ぞくっ、と背筋に悪寒が走る。
何かやばいものだと言うことは、直感的に理解できた。
この場から逃走するという手はない。
【見つけた……】
その子は私を見てはっきりと言ったのだ。見つけたと。
……私はこの子の標的になっている。
逃げることは不可能だろう。
「だ、誰だい……あんた……?」
【よは……セルシウス】
「セルシウス……?」
それって……氷の、大精霊じゃないか!




