81.高揚
青月草をなんとか持って帰れないものだろうか。
これがあればきっと、結界がなくとも、魔物を寄せ付けないという薬が完成すると思われる……。
「どうする……」
どうすればいいか?
もう一度、花をちぎってみる。が、やはりすぐに枯れてしまった。
花を無駄にしてしまったことに対して心が痛くなる。
何度も試すのは無理だ。数に限りもあるし。
「…………」
生えてる地面ごと取るのはどうだ?
手で地面を掘って、そして持ち上げてみる。
「お! これは……」
さっきみたいにすぐにしおれることはなかった。
だが、次第に色あせていき、最後にはかれてしまう。
「良い発想だと思ったんだが……。ううん。じゃあ、凍らせるのはどうだ?」
私は冷却剤をアイテムボックスから取り出そうとして……。
「待て。待て。アイテムボックス……そうか!」
私はアイテムボックスを発動させる。
目の前にある、青月草が生えている一角を、そのままアイテムボックスへと送る。
で、少し待ち、ちょっと移動し、アイテムボックスから取り出してみる。
「よし! 生えてる!」
青月草がかれていなかった。
そうか、アイテムボックスを使えばいいのか。
アイテムボックス内は時間が止まる。
だから鮮度が落ちることはない!
「よしよし! 見えてきた……! あとは、これを量産できるかどうかと、下界で育てることができるかどうかだ……」
遭難したって言うのに、私の胸は高鳴っていた。




