79.雪崩
不死山を順調に昇っていってた、そのときだった。
ぴくっ、とアトーフェが耳を立てたのである。
「どうした?」
『まずい! 逃げろ!』
アトーフェが全力で、来た道を引き返そうとする。
『雪崩だ……!』
「な!?」
私はアトーフェの上に乗っている状態。
背後を見やると、確かにゴゴゴオ……と何かが頂上から降りてくる。
それは、超スピードの雪崩であることがすぐにわかった。
猛スピードで走り出す。が。
「ばか! ドワーフたち置いてく来かい!?」
『聖母優先だ……!ぐっ! はやい……! なんだこの早さ!?』
雪崩はあっという間に私らを飲み込もうとする。
「総員! アトーフェにつかまれ……!」
ばっ、とドワーフたちが近づいて、アトーフェに捕まる。
バラバラになると厄介だからね。
けど、ガンメイジが一人取り残されている。
私はアトーフェから飛び降りる。
『聖母!?』
少し転がって、ガンメイジのもとへ向かう。
そして彼の腕をつかみ……。
「どっせい!」
私はガンメイジを放り投げる。
火事場のバカ力ってやつだろうかね……なんつって。
『聖母!!!!!!!!!!!!!!』
珍しくアトーフェが焦っていた。
雪崩がすぐそこまで来ている。
……アンチ、アスベル。
私は……こんなとこじゃ死なないよ! 絶対に帰る!
私はアイテムボックスから【それ】を取り出して口に含む。
そして次の瞬間、私は雪崩に飲み込まれ、意識を失ったのだった。
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