46.フェンリル振られる
私の作ったビーフシチューを皆うまいうまいと大絶賛。
「うめえええ! この白いふわふわのパンも、うんめぇ~~~~~~~~~!」
ドワーフ連中……ああ、今は上級ドワーフたちか。
みんな私の造った料理に舌鼓を打っている。
ふわふわのパンは私がパン生地を発酵させて作った物だ。
結界があれば、納豆やしょう油の時みたいに、簡単に安定した発酵食品が作れるって寸法よ。
ビーフシチュー&パンを食べてご満悦なドワーフ連中。
アトーフェも満足そうに腹を見せて、ごろんとしていた。
『満足だ……』
「そうかい。あんたは進化しないんだね」
『ま、神獣だからな。雑魚とちがって、進化にはより大量の魔力が要るのだよ』
●ケモンみたいなもんか。
ドラゴンタイプはより多くの経験値がいるみたいな。
『しかしパンまであんなにも美味しいなんてな……。聖母の手は魔法の手だな』
「よしておくれよ。ただの、おばちゃんの手だよ」
するとアトーフェが近づいてきて、人間姿に戻る。
確か魔力を消費するから、あんまりこの姿にはなりたくないとか言っていたのだが。
白髪イケメンとなったアトーフェが私の手を取る。
そして、真剣な表情で言う。
「我が……」
「断る」
「くく……! まだ何も言っていないのだがな……」
どうせつがいになれとか、そういうやつだろうな。
「残念。私には、大事なもんがいるのさ。二人もね」
アスベルとアンチのことだ。
二人は私にとってのかけがえない家族。
「悪いな」
「いや、かまわないさ。またアタックするだけよ」
「なんだい、諦めないのかい?」
「無論。人の心とは移ろうものだ。こちらに流れがくるのを、座して待てばよい」
気の長い神獣様だこと。
ぽんっ、とアトーフェがフェンリルの姿に戻る。
『しかし我が美貌を見て、夢中にならないとは。少しオスとして自信を無くすぞ』
「うちの旦那のほうが、何億倍もかっこいいからね」
『くく……! やけるなぁ~』
とか言いつつも、どこか楽しそうなアトーフェ。
「バカ言ってないであんたもさっさと眠りな。明日はいよいよ山頂、大精霊とご面会だからね」
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