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28.聖母卵かけご飯




 ドワーフ国食堂にて。

 私はTKGを披露した。


「うめえええ!」「うますぎる!」「なーーーんだこれぇええええ!」


 ドワーフたち、海賊団員たちから嬉しい悲鳴が上がる。

 ふふ、そうだろうとも。美味しいだろうさ。


「かぁたま! おいしいです!」

「おおおお! そうかアンチそうかうまいかぁ!」


 息子がうまそうに食べてくれた。

 私は思わず嬉しくて、ほっぺにチューしてしまう。


 いかんな、最近どうにも息子が何をしてもほっぺチューしてしまう。


「うぅ〜。セイコぉ〜」


 ……うちのアホ旦那が息子へ嫉妬を募らせてる。

 ったく、難しいね人の心って。

 

 あんたが嫉妬せずとも、あんたのことは愛してるさ。

 息子と同じくね。


「ほら、たんと食いな。あんたにゃこの後も活躍してもらうんだから」


 私はたくさんお釜から米を注いで、アスベルの前に出してやる。

 彼はころっと機嫌を良くすると、うまいうまいと食べ出した。


 おまえのそういう単純なとこ、可愛くて好きだぜ。


「皇后はん! こ、これ、TKG! めっちゃうまいですわぁ!」


 キンサイが涙を流しながらくってやがる。

 そんなのかい?


「なんやこれ! こない美味いもんはじめてや! 特に、この黒いソースなんや!?」

「しょう油だよ。確か極東にも、魚醬ってやつがあったろう?」


 魚から作るしょう油みたいなもんだ。

 こっちの世界では、まだ大豆から醤油を作る技術が確立されていない。


 いや、極東から伝来してないだけで、ひょっとしたらもう極東では醤油があるのかもね。

 ただ、量産できないから、存在を伏せてるのやも。


「このしょう油ってソースめっちゃうまぁ! こ、これ絶対うれる! もうめちゃくちゃ売れる!」


 中世ファンタジー世界観の人間なのに、日本の調味料を絶賛してるのに、結構違和感を覚えるんだけどねこっちは。

 まあ、昔から転生聖女はこっちにきてたっていうし、その子孫(日本人)が、この世界にも結構いるのかもしれないね。


「醤油なんてどうやって作ったんです!?」

「基本は味噌と一緒だよ。大豆から作るんだ」


 味噌の時と同様、結界で浄化した場所で醤油を作ったのだ。

 結界内部は温度条件などを一定に保てるからな。質のいい醤油が作れた次第である。


「ほ、ほ、ほぉおお!」

「はいはいほしいんだね。欲しがりねえおまえも」

「お願いします!」

「あーはいはい。ちゃんと金払うならいいよ」

「うぉっしゃぁあああああああああああああああ!」


 涙を流しながらキンサイが喝采をあげる。

 面白いやつ。


 ドワーフもこの場のみんなも笑顔を浮かべてる。

 料理を作ってよかったって思うね。


「まさか生卵がこないうまいとはなぁ。けど、腹ぁ下す連中が結構おったんやけど、それはどうしてや?」

「まあ、卵ってサルモネラとかついてるからな」


「さる……」

「ああ、なんというか、病気の原因となる目に見えない小さいモンスターだ」

「!? そ、そんなもんが、おるんですか?」


「いる。だから、卵にはしっかり私が消毒を施しておいた」


 これでサルモネラ菌の感染症を未然に防ぐ。


「なんや、わからんが、とにかく皇后はんはすごいっちゅーこったな」


 うんうん、とその場の全員がうなずくのだった。

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