27.作戦会議とご飯
私は氷の大精霊のもとへ行くことになった。
が、その前に、やっておくことがあった。
で、私は食堂にいた。
「かぁたま? なにするの?」
食堂の椅子に、お行儀良く腰をかけているのは、我が愛する息子のアンチ。
ああ息子はいつ見ても愛らしい。
「皆で飯を食いながら、作戦会議だ」
「うー! かぁたまのごはんっ! わくわくですっ!」
「おおそうかいそうかい!」
ふふふ!
息子が喜ぶ美味いものを、今回もちゃんと用意してるぞ!
「わくわくやで!」
翼人の大商人キンサイも、テーブルに着きながら浮かれてやがった。
こいつの場合、私の開発する美味いものを売って、もうける方が主目的だろうが。
「で、で? 今日は何食わせてくれるんや?」
「それは……アスベル、できたかー!」
ばんっ! と扉が開き、アスベルが大釜を持ってくる。
テーブルの上にでんっ! と置かれたのは鉄製のお釜。
「おお! 良い感じの釜! さすがドワーフ、手先が器用だね!」
ドワーフ、ガンメイジにこの大きな釜を作らせたのである。
私のふんわりとした注文を聞いて、ここまで思い描いたとおりの、日本製のお釜を作ってくれるとは。
是非とも仲間に欲しいところ。
が、まあスカウトはいろいろなことがすんでからだな。
「おお! こんなかにうまいもんあるんかっ?」
キンサイが立ち上がり、大釜を開けようとする。
ぺんっ、とアスベルがその手を払う。
「セイコが良いというまで開けてはいけない」
「ちぇ……。で、皇后はん、これどんな料理なん?」
私はキンサイの問いかけに答える。
「米だ」
「は? こ、米……? 米って……あの極東の?」
「ああ。ほら、おまえに発注させてただろ? 大豆と一緒に」
大商人とのパイプができたことで、外国からの商品の輸入が可能となった。
極東という、昔の日本に似た国がある。
そこから、米を取り寄せたのだ(一説によると、日本人が立ち上げたのが極東国らしい。だから、米とか大豆とかがある、らしい)。
「炊いた米に、生卵をのせて食べる料理。TKGを披露してやろう」
「た、卵ぉ? しかも、生やてぇ……?」
キンサイが露骨に顔をしかめていた。
まあ気持ちはわかる。
この世界、生食が文化として存在しないのだ。
さかなだって焼いて食べるしな。
「皇后はん……さすがに。さっすがに今回は、ちょっと……。米ってあれやろ? ぱっさぱさの、あんま美味くないやつやん? そこに、生の卵? んなもんくったら、おなか下してまうで」
いつだって真っ先に、私の作る料理に飛びつくキンサイだが。
今回ばかりは難色を示してる。
極東由来の米は、現実で言うところのタイ米みたいな食感してるのだ。
ようするに、パッサパサしててはっきり言って日本人の口に合わない。
「まあ、食いたいやつだけが食えば良いよ。トン汁も作ってるし」
「悪いけどトン汁だけにさせてもらうわ」
アスベルに目で促すと、彼はパカ……と大釜の蓋を開ける。
ふわり……と良い匂いが部屋の中に漂う。
「な、なんや!? なんやこの……甘くて美味しそうな匂い……?」
釜の中には、ぴかぴかつやつやの、お米が炊かれた状態で入っていた。
白銀の米を見て、思わずみんな生唾を飲んでいる。
「ここに割った卵と、そして私の造ったしょう油をかけて食べる。それが、TKGだ」
【★大切なお知らせ】
好評につき、連載版をスタートしました!
『【連載版】スキル【無】の俺が世界最強〜スキルの無い人間は不要と奈落に捨てられたが、実は【無】が無限に進化するSSS級スキルだと判明。俺をバカにした奴らが青ざめた顔で土下座してるけど、許すつもりはない』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n2689ja/