26.次
その後、私は街に結界を張ることに成功。
「す、すごい……」
私の構築した結界を見て、ガンメイジが驚いている。
「なんという速度。なんという硬度。こんな結界……初めてみたのじゃ」
ドワーフはエルフ同様に長生きな種族だ。
他の転生聖女が作った結界も見たことあるんだそうだ。
「祈りの力を使わず、薬剤だけでここまでのものを作るとは……お見事じゃ」
「そりゃどうも」
職人たるドワーフに褒められ、私はうれしくて、少し笑ってしまった。
だがすぐに気を取り直す。
「で、だ。ガンメイジ。こっからの話なんだが、私を氷の大精霊とやらのところへ、連れてってくれないかい?」
現在、ドワーフ国カイ・パゴスは危機に直面してる。
氷の精霊が暴走し、気候が荒れに荒れているそうだ。
猛吹雪に加えて、魔物の活性化。
この国のドワーフたちは皆、困ってるとのこと。
「助けてくれるのか?」
「もちろんさ。私は聖女だぜ?」
たとえゲータ・ニィガに召喚されたからといって、別にそれ以外の国を助けちゃいけないなんてルールはないしさ。
私はこの国を守ってやりたい。
「……おまえさんにこの国を助ける義理はなかろうが」
「うるせえ。私は、困ってるやつをほっとけねえんだ!」
それが、犀川聖子って人間なんだよ。
ガンメイジが私をじっと見つめる。やがて……頭を深々と下げた。
「よろしく頼む、聖女殿」
「おう。任せな。んじゃ、さっそく準備して、向かうぞ」
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