20.美味い飯でドワーフたちを驚かす
港町にて、ドワーフたちと出会った。
魔物から逃れるため、長く地下で暮らしていたらしい。
食糧が尽きて痩せ細っていた彼らに、私は温かい料理を造ってやることにした。
ややあって。
「さ、料理ができたよ!」
場所は街にあった食堂。
食堂の台所を拝借し、今まさに料理を作ってきたところだ。
「アスベル。おまえは……」
「セイコの料理を今から皆に配るぞ~! 皆、手分けして配膳するんだ!」
私が言う前に、アスベルが仲間に指示を出す。
ほんと、現場向きの男だ。普段は抜けてるところの多いこいつが、テキパキ仕事してるところは、かっこよく見えるから不思議である。
アスベルたちが協力して、私の作った【それ】を器に注いでいく。
ドワーフたちは初めて見る食べ物を前にして首をかしげていた。
「なんだこれ、スープ?」
「なんだかすごく良い匂いがするぞ?」
「ただ水で野菜や肉を煮ただけじゃないっぽい……これはいったい……?」
こっちじゃマイナーな料理……というか調味料だからな。
知らないのは当然だ。
「ま、食ってくれ」
躊躇するドワーフたち。
まあ、いきなり見知らぬもんが出てきたら、戸惑うわな。
「はい! いただきますセイコ!」
一方でうちの可愛いわんこ皇帝は、私の出した物を何の躊躇もなく食べる。
私の料理に対する、躊躇とかそういうのはないみたいだ。
私への信頼や愛情を感じられて……思わず笑みが漏れてしまう。
「ぼくも、いたーきますっ!」
アンチもアスベルと同じスープを口にする。
はたして……。
「「う、うまぁ~~~~~~~~~~~~~~~い!」」
二人が美味そうにスープを飲んでいく。
よし、とりあえず異世界人(旦那と息子)を満足させられたようだな。
「うますぎます!」
「おいしゃーです!」
がっつく二人を、周りの連中が見て驚いてる。
だが、二人があまりに美味そうにくってるもんだから、ドワーフたちも料理を口にしていく。
「う、うまぁああああ!」
「なんだこれ美味すぎる!」
「こんな美味いスープはじめてだ!」
ずずず!
もぐもぐ……!
がつがつがつ……!
ドワーフたちもアンチたち同様に、私の作った料理に夢中のようだ。
「セイコ! 美味しすぎるこのスープは……いったい……?」
私が答える前に、キンサイが言う。
「ミソスープや……」
「なんだ、知ってたのか」
さすが大商人。
まあ、正確に言うとこれはミソスープじゃなくて、豚汁だが。
「あ、ありえへん……ありえへんで皇后はん!!!!!!!!」
キンサイが驚愕の表情で言う。
「このスープを作るためにはミソが! 極東現来の超高級調味料であるミソが! 必要となるやんか!」
科学技術が未発展なこの世界で、味噌を造るのは至難の業なのだ。
遙か東の国、極東では、ミソ職人とよばれるプロがいる。
彼らが長い時間をかけて、ほんの少し作れる。それが……この世界におけるミソなのだ。
「ミソならあるぞ。ほら」
アイテムボックスから木の器に入った味噌を取り出し、キンサイに見せる。
どさ……!!!!!
「あわ……あわわわわわ! み、ミソが……こんな大量に!? な、なんてことやぁあああああああああああああああ!」
まあキンサイが叫ぶ気持ちもわかる。
希少な調味料が、こんな山盛りに入ってるんだからな。
「セイコ様! おかわりいいですかっ?」
「わしも!」
「私も~!」
ドワーフたちがおかわりを要求してくる。
「おうよ。いっぱいあるから遠慮無く食べな」
「「「ありがとうございます! セイコ様!」」」
彼らの血色が良くなっていく。
豚汁には豚肉や野菜など、体に良いものがたくさん入ってるからな。
「あ、あんたら……! これものごっつい希少な料理なんや! もっと味わって食べーや!」
「「「おかわり!」」」
「だからもぉおお!」
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