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18.ドワーフとの出会い



 私たちはカイ・パゴスのミノブという街へとやってきた。


 外壁の穴を塞ぎ、街の中にいた魔物を倒した。

 まあ、聖女の加護を受けた剣士と、伝説の神獣がいるんだ、複数の魔物を倒すことくらいわけないな。


 で、だ。

 私達は街の中にいるだろうドワーフたちを探したのだが……。


「どこにもおらんな」


 街の中心部にて。

 キンサイが首をかしげる。


「おっかしいな。この町にもぎょーさんドワーフたちがおったんやけどな」


 キンサイは貿易で何度かここを訪れたことがあるようだ。

 その彼が言うところによると、ここが元からゴーストタウンってことはないだろう。


 となると、街の連中はどこかに避難したってことになる。

 避難……街の外にか?


 魔物がいるからそれは考えにくい。となると、街中?

 街中に逃げるところなんて……。


 アンチが私の足にしがみつく。

 難しい顔をしてたから心配になってしまったんだろう。


 私はしゃがみ込んで、アンチの頭をなでる。

 ……しゃがむことで地面が近くなる。そこで……私は気づいた。


「地下だ。地下への入り口を探せ、おまえら」

「地下……?」


 アスベルが首をかしげながら聞いてくる。


「街の外に逃げたとは考えにくい。となれば、地下だ。ドワーフは手先が器用なんだろ? なら、地下シェルターを作ってる可能性もある」

「なるほど! さすがセイコ、今日も考えがさえてます!」


「お褒めの言葉なんていらないから、ほら! さっさと入り口を探すんだよ!」


 手分けして周囲を探索した。

 すると、食堂の隅の床に妖しげな蓋を発見。


 アトーフェはしゃがみこんで、蓋の上に耳を置く。


『聖母よ。この下から人の気配がする』


 よし。

 やっぱり地下シェルターはあったんだ。


「降りるよ」


 と、そのときだった。


「待たないか、貴様らぁ……!」


 食堂の受付の向こうから、一人の小柄な男が現れた。

 身長は小学校低学年くらいか。


 子供……じゃないのはすぐにわかった。

 もじゃもじゃの髭に、たくましい筋肉をしてるからだ。


 まさか……。


「ドワーフ?」


 隣にいたキンサイがうなずく。

 やはりドワーフか。


 ならちょうどいい。

 この町のことを詳しくしってそうだし、話も聞きたいからな。


「突然すまない。私はマデューカス帝国の……」


 どがんっ!

 私がドワーフに近づいた瞬間、足下に穴が開いた。


 顔を上げると、ドワーフの手には見慣れぬものが握られていた。


「動くな。動くと、次は脳漿をぶちまけるぞ」


 ドワーフの手に握られているものをみて、みな困惑していた。


「な、なんだあれは……?」

「筒……?」

「いいや杖だろ」

「魔法をうったのかあの老人?」


 団員たちの様子から、この世界で【それ】が一般的で無いことがわかった。

 まあ、それはどうでもいいんだ。


「おまえたち、下がりな。あの男の持っている物は、銃。弾丸を飛ばし、命を奪う凶器……いや、武器だよ」

「「「……!」」」


 くわっ、とドワーフが目をむく。


「どうしてこれが武器だとわかった?」


 さてどう答えるかね。

 まあ私としてはこいつに落ち着いて欲しい。


 ならば……。


「私は異世界から来た聖女だ。その武器は私の世界で、ごく一般的に使われてる銃って武器。だから、知ってたのさ」


 ドワーフが当然疑念のまなざしを向けてくる。

 まあそれは想定内さ。


 私は手を伸ばし、何も無い空間に、手を突っ込む。

 アイテムボックスから、ポーション瓶を取り出す。


「それは……アイテムボックス! 異世界人の特権……」

「なんだ、知ってるのかい」

「……まあの。ドワーフの職人であれば、誰もが喉から手が出るほどほしがるものじゃからな」


 ドワーフは私を異世界人だと理解したようだ。

 

「異世界人……女……まさか、ゲータ・ニィガの聖女か?」


 海をまたいだ向こう側まで、私のことは知れ渡っているらしい。

 話が早いな。


「そのとおり。私が薬の聖女セイコ・サイカワだよ」

「…………」


 銃口が下がる。

 私は彼に近づく。


「せ、セイコ! 危ないですよっ!」

「いや……平気さ。危ないのは、むしろこっちだよ」


 私はドワーフの近くまでやってきて、手にもっていたSSポーションを、彼にかけてやる。

 銃を持っていない方の腕は、包帯が巻かれていた。

 そこめがけてポーションをかける。


 じゅうぅううう。


「っつぅ!」

「それくらい我慢しな」

「毒か!? 酸か!?」

「そんなことしないよ。ほれ、指……動かしてごらん?


 ドワーフは疑いながら包帯に巻かれた左手を、動かす。

 くわ! と目をむいていた。


「ゆ、指が……動く!」


 ドワーフは急いで包帯を引きちぎる。

 完全な状態の左腕がそこにはあった。


「凍傷を起こしてたんだろ? 左手」

「……ああ。もう手は動かないと思っていた」


 ぽろ……とドワーフが涙を流す。

 職人にとって手を失うのは、さぞ辛いことだったろう。かわいそうに。

 私はハンカチを取り出し、目元を拭ってやった。


「……礼を言うのじゃ」

「かまわんよ」


「……厚かましいじゃろうが、お願いがある。その薬を分けてもらえぬだろうか? 仲間も凍傷で苦しんでおるのじゃ」


 私はニッ、と笑う。


「おうよ。たくさんあるぜ? だから……仲間んとこ案内してくれないか?」


 ドワーフはこくんと素直にうなずいた。

 

「で、あんたの名前は?」

「……ガンメイジじゃ」


「ガンメイジな。よろしく」


 とりあえず第一ドワーフと接触したのだった。


「すごいです、セイコ! あんな凶器の前でもおびえず、毅然とした態度をとるなんて! ほんとうにすごいです! あいたっ!」


 私はアスベルの足を踏んづけてやった。


「な、んでぇ~……?」

「男なら、女を守ろうとしなよ。後ろでボサッとしてさ。まったく」

「ご、ごめんなさいぃ~……」


 まあ、許すけどね。しょうがない。こいつはまだまだ、発展途上なんだから。

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