表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/93

16.上陸



 防寒対策をして、いよいよカイ・パゴスに上陸することになった……んだけど。


「こりゃ……参ったね」

「セイコ! 海に氷が浮かんでます! なんですかあれはっ?」


 甲板にて。

 アスベルが海を指しながら言う。


「流氷だよ。見ての通り氷が海の上浮いてんだ」

「なんと……あれでは、船を港に着けられませんね」


 砕氷船、っていうものが地球にはあった。

 流氷を割って進む船のことだ。


 しかしこっちの世界にはそんなもん存在しない。

 私らも、氷を割るような装備は持ってきていない。


 そもそも国の状況を知ったのは出港後だったからな。

 ちっ……しくったね……


「母さん」

「ん? どうしたんだい、ジョニィ?」


 海賊団船長のジョニィが、自分の胸をドンッ! とたたく。

 ……なるほど。


「いけるんだね?」

「ああ、オレにやらせてくれ」


 この子の目を見れば……わかる。

 ステータスを見ずともね。


「キンサイ。船の操作をジョニィにやらせろ」

「!」


 キンサイは目をむく。

 だが……私を見てうなずいた。


「任せたで、ジョニィ」

「……いいのか? オレにやらせて」


「ああ。あんたの船乗りとしての腕が確かなのは、ちゃんと見たからな。それに……皇后はんがいけるって言うるからな」


 ぐっ、とキンサイが拳を前に突き出す。


「頼んだで」


 ジョニィはニッ、とうれしそうに笑った後、拳を突き出した。


「母さん、皆を念のため船室に入れておいてくれ」

「わかったよ。聞いたね……! おまえたち! ジョニィに船を任せ、私らは中に入って待機だ!」


 アスベルたちがうなずき、船室に入っていく。


「船長、おれらは手伝いますぜ!」


 ジョニィの部下、サブたちジョリーロジャー海賊団団員たちがうなずく。


「よし! 手伝えおまえら! 送り届けるぞ……母さんを、あの国に!」

「「「応!」」」


 ジョニィなら絶対に、船を無事に港に到着させるだろう。

 私達は寝室に戻る。


 皆が外の様子を気になるのか、窓にへばりついていた。

 私は椅子に座って到着を待つ。


「かぁたま……だいじょうぶかな?」


 膝の上で、アンチが不安げに言う。


「大丈夫さ。あいつはすごい船乗りなんだから」

「うー……わかりました! かぁたまを……ぼくもしんじますっ!」


 素直な息子の頭をなでる。

 しばらく、私達は船室で待つ。


 途中、船が結構大きく揺れることがあった。

 だが、それでも……私は椅子から立ち上がらない。


 私の役割は、信じて待つこと。

 そしてその姿を見せ、仲間たちを安心させること。


 まあ私が別にこいつらのリーダーってわけじゃないが。

 そもそもそれやるのはアスベルの役割だろうが。まあ……。


 ほどなくして。

 ばんっ! と船室の扉が開く。


「母さんっ!」


 ジョニィの顔を見れば、どうなったかなんて聞かずとも結果がわかった。


 アンチを下ろして、私は立ち上がる。

 そしてジョニィを正面からハグした。


「でかしたよ」

「へへっ! ありがとう、母さんっ!」


 後ろにいる船員たちにも、私は言う。


「よくやったね、あんたたち! 礼を言うよ!」


 うれしそうに笑う船員たち。

 キンサイが近づいてきて、ジョニィにぐっ、と親指を立てた。


「グッジョブや」


 ……さて。

 私は皆を見渡す。


「船が着いたよ! さぁ……上陸準備だ!」

「「「応!」」」


 こうして、私達はやっとドワーフ国カイ・パゴスに到着したのだった。

 はてさて、何が待ち受けてることやら。

【★大切なお知らせ】


好評につき、連載版をスタートしました!


『【連載版】スキル【無】の俺が世界最強〜スキルの無い人間は不要と奈落に捨てられたが、実は【無】が無限に進化するSSS級スキルだと判明。俺をバカにした奴らが青ざめた顔で土下座してるけど、許すつもりはない』


広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!


リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://ncode.syosetu.com/n2689ja/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ