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15.特製ドリンクで寒さ対策



 カイ・パゴスが近づいてくると、寒さはさらに酷くなってきた。

 みな、体をブルブルと震わせている。


 仲間のパフォーマンスを維持するために、私は寒さ対策を彼らに施す。

 厨房で準備をして、食堂へと戻ってきた。


「おまえら、これから上陸する前に、これ飲んでおけ」


 どん! と私は食堂のテーブルの上に、馬鹿でかい、魔法瓶を置いた。

 アンチがテーブルの上によいしょと乗り出して、私に聞いてくる。


「かぁたま、これは、なんですかっ?」

「これは……寒さ対策その1だ」

「しゃむしゃ、たいしゃく!」


 ……ふにゃふにゃなしゃべり方がかわいらしくて、私はもだえて死にそうだぜ。

 うぉお……。

 

「大丈夫ですか、セイコ? ふらついてますが、まさか寒さの影響ですかっ?」


 アスベルが心配してきた。 

 っと、いかんな。ただでさえ過剰に心配するこのあほ皇帝だ。


「なんでもない。息子が可愛かっただけだ」

「なるほど!」


 なるほどなのかよ……。

 まあいい。


 私は魔法瓶のふたをあけて、カップに中身を注ぐ。


「? なんやこれ……皇后はん。お茶かいな?」

「お茶じゃ無い。生姜湯だ」

「しょ、しょーが……ゆ? なんやそれ聞いたことないで?」


 こっちの世界じゃ生姜湯って飲まないものな。

 キンサイがマグカップを持ち上げて、じっと見つめる。


「これ飲んで大丈夫なもんかいな……?」

「いいから飲め。飛ぶぞ? 寒さが」

「はぁん……ただのお湯やないですか。飲んだところで別に……」


 ごくごく。


「ぷはっ。う……? うぉおお!? な、なんや!? か、体が内側から、ぽかぽかしてきてたでっ!」


 キンサイが汗をかきだした。

 よし、ちゃんと効果が現れてるようだな。


「室内あっつ! だめやっ! ちょっと外出てきますわ!」


 だっ! とキンサイが外に出る。


「ふぉおおおお! 気持ちいいでぇ……♡ この寒さが、心地よい! ちょうどええわぁ~!」


 外は猛吹雪。

 普通に凍死するレベルの寒さだ。けれど、キンサイは多分寒さを全く感じてない。


 キンサイが戻ってくる。


「どないなっとるんですか!?」

「生姜には【ショウガオール】っていう、血行促進作用がある物質が含まれてるんだ。体内に摂取することで血行がよくなり、体温を上昇させる」


「血行促進作用……生姜にそんな効果が!」

「そうだ。しかもこの生姜は、薬の聖女の魔力を浴びて育った特別製だ。血行促進作用、免疫力アップ効果は、通常よりも何倍も大きい。それでいて、体調を崩さないよう成分をセーブしてる」


 キンサイが目をむいている。

 一方で、アスベル、アンチをふくめ、結構な人たちが首をかしげていた。


「よーは、薬の聖女さまのつくったこの飲み物は、体を温める効果があるっちゅーこった!」

「ああ、しかも私が手ずから入れることで、体温上昇効果の時間は延びる」

「! なるほど、皇后はんの能力、効能向上やな!」


 私が自ら造った薬の効能を、上昇させるというスキルだ。

 生姜湯を薬と解釈することで、効果時間を延ばすのである。


「効果はほぼ丸一日持続する」

「なにぃいいいいいいいいい! す、すごすぎるでぇ……!」


 みんな、首をかしげている。


「ええか? おまえら、寒い国で行動すると、体温低下によって様々な体調不良を起こす! 凍傷で死ぬってケースもあるんや! けど! この特製生姜湯を飲めば、そんな悩みから解放される!」


「「「…………?」」」


「……よーは、寒い中でも、寒くないってこっちゃ」

「「「なるほど……!」」」


 私は頭を抱えたくなった。 

 アスベルよぉ……。はぁ……。


「よし、セイコの作った生姜湯とやらを、みんなで飲むぞっ!」


 アスベルが率先して、仲間たちに生姜湯を配っていく。

 おまえのそういう、リーダーシップのあるところ、好きだぜ。


「う~……」


 アンチがちびちび、と生姜湯を飲んで、苦そうな顔をする。

 まあ、アンチは子供だからな。苦いのは苦手なのだろう。


「ごめんなさい……」

「おいおい、謝ることないぜ。アンチ。おまえには、特製ドリンクを用意してるからな」

「とくしぇー!」


 私は別の魔法瓶を取り出し、カップに中身を注ぐ。


「う~? まっくろ……?」


 飲めるのか不安がってるアンチ。

 だが、すぐに首を横にふるって、カップを手に持つ。


「かぁたまの、とくしぇーどりんく! おいしいに、きまってるっ!」


 ……アンチの私への信頼。

 ああ……胸がぽかぽかするぜ……。


 アンチがコク……っと一口飲む。


「!? あ、あまぁ~~~~~~~~~~いっ!」


 アンチがうれしそうに叫ぶ。

 ごくごくごく! と飲んでいく。うむ、気に入ってくれたようだ。


「かぁたまっ、これね、これね! あまくてとぉっても、おいしーのぉ!」


 天使のスマイルいただきましたね。

 感無量……。


「皇后はん! これはなんですかいっ!?」


 ……金の匂いに敏感だな、この商人。


「これはココアだ」

「ココア!? 聞いたこと無いでっ! の、飲んでもええですかっ?」


「どーぞ」


 ごくっ!


「あ、あ、甘くてうまぁああああああああああああああああああ!」


 キンサイが叫ぶ。

 まあ確かにココアは美味いもんな。


「母様特製ココアだ。生姜湯同様、血行促進効果がある。ちなみにカフェインおさえて、体温低下を防ぐ特別製だ」

「ほ、ほ、ほしぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」


 うるせえ男だなこいつ……。


「皇后はんっ! この生姜湯! そして、ココア! まじどえらい金額でうれまっせぇ!」

「どうだろうな。私の手で淹れることで、効果時間が延びてるわけだからさ」


「効果時間が短くても関係ないですよ! こんな美味い飲み物、売れるに決まってますやん! それに、冷え性の貴族マダムに売れば! バカ売れ間違いなしでっせ!」


 ああ、そうか。

 こっちの女たちも、冷え性に悩んでるのか……


 まあ確かにそいつら相手にこれを売ったらもうけられそうだ。


「ほ、ほんま皇后はんって……金のなる木なんやな……」

「むー! ちがいますっ!」


 アンチが声を張り上げる。


「かぁたまは、かぁたまですっ。木じゃありませんっ。かねのなるきなんて、じょせーに言うの……しつれーですっ!」


 おおおおお……アンチぃ……おまえってやつはぁ……!

 私は思わず息子を抱きしめて、ほっぺにちゅっちゅしてやる!


「おまえはほんと……とっても紳士的なやつだなっ! 将来モテモテになるぞ!」

「しんちー?」


「かっこいいってこった!」

「うー! かぁたまに、ほめられましたっ! うれしー!」


 その後、クルーたちに特製ドリンクを飲ませた。

 よし、これで長時間の外での活動が可能となる。


 いよいよ、上陸だ。

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