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14.ドワーフ国上陸目前、問題発生



 私達はドワーフをスカウトするため、ドワーフ国カイ・パゴスへとやってきた。


「かぁたま~……もうこれ以上きれないですよぉう」


 船室にて。 

 私はアンチに、たくさん洋服を着せている。

 もっこもこになった息子、可愛いな……。


「いやだめだ、アンチよ。カイ・パゴスは別名、氷雪の国。すごい寒いのだ。風邪でも引いたら……母様泣いちゃう」

「! わかりました! モコモコ……うごきにくいですが、がまんします! かぁたまないちゃ……いやなので!」

「アンチぃ!」


 日に日に息子が可愛くて仕方なくなっていく。

 愛おしくてたまらない!


 私は息子をちゅっちゅ、とキスする。

 息子はくすぐったそうにしてるが、お返しにとキスをしてきた。


 ああ……なんてこった。

 可愛すぎる。天使だろうか。


「セイコ」


 アスベルが私の部屋に入ってくる。

 彼もまた、冬用のコートに身を包んでいた。


「まもなく上陸するようですが……少々問題があるようです」

「ああん? 問題だってぇ……。ちっ、いくか」


 私はアンチを抱っこした状態で、船室の外に出て……。

 ビョォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


「はうぅ……! さむいぃい~……!」


 ブリザードが私達を襲っている。

 ……どうなってんだこりゃ……?


「母さん」

「ジョニィ!」


 ジョリーロジャー海賊団の船長、ジョニィが近づいてくる。


「カイ・パゴスってこんなやばいとこだったのか……?」

「いいや、違う。オレは何度かカイ・パゴスきたことあるけど……これは……異常だ」


 だろうな。こんなブリザードが起きるような国じゃ無いって、文献には書いてあったしな。

 いったん私達は船室へと戻る。

 全員で食堂に集まり、会議を開く。


「ワイもジョニィと同意見や。今のカイ・パゴスは、異常事態に見舞われとるで」


 キンサイも何度かここに来たことがあるようだ。

 二人が同じ意見を出してる。これは本当なのだろう。


「セイコ。一体何が起きてるのでしょうか……?」

「ふむ……マギ!」


 会議室の隅っこで、ぐったりしてる小柄な男……。

 天才魔道具師、マギ・クラフト。


「なんだよぉう……いまぼく、とっても船酔い中なんですけどぉ……」


 そう、こいつ船に乗って今までずっと、船酔いでダウンしていたのだ。

 もちろん酔い止めを飲ませたさ。


 飲ませて……これなのである。


「私の直感じゃ、あの国の精霊が悪さしてるんじゃないかって思ってる」

「精霊? 精霊とは…………?」

「ふぅうううううううううううううううう!」


 久々に、切れちまいそうだったよ……。

 マギが説明する。


「精霊っていうのは、この世界に存在する、微生物の一種さ」


 微生物って……。

 いや、まあ小さいし、目に見えないから、微生物っちゃ微生物か……。


「ぼくら魔法使いは、基本精霊の力を借りて魔法を使うんだ」

「? 精霊の力を借りる? 自分で魔法を発動してるんじゃないのか?」


 アスベルの問いかけにマギが首を振る。


「自力で魔法なんて使えないよ。魔法使いは、呪文を通して精霊と契約し、魔力コストを払って、精霊に魔法を使わせているのさ」

「へえ~」


 ……このあほ皇帝が。

 そんなの基礎教養だろうが!


 うちのアンチでさえ知ってるぞ!

 ぶち切れるのはちょっと待ってやろう。子供の前だ。


「精霊はこの世界のどこにもいる。けど、精霊の好む場所ってのがある」

「カイ・パゴスも、精霊の好む場所ってことなのか?」


「そのとおり。カイ・パゴスは地、そして氷の精霊が好む場所なのさ。特に、カイ・パゴスには氷の大精霊が居る」

「氷の大精霊……?」


 アスベルはおそらく大精霊を知らないだろう。

 私が説明する。


「大精霊とは、上位精霊のことさ。精霊たちをとりまとめるリーダー……とでも言えば良いかな」

「王じゃないのですか、セイコ?」


「ああ。精霊たちの王……精霊王は存在する。」


 つまり、

 精霊王>大精霊>一般の精霊(微精霊という)。


 これが、精霊たちの上下関係となっている。


「話を戻すよ。本来大精霊は人間に害をなす存在じゃない。その土地を自らの領域に変える程度の干渉しかしてこない」


 そう……本来は、だ。

 でも今、国外の海ですら、ブリザードが吹き荒れている。


 国内は相当やばいことになっているだろう。


「なにが……大精霊に起きてるのでしょうか?」


 アスベルが私に問うてくる。

 周りに連中も、私に視線を向ける。ま……。


「多分だが、魔物の発生に関係あるんじゃないか?」


 現在、世界の瘴気濃度は上昇してる。

 その結果、各地で魔物の発生が頻発してる。


「大精霊の身に何が起きたのかわからんが、魔物発生……もしくは、瘴気がかかわってると私はにらんでいる」


 大精霊に影響を与えられるのは、魔の物たちだけだろうからな。

 魔物、ないし、瘴気が、大精霊に悪い影響を与え、結果……ブリザードを起こしてる。


 そう考えるのが妥当だろう。


「で、どないするん? 皇后はん? 今カイ・パゴスがやばい状況やけども?」


 ……どうするか、か。

 そんなの決まってる。


「GOに決まってるだろ」

「……皇后はん。なんでや? 相手は……他国。あんたは皇后やで?」


 まあキンサイの言いたいことはわかる。

 私はマデューカス帝国の皇后だ。


 カイ・パゴスに関わることは、内政干渉に値する。そう言いたいのだろう。


「かぁたま……」


 不安そうなアンチ。

 おお、息子よ……。おまえは、カイ・パゴスの人たちを、心配してるんだろうな。


 きっとドワーフたちは困ってる。

 どうにかしてあげて……とな。


 なんて優しいんだ我が息子!

 そんな息子のため……だけじゃないが。うん。


 しゃーない……助けてやるか!


「何言ってるんだいキンサイ、瘴気が関わってんなら、聖女の出番だろう?」


 にぃ……と私は笑う。


「今の私はマデューカスの皇后じゃなくて、薬の聖女セイコ・サイカワさ!」


 つまりは、マデューカスが関わるんじゃ無くて、あくまで、聖女セイコが瘴気の調査にやってきた。

 そういう体裁で、国の問題に介入するのだ。


 そうすれば、政治的な面倒ごとに巻き込まれない。


「う? うぅ~?」


 アンチが状況を飲み込めていない。

 私は笑って言う。


「母様が、ドワーフども助けてくるよ」

「! かぁたま……! かっこいー! しゅき!」


 おおぉ……好きか……。

 私もだぜアンチぃ~……。


 ま、国に恩を売って、ついでにドワーフをスカウトすっかな。

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